誘ってみよう
そういえば当初の目的を忘れてしまうところだった……。
「レナさん」
「? なにかわたくしに?」
「放課後にちょっと話したいことがあるのですが……。いいですか?」
「それって長いのかしら?」
「たぶん……長くなると思う。ダメかな?」
「どうでしょう……。わたくしとしてはリクさんと話すいい機会ですし、付き合ってもよいのですが……。ただ……家が許さないと思いますわ。だからごめんなさい」
やっぱダメですか……。
仕方ない。
キリさんに教えてもらった切り札でも出してみようかな。
なんだっけ?
たしか……。
僕はレナさんの耳元で、キリさんに教えてもらった言葉をそのまま使い、囁いた。
「自由な白銀がいるのですが……」
「なんですって!?」
ガタンッ
席を急に立ったレナさんはもちろん注目される。
レナさんはハッとし、咳払いをして席に静かに座った。
そして僕に顔をかなり近づけ、小さな声で、真剣な目つきになって答えてくれた。
「放課後。ベクサリア平原の湖のほとりにいますわ。移動する先はあえて聞きませんわ。他に来る方はおりますの?」
……え?
早くない?
変わり身がとてつもなく早くてむしろ怖いのですが……。
でも、今の僕には好都合か……な……?
他に来る人か~。
マナちゃんと……キリさんは来るだろうから。
「いちお、マナちゃんとキリさんはきます。あとは向こうで待ち合わせです」
「そこに自由な白銀がいる……ということですのね?」
「う、うん……。ってどうしたの? 母さんの話を出してからおかしいよ?」
「当たり前ですわ。自由な白銀はわたくしの憧れ……? ……母さん?」
「はい。僕の母さんがそうなので……」
「……う、嘘でしょう……? 伝説的なあの方が……。そ、そういえば銀髪……。母親からの遺伝?」
と、そこまで言ったところで横槍が入ってきた。
「なに二人で内緒話してるの!?」
「私たちも混ぜてよね!!」
「……のけものにするの。……禁止」
三人が問い詰めてくる。
「い、いえ! 別になんでもないです!」
「放課後なに!? 私も行きたい!!」
「今日は、別に遅く帰ってもいいんだよね!!」
「……私は一人暮らしだから。……問題無い」
「聞こえてたんですか!?」
「【情報師】である私は読唇術が使えるのよ!! ……放課後のとこしか見ていなかったけど……」
ヤバイ!
この人たちこのままだときそうなんだけど!?
そんなに巻き込みたくないし、どうしたら――。
キーンコーンカーンコーン
!?
ナイスタイミング予鈴!!
これまで空気が読めて無いとかいってごめんね!!
「予鈴なっちゃったから早く教室行かないとね!!」
「そ、そうですわ!! それでは、ごきげんよう!」
ダッシュ。
僕とレナさんは人の目など、お構いなしに教室まで走っていった。
その間、三人とも魔法をいろいろ使って僕たちを捕まえようとしていたが、先生に見つかってしまい、三人とも職員室に連行された。
「では放課後に。マナさんなら湖のほとりがどこかわかるでしょうし」
「うん。放課後に」
そういってお互いに席に着き、SHRが始まった。
余談。
「あなたたち! 校内での魔法の使用は緊急時のみ許されているはずです! いまは緊急時ですか!?」
「緊急時でした!!」「緊急時だったね!!」
「……そうでもないかな……」
「こ、この……創立始まって以来のおバカさんども……」
先生はこめかみを押さえながら言っている。
ちなみにこのときのおバカさんはアキ、ハナのことである。
「生徒指導室に来なさい!!」
「「!? あそこはいやぁああああああああああああ!!」」
「……なんで私まで……?」
「あぁ、白夜さんは魔法を使ってないのでいいです。教室に戻りなさい」
「……わかった」
「ちょ、白夜!?」
「卑怯だと思うんだよね!?」
「早く来なさい!」
「先生! 首襟をもって引っ張らないでくださいよ!!」
「そ、そうだね! って引きずってほしくな――」
「……頑張って」
白夜は不敵な笑みを浮かべる。
「「この裏切り者ぉおおおおおお!!!!」」
「早く行きますよ」
「「いやぁああああああああああああああああああああああああ!!!!」」
朝のSHRの時間。
二人の少女の悲鳴が、桜花魔法学校に響き渡った。
ちなみにハナは正真正銘のバカですけど、アキの場合はだてに【情報師】を名乗っているだけあって頭はいいです。
ただ……行動範囲がバカでして……。
授業中でも新情報の匂いがするって言ってしょっちゅう抜け出してます。(笑)
誤字、脱字、修正点があれば指摘を。
感想や質問も待ってます。




