蛇に睨まれた蛙
今回ちょっとシリアスです。
場所は車(ワゴン車)の中…運転しているのはグレン。
その隣には雑賀。耳にはイヤホンをつけている。
後ろの席にはリク、ユウが縛られて眠っている。
一番後ろの席にはソウナが、その隣にガルムがいる。
「~♪」
「雑賀先輩その曲好きですね~。なんの曲でしたっけ?」
「ん? ああ、栗原クシナの『君の未来』」
そう言ってまた鼻歌を歌いだす。
そこで後ろから声がする。
「う……んん……ここは……?」
「起きたか?」
声のするほうを見る雑賀。ソウナ、ガルムも見る。
そこにはユウが薄目を開け、キョロキョロと周りを見わたしている。
「おはようございますお嬢様。お目覚めはいかがですか?」
なにげなしのその言葉にユウは―
「最悪。黙れよ変態」
目が据わり、声は低めで、とても本人と思えないような言葉で返してきた。
「ちょ! ユウちゃん!?」
ソウナは慌てる。なぜそのような態度をとるのかと。死んでしまうと思いながら。
「おお、怖いね~。とても小生意気なお嬢さんだ。好きだよ~。そういうの」
雑賀はむしろ楽しんでいる。
「この人今の状況わかっているんでしょうか? 雑賀先輩」
「同意見だ。一度こいつにはお灸をすえたほうがいいのではないか?」
グレン、ガルムはユウの発言に少し頭が熱くなったようだ。
「まぁまぁ二人とも。面白いじゃないか。何か言いたそうだね? お嬢さん。言ってごらん? 面白い事だったら聞いてやってもいいよ?」
「……じゃあ聞け」
殺意の含まれた声を出し、目を雑賀へ向ける。
さすがに少したじろぐ雑賀。他の三人も少し冷や汗を流す。
「……言ってごらん。ただし、こちらに利益が……」
なんとかして出した言葉はユウによってさえぎられた。
「あるよ。ジーダス―あんたらの組織の目的を教えてあげる。見たところあんたらは知らなそうだから」
「え!? ユウちゃん知ってるの!?」
「目的……だと……?」
「どうする? といっても聞いてもらわないならお兄ちゃんとソウナさん以外ここで殺す」
ゾクッ!
殺気がさらに強くなる。
その殺気はとても濃密でねっとりしている。
とても一般家庭で暮らしていた者が出せるとは思えないほどの殺気。
個々はそれぞれユウという魔法縄(自動で対象を縛りあげる。縛りあげられていると魔法は使えない)で縛られている一人の少女に恐怖を感じた。今は力なき無力な、ただの少女なはずなのに。蛇に睨まれた蛙のごとく。
一般人がこれほどの殺気にあてられるとたちまち倒れていくだろう。
「なんなのこの子……」
思わず口に出すソウナ。
その表情は少し青くなっている。
しかし青くなっているのはソウナだけではなかった。
グレンもまた青くなり、ガルムもよくよく見ると少し青くなっている。
それだけの事が起こったことで、この空間はユウが独占したものと同じようになった。
誤字、脱字、修正点があれば指摘を。
感想も待っています。




