心配しないで!
「大丈夫? マナちゃん」
心配だったので声をかけるが、
「な、なんとか……それより何今の? なんにも見えなかったんだけど……桐は誰もいないところを殴るし……」
大事はなさそうだ。
心の余裕が持てたので質問に答える。
「僕もよくわからなかったけど……たしか名前が〈鏡花水月〉だっけ?」
ルナに確認をとる。
「うむ。水と光が無ければつかえぬ。ただ、光といっても特別な光なのじゃが……なんの光じゃったかな?」
「「え~……」」
僕もマナもルナを白い目でみる。
「な、なんじゃ! 主まで!? 妾は記憶が少しとんでおるのじゃ!」
「とんでる? 初耳ですが……」
彼女は一言もそんなこといってない。
今初めて聞きました。
契約してから半日ぐらいだけどね。
「妾は基本見た物事全て覚えておる。じゃから記憶を無くすことはおかしいのじゃ」
「うんうん。それで?」
ルナがちらりとマナを見る。
あ~。ルナは邪魔なんだな~。マナが。
つまりそっちの話か。
そしてルナが近づいてきて僕に耳打ちする。
「おそらく呪いのせいじゃ。妾がその呪いをかけるところをしっかりと見ておったのじゃろう。見ていれば当然呪術の神である妾がすぐに解くことができるからじゃ」
なるほど。だから覚えていないのか。残念。
呪いをかけた人、相当の魔法使いだったのだろうか?
神をも呪うことができて……。
「なに? なに言ったのいま~。ウチにも教えてよ~」
聞き取れなかったマナが僕の体を揺する。
もちろん僕はまだ戦いの傷が癒えているはずもなく――
「いたっ!」
「あ! ごめん……」
さっきまでの勢いはどうしたのかしょんぼりとしてしまった。
「いいよ。僕が油断してたばっかりにこうなっただけだから」
「でも……ウチが弱いばっかりに……」
「だから心配しないで! 男がこれくらいでこたえるか」
ドン、と胸を強くたた――けなかったが軽くたたく。
ちょっと痛かったけど。
「……はえ?」
「あ、主……?」
「? どうしたの? 二人とも」
首を傾ける。まずい事言っただろうか……?
さっきの言葉を脳内で繰り返す。
『だから心配しないで! 男がこれくらいでこたえるか』
ん? なんか引っかかるような……。
『だから心配しないで! 男がこれくらい……』
ちょっとまって……。
『心配しないで! 男がこれ……』
…………。
『男が……』
いま……僕……女の子じゃ……なかったっけ?
誤字、脱字、修正点があれば指摘を。
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