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ヒスティマⅠ  作者: 長谷川 レン
第一章 青髪の少女
3/230

母が○○をするようです

12/12(水)修正版

「…ちゃ…あ……よ! …おき……! う…ない……! こうなったら~!」


 声が聞こえてくる。体が揺れる。

 朝だろうか? とボクが目を開けようとした瞬間!


「おっきろ~♪」

「グハッ!」


 腹に強力な衝撃。

 とっさに目を開け何事かと確認……するまでもなかった。


「あ! 起きた~?」


 案の定そこに我が家の名物、天真爛漫娘がいた。


「ユ、ユウ……何してるの……?」

「毎日恒例♪ その名も……えっと……。お兄ちゃんを起こすため仕方なく上にのろうゲーム♪」

「恒例にするな! そして今決めたよね!?」


 言葉と同時に妹ごと布団をどかす。


「あう!?」


 とっさのことに対応できなかったのか布団と一緒にめくれて埋もれたユウ。

 すこし暴れてから布団から出ると不満そうな顔で。


「お兄ちゃんが普通に起きてくれたらこんなことしないよ~」


 しゅんとしながら言ってくる。この言葉には反論できない。

 実質、ボクは布団の中にいると二度寝、三度寝をしてしまう。

 おかげでいつも学校には遅刻気味……って、これはいらないね。


「だからお母さんがこうしてみなさいっていうから……ユウだってこんなことしたくないもん」

「この入れ知恵はあの人か!」


(変なこと教えないでよ!)


 ボクは頭の中で突っ込みながらもクローゼットを開け……。


「……はやく部屋の外に出てよ」

「え♪ 気にしなくて良いよ~♪」

「気にするから言っているの!!」

「は~い♪」


 嬉しそうに、そそくさと出て行くユウ。

 扉を閉めて、鍵をかける。

 おそらく扉のすぐそこにいるだろうが……。


 ボクはクローゼットから洋服を出してベットに放り投げる。

 それからパジャマに手をかけた。

 脱いだパジャマは後で洗うから良いとして、ボクは手早く洋服を着た。

 それから扉のすぐそこにいる(と決めつけている)ユウに向けて話しかける。


「なんで今日は休日だというのに起こすの?」

「お母さんが話あ……」

「断る」

「即答!? しかもまだ言いきってないよ!?」


 もちろんだ。

 我が家の天然トラブルメーカーこと母なのだ。いや、自然災害といってもいい気がする。

 ありとあらゆるものを実現させ……又は実行してくる。

 どうせ今回だってくだらないことに決まっている。


「いつもより重い雰囲気だったからくだらない事じゃないと思うな~♪」


 思考を読まないでほしい。

 扉の向こうなのにどうやってそんなことわかるの……?


「はぁ……。仕方ないなぁ。話だけ聞いてくるよ」

「やった~♪ お兄ちゃん動いた~♪」


 そこまで喜ばなくてもいいのに……。

 ボクは着替え終わったので扉を開け、部屋を出て、階段を下りて行った。


 さて、ここで自己紹介が必要だろう。

 ボクの名前は赤砂リク。

 赤砂学園高等部(親が理事長)の一年E組。

 特に目立ったものはなくあるとしたら理事長の子ということだけだ。

 太っているわけでもなくやせ細っているわけでもない。標準中の標準だ……。標準に、してください……。

 たしかに周りより少し背がちっちゃいし、瞳は蒼色で、ウエスト細いとか言われるし、白銀の髪はさらさらだし、女顔といわれるけど、誰が何と言おうと、ボクは男だ。


「大丈夫♪ お兄ちゃんは初めて見る人なら必ずかわいい女の子に見えるから♪」

「いやだよ! 大丈夫じゃないよ!? なんでそんな感じに見られるのかな……?」

「しょうがないよ♪」


 さっきから話している妹……っていうかもう名前出てるけど。一応自己紹介。

 彼女は赤砂ユウ。

 赤砂学園中等部(同じく親が理事長)の三年B組。

 天真爛漫ゆえ学園ではかなり人気者らしい。告白も何十回もされていて、もう何回されたか憶えていないらしい。

 でも全部断っているとか……好きな人でもいるのだろうか?

