今日は試しの戦闘
真陽さんに連れてこられた場所は、雑賀さんの家から離れて数十分のところの平地であった。
周りにはなにもなく、雑草が少し生えている程度で十分に走り回れる広さだ。
もはや日は完全に落ち、かわりに月明かりだけであるが、少し暗いと感じるだけで結構明るい。
「私が教えられることには限りがあるからねぇ。まず、リクがどのように戦うのか見させてもらおうかねぇ。教えるのは明日からにしようかねぇ」
真陽さんはそう言って高らかに手を空へと向ける。
「〈認識阻害・フィールド型〉」
と、魔法を唱える。
するとどうだろうか?
膜のような何かがこの平地を横から上、すべてをドーム状に包み込んだ。
「これでよしっっとぉ。存分に暴れてくれていいよぉ。結界をしたから外には音や衝撃や私たちが見えないからねぇ」
つまり全力をだせ……ということか。
元からそのつもりです。
僕は戦うためにルナを呼び出す。
「ルナ」
すると横に出てくるルナ。
僕と真陽さんを一瞥して、ふむっと、うなる。
「戦闘か? 主」
「うん。全力を出すよ」
「……やはり……か……」
真陽さんは黒剣を抜く。
「少し……。本気を出さないといけないかもねぇ……神の断片が相手だと……。カナちゃんも、神の断片を持っていたからなんとなく力はわかるけどねぇ……。しかしぃ……あの神の断片は見たことが無いねぇ。いや……もしかしてあれが……」
真陽さんの声は僕のところに届かず、消えてしまっている。
僕はルナに武器になるように言って戦闘態勢をとる。
といっても右足を少し前に、左足を少し下げて、腰を少し落とす程度だけど……。
手の中には一刀の刀が握られる。
……あれ?
昼間に使っていた時と少し違うような気がする。
刀身から淡い光が漏れているから気づかないはずがなかった。
昼間は明るかったから気づかなかっただけ?
でも淡い光が漏れていたら気づくはずだけど……。
明日ぐらいに調べてみようと思った。
今は真陽さん。
ここに来るまでに、真陽さんの二つ名や英名のことも聞いておいた。
初めから本気でやらないと、本気を出す前にこちらがやられてしまう。
ならば……。
「初めから使うよルナ! 〈スノウ〉」
雪を散らす。
真陽さんとの戦闘が始まった。
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