ユウの要求
車の中、続きます~。
ユウが独占した空間内でも話せる者はいた。
「その前に一ついいかい? 君は何者だ? ジーダスを知っているがジーダスの者ではない。だからと言って一般人じゃない」
この状況下でも雑賀は言葉を発する。
さすが幹部なだけあって、ここらをよく話せる雑賀は結構度胸があると見てとれる。
「……答える義務はない。よってあんたの質問には答えない」
「じゃあ言い方を変えよう。魔法は誰に教わった? ジーダスの目的から目的に関するヒントに格下げしてもいいから」
ユウの殺気は少し弱くなり(まだまだ強いが先ほどよりはマシ程度)、口を閉ざす。表情は暗く、どんな顔をしているのかわからない。
少しの沈黙。……そしてゆっくりと口を開くユウ。
「……魔法は……自分で覚えた」
「そんなわけ……!」
「ガルム!」
怒鳴るガルムを抑える雑賀。
ガルムはなんとかユウの殺気から逃れることができたようだ。
逃れることによって少し興奮気味だと思われる。
「わかった。君の要件を聞こう。ガルムの怒鳴った分までわびる。しかしちゃんと釣り合う要件にしてくれよ?」
「お兄ちゃんを逃がせ」
「「「なっ!」」」
ソウナ、ガルム、グレンの声が重なる。その顔は驚愕の顔だ。
なにせ罪人の脱走を手助けした者を逃がせと言っているのだ。
それはやってはいけない重罪だ。下手したら雑賀まで罪人扱いされることになる。
「さすがにそれは釣り合わないな……。君、大人をなめているのかい? まだ二十一だけど。ちなみに一番年をとっているのはガルムで三十四な」
「今は関係ないだろ!?」
突っかかるガルムを華麗にスルー。雑賀にとっても今は関係ないもので、興味がなかったからだ。
ならなぜ言ったのか……。という疑問が残るが気にしないでほしい。
「雑賀のそばに置いといてもいい……」
「わかった。引き受けよう」
「「引き受けるなよ!!!」」
「続きあるんだけど……」
「冗談だ」
「「おまえ(先輩)の場合は冗談にきこえない(ません)!!」」
ガルムとグレンの言葉が見事にかぶる。
ガルムの隣でソウナが、
「ああ。そう思ったの私だけじゃないんだ……よかった……」
と、言い。安堵している。周りの人は気づいて無いが。
ユウは雑賀が言葉を遮ったことで殺気が霧散し、呆れ気味になる。
なんだか雑賀と話していると調子が狂う、とでも言いたそうにしている。
「続きを聞かせてもらおうか……」
「魔法に関するすべてのことをお兄ちゃんに教えてあげて。
お兄ちゃんは魔法の事を何も知らないから。
さっき家で使った魔力解放は無意識で放ったもの。だから本人は何も知らない」
口調が少し戻る。
しかしまだ警戒したような声の強さで、目はしっかりと雑賀を見ている。
「……釣り合わないな。
それに逃がしても俺はもう本部にソウナと脱走の協力者の兄妹をとらえたと報告した。
逃がしたとしても捜索隊が出され、いずれ捕まる。無意味だ」
ユウがうつむき少しの合間を開ける。
そして何かを決めたように顔を上げると。
「なら……女の子なら見つからないね」
「そういうことなら協力しよう」
「「いや、断われよ!」」
たまらずツッコム、ジーダスの二人組。
ソウナは顔をそむけ、「ツッコンだら負け……」をくり返している。
「私の右ポケットに指輪がある。それは性転換魔法がかけてある魔法の指輪。
これを使って。使用方法はわかる?」
「身につけるだけでいいのか?」
「うん。でもつけたまま指輪が壊れると性転換したままになっちゃうから、そこのとこ気をつけて」
「わかった」
「「わかったじゃないよ!?」」
はぁ~、とため息をつき、雑賀は真剣な顔で宣言した。
「男に!!二言はないっっ!!」
「「ここで使うな!!」」
二人に怒られました。
なんだか雑賀のキャラが変な方向に向かっているような気がする……。
誤字、脱字、修正点があれば指摘を。
感想があればどうぞ遠慮なく言ってください。