 外見は綺麗じゃなくかわいいで通っている。童顔で、瞳は灼眼で……そうそう。妹も白銀の髪だ。

 だけどボクとは違って、光を浴びると少し薄い赤色が見えて、それがまた綺麗だ。

 ちなみに肩ぐらいにのびているショートヘアです。

 あとは……。


「やっときたわね~。遅いわよ? リクちゃん♪」

「おはよ……母さん」


 ボクはあらかさまに肩を落とした。

 そう、この人がボクの(天敵)、ユウが天真爛漫になった元凶だ。

 天然トラブルメーカーのボクにとってとても厄介な人。

 名前は赤砂カナ。

 さっしの通りに白銀の髪です。

 え? そこじゃない? まぁいいでしょ。

 長さ的には腰あたり。しかし髪にはウェーブがかかっている。身長は……144cm以下(僕より小さいため)という一ミリも増えない仕様(?)となっている。

 瞳は蒼色だから、ボクの瞳の色は母さんの遺伝だ。


「厄介なんて失礼ね~♪ それに小さいだなんて……リクちゃんは母さんにケンカでも売っているのかしら♪」

「思考を読まないでよ! いや、小さいって身長の事だからね!?」


 このようにボクの母であるカナはむn「にこ♪」……ある所にコンプレックスを持っている。

 ちなみにユウにボクの思考の読み方を教えたのもこの人だったりする。

 だけど、そんなのはないと思いたい。

 そしてすぐここから離れたい(逃げたい)でも話……しかも雰囲気が重いっていうからさすがに聞くしかない。

 ボクはそこまで非道ではないし。


「で、話って?」

「もう。私の話にそんなに興味津々? もう、リクちゃんったら♪」

「寝るよ」


 重い雰囲気ではないようだ。


「ち、ちょっと待って~」


 母さんが焦りながら一生懸命止めようとしてるから仕方がない。

 止まってやろう。正直この人の相手はとても疲れる……。


「はぁ。なに?」


 肩を落としながらため息をついて言ってみた。


「よかった~♪ でね? 話はね?」


 早く言ってほしい。そしてモジモジしながら告げた。


「私、家を出てかないといけないの……」


 ……は?

 この人は何を言っているの?

 分かる方~誰かいませんか~?

 なんて馬鹿なことを考えながら口を開けたまま茫然としていると、問答無用で母さんは続けた。


「だからしばらく家を留守にするの。二人とも。留守番よろしくね♪」

「は~い♪」


 ……嘘だ……。


「学校はどうするの!?」

「そっか~♪ 理事長がいないとまとまらないもんね♪」


 いや、学園長がいるし……いちお……。

 働いているかわからないけど……。


「大丈夫よ~♪ なんとかなるわ♪」

「そっか♪」

「え!? それだけ!? 家計は!?」


 ちなみに家事全般はユウができる。ボクはその手伝いとユウが料理できない時には料理とお菓子を作るだけだったりする。たまにユウが「お兄ちゃんの食べたい♪」って言ってボクに作らせるのだが……。


「きっとなんとかなるわ♪」

「ならないよ! さすがにお金はならないよ!」

「冗談よ~♪ ちゃんと出すわよ~♪ 月500円で♪」

「子供のお小遣いじゃないか! 生活できないよ!?」

「冗談よ♪ ちゃんとそれ相応のお金を出すわよ~♪ それより私の心配はないの?」

「あ! 気をつけてね♪」


 家出に気をつけてが必要なのだろうか……?


「は~い♪ 気をつけます♪ リクちゃんは~? ま、いいわ。気をつけてね♪」


 ボクの耳元で「気をつけてね」を小声で、ボクにだけ聞こえるように言った。

 そして、その言葉はボクの言葉ではないのか?

 必要かどうか知らないけど。


「お母さんお兄ちゃんに何て言ったの~?」

「フフ♪ ひ・み・つ♪」


 口に人差し指をつける母さん。

 よく分からず。その日の午後、カナはよく迎えに来る女性の運転する黒い車に乗って家を出て行った。

 なぜ黒い車なのかは気にしないことにした。ちょっと高そうな車だけどいつも母さんを迎えに来るのはあの黒い車なのだ。


「なんでボクに気をつけてね?」


 ボクにだけ謎の言葉を残して、母ことカナは家を出て行った。

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