一の太刀
「――ッ!」
『主!!』
「リクちゃん!? く……体が……動けば……ッ!」
僕の口から血が吐き出される。
意識を刈り取られそうになるのを必死にこらえながら地上に落ちた。
「く……やば…………」
朦朧とする意識を保ちながら何とか立つ。
フラフラだけど……。
「にしても夏に雪は気持ちいね~。……?」
彼は周りを見渡す。
「なんだ? なんで雪が解けた水がそこらじゅうに浮かんで……」
彼は訳が分からず僕を睨みつけてくる。
「おまえ……何やった?」
「ルナ……いける?」
『うむ。準備は万端じゃ。くれぐれも失敗はするなよ? 妾も久々の魔力を使うのじゃ。不安定じゃから覚悟しておけ』
「わかってる……よ……」
(ちっ。なにかきやがる。なんだ? このふざけた魔力の量は!! でかすぎる!!)
歯ギリをしながら、仙道は何かを感じ取ってそれはヤバイと判断する。
「だったら……魔法を使う前に殺るだけだ!! 〈雷迅〉+〈雷剛拳〉=〈轟崩拳〉!」
彼は一瞬でリクに近づき、唸る拳を振るった。
リクはそれを虚ろな目で茫然と眺めながら一言だけ呟いた。
「――――」
「させるかよ!!」
その声を仙道は聞き取れなかったが目前にせまっている拳があるため、もはや今、魔法を発動しても無意味だと決めつけて、渾身の一撃を繰り出した。
リクの腹部にあたったところで思いもよらない事が起きることも知らず。
「!?」
その渾身の一撃は空を切ったのだ。
確かにそこにいて移動しようとした素振りも見せなかった。
「どこ行った!?」
リクに渾身の一撃を避けるだけの運動能力はないと感じる仙道。
運動能力ではないとすると――
「魔法か!?」
時すでに遅し。
「ごめん。切らせてもらったよ。仙道桐」
「あ?」
――ブシュ
仙道はその場に崩れ落ちた。
「ぐをおおおぉぉぉぉ!!!!」
彼から血が流れる。傷口は全部で八。手足それぞれに二回ずつ切りつけた。
「いま何したぁぁぁぁ!!」
口が減らない仙道は唯一動く頭を動かして怒鳴りつける。
体? とりあえず言われた場所を切っただけだよ。
おかげで桐さん、ピクリとも動かないね。首以外。
騒がしい彼を無視してマナに近寄る。
「す……すごい……」
マナは信じられないという目で目の前の景色を見ている。
そういえばまだルナ、刀のままだった。
「ルナ。戻っていいよ」
返事はすぐ帰ってきた。
『血を拭いてからでなくては妾は血だらけじゃぞ?』
それはグロテスクだね~……じゃない!
「あ! ごめん」
刀を上から下にふる。一振りで血が全部飛んで行った。
念のため、ポケットからハンカチを取り出して、刀身を拭く。これでよし。
「もういいかな?」
『うむ。すまぬな』
刀が光ってルナの姿に戻る。
そしてマナのところに着いたので、しゃがんで顔を覗き込んだ。
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