○○のために
神がどうして一つの一族を蝕むのかきになった。できればその内容も知りたい。
僕がなにか関係しているのは確かだから。
「そのままの意味じゃ。蝕む……つまり、主の一族に呪いがかかっているからじゃ」
「呪い……それはつまり……」
「生死に関係しているということじゃ」
「……どうすれば解くことができるの?」
「なに?」
訝しげに聞いてきた。何か変なこといったかな?
「だから解き方を知っているかな~と……」
「本気で言っておるのか?」
再度確認してきた。顔を覗き込むように。
「あたりまえだよ。だって僕死にたくないもん。ま、誰だって同じだろうけど。だから聞くの」
「たしかに死にたくはないじゃろう。しかしこれまで誰もが解こうと必死に探してきたが妾に聞こうとしたのはたったの一人もおらぬぞ? 呪いの説明はしてやったが……」
「じゃあ説明よろしく~。一言で」
「18歳になったら妾が主を喰らう」
ホントに一言で言った……もうちょっと長くなると思いましたよ。
「なんで18歳?」
「人間は大概、18歳で自立するからじゃ」
「ふ~ん。そう。これで説明は終わりだね。それじゃあ一緒に解き方さがそっか」
笑いかけながらそうルナに言う。
「な!? 妾と!? お主説明を聞いておったか!? 妾がそなたを喰らうのじゃぞ!?」
「もちろん聞いていましたとも。でもルナが原因じゃないような気がする。直感だけど」
「妾が原因じゃない……じゃと……? 理由を……直感じゃったな……どうしてじゃ?」
「だってルナ悪い人(?)じゃなさそうだもん」
「それだけか? それだけなの……か? バカじゃ! 主はバカじゃ!!」
「ははは……バカって……」
顔を隠すように下を向いたルナ。
直感の理由以外ももちろんある。それはかけられている呪いをそんなに知らなそうだから。
自分でかけたならここまで表情豊かにするだろうか? そういう演技をしていたなら信用した僕はこの時点でアウトだろう。
だからちょっとは賭けをしているが……。
でも僕の直感はそれなりに当たるから大丈夫と念を押す。
これは僕と……これから生まれてくる僕の一族の命が係っているから。
それに、今は何より大切なのは呪いを解くことだけではない。
組織に捕まっているユウとソウナさんを助け出すこともある。ここで躓いてはいられない。
だから、ルナを信頼し、信頼してもらう必要がある。
そのほうが戦える。ルナにサポートをしてもらうつもりだしね。僕は戦い方しらないし。
「ルナ。一緒に戦おう。長年。そう……僕が大人になっても、18歳以上になっても」
ルナが驚いた顔でこちらを見る。
「わ、妾と……? 妾は……そなたらの一族を呪い殺してきたのじゃぞ? 妾は人殺しなのじゃぞ? 主の……人生をめちゃくちゃにした張本人じゃぞ?」
一滴の雫が金色の瞳から流れ落ちる。
「ううん。僕の人生は自分で決めているんだ。ルナが呪いで僕の人生をおかしくさせた訳じゃない。そして僕は呪いなどに屈しはしない。乗り越える。僕のため、友達のため、家族のため……なにより、ルナのために。この理不尽な呪いから、ルナを解き放つために」
「わ……妾のため……?」
「うん! 心優しいルナのため」
確信した。ルナは悪い人じゃない。ルナは寂しかったんだ。
これまで呪いの事を言って憎まれてきたんだ。さけずまれてきたんだ。
だったら僕が変える。解いてやる。喰らうと言っても涙を流しながら喰らったんだろう。
そんな彼女を僕は見たくない。そして僕自身も彼女に未来を……希望があることを見せてあげたい。
「う……うぅ……」
顔を隠して嗚咽を漏らすルナ。
僕はなんとなく彼女の隣に座って抱き寄せた。
「うわぁぁぁぁぁん!!」
それを合図にしたように僕の腕の中でルナは子供のように泣き崩れた。
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