仕事が早い神の断片
でもよく考えたら〈鏡花水月〉は錯覚させる魔法だから普通には見えないだけであって、まわりから見たらなんか魔法使った?って反応になりそうだよね……。
だったら少しぐらい見せたっていいかな。
「ルナ。出てき――」
「ちょっとまったーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「え!? ちょ、なに!?」
マナが前回もしたように腕を引っ張って、後ろを向き、小声で喋る。
「いい!? ここでワンスペルで喚ぶようなマネだけはしないで!!」
いまさらだが『ワンスペル』と言うのは魔力を帯びていない言葉で魔法を使うことで、そんな事が出来るのはごく少数の魔法使いだけだ。
そのなかに精霊使いや武装型はいない。
精霊使いや武装型は必ず呼びかけなければいけないためである。
そのためには必ず魔力を帯びた言葉、すなわち『呪文』を唱える必要がある。
僕は精霊を使っている訳じゃないから別に使っていいはずである。
「え? なんで……?」
「だ~か~ら~! 普通は無理だから!! フリだけでもちゃんとして!!」
「……はい」
今日のマナちゃん……。
なんか怖い……。
僕のほうが普通なのに……。
「何しておるのじゃ? 主にマナ。そなたら騒いでおって、楽しいかの?」
うん。
僕はわかってた。
ルナって言うだけでも出てくる神の断片なんだもん。
いまさら……おそいよね。
「なんで出てくるの!?」
「い、いや……。呼ばれたから出てくるのは当然なんじゃが……。わ、悪かったかの?」
ちなみにルナの場合、『呼ぶ』が正解であって。
『喚ぶ』は不正解である。
理由としては、すでに僕の中にいて、召喚された訳ではないから。
「もうちょっと待っててよ!!」
「よ、よくわからんが、一旦還った方がよさそうなのじゃが……主。妾、もうちょっと遅かった方がよいのか?」
僕の袖を弱々しくひっぱりながら、聞いてくるルナ。
「ううん。早いに越したことは無い……はずだから、そのままでいいよ」
いいはず……である。
マナちゃんが睨んでるけど気にしない。
ルナは僕の影に隠れながら、
「う、うむ。ということじゃマナ。すまんが妾は主の言うことしかきかんのじゃ。そ、そう睨むでない! か、考えてやらんでもないぞ?」
慌ててマナに言葉を返している。
その顔はあきらかにマナを怖がっている顔。
口を大きく開けて唇を震わせて、涙目でマナを見ているからである。
口調だけを取ると、少し戸惑っているだけのように見えるのだが……。
表情まではごまかせる事が出来なかったようだ。
こういうとこばっか見るとホントに神様?って疑いたくなるけどね。
誤字、脱字、修正点があれば指摘を。
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