夜空の月
「ん……風が冷たい……」
深夜、僕は不意に目を覚まし、なんとなく雑賀さんの家から外に出た。
居間では妃鈴さんと雑賀さんと母さんが寝ている。
マナちゃんは真陽さんに連れて帰ったし、キリさんは説教を受けていないのでそのまま帰って行った。
「今日は……あんまり楽しくなかったな……」
ユウやソウナさんが今もジーダスで苦しんでいるのだ。
どうしても心の底から楽しめない。
実際怒った時が多かったような気がするけど……。
母さんが気づいて言ってくれたけどやっぱり救うまで楽しくはやれない。
そして楽しむつもりもない。
今は一刻も早く強くなって、救えるようにしないと……。
僕は魔力を練る。
今はもう魔力を感じとることができて、そしてコントロールをする事ができる。
どちらもまだ1日目なので少ししか出来ていないが、出来るのと出来ないのとでは大きく違う。
どのみち練習はするけどね。
戦闘時はルナがコントロールをしてくれるので僕は助かっている。
だが逆に考えると僕はルナがいなければコントロール出来ないと言うことだ。
これは重症である。
1日目だから……という理由は関係ない。
むしろそんな考えは捨てなければならない。
さっきと考え矛盾してるけど、こうでなければ早く助けにいけない。
「なんじゃ主。まだ起きておったのか?」
不意に声がする。
いつの間に出ていたのだろう、そこには月に輝く金の髪をもつ神の断片、ルナが屋根から僕を見下ろしていた。
なぜそこにいるかはさておき、僕は笑って誤魔化すように言った。
「ちょっと夜風に当たりたくて……」
「む……そうであったか」
「ルナこそなにやってるの?」
「妾か? 妾は少し月をみて昔を思い出していたのじゃ」
そう言いながらルナは空にある月を見つめる。
月は真陽さんと戦った時と同じ様に今も綺麗に輝いている。
雲など一つもなく、月だけが空に浮かんでいる。
「綺麗……」
「うむ……。妾も見惚れる」
互いに感動の言葉だけを言い合う。
空に浮かんでいる月は一点の曇りもなく悠々と浮かんでいるのだろう。
僕はそれが羨ましくて、少し、目から光が流れ落ちる。
「主? どうかしたのか?」
「う、ううん。なんでもない」
ルナが聞いてきたので慌てて僕は袖で涙を拭う。
気づかれてはいないようだった。
ルナはそのまま月に視線を移す。
「ねぇルナ」
「なんじゃ?」
「僕……強くなれるかな?」
なんとなく聞く言葉。
「そうじゃのぅ……」
ルナは少し考える素振りをしてやがてこちらに跳んで降りてくる。
僕の目の前に降り立ったルナは本当に綺麗で月のような輝きを持っていた。
「強くなるかどうかは主しだいじゃ。じゃが強くなりたいと願うなら妾も手伝うぞ?」
「うん……ありがとう……」
「ああ、今から……という意味じゃ」
「へ?」
僕はルナの言葉に首をかしげる。
今?
どういう――
「今さっき妾は主の事を気づいたのは主が魔法を使ったからじゃ」
あ……。
そういえばさっき練習しようかと思って……。
「じゃから、今からの練習でも妾は付き合うぞ? どうじゃ? 魔法を教えてくれるこうち? 師匠? ……師範はいたほうが良いじゃろう」
「何それ……」
僕は自然と微笑む。
少し、ルナの心遣いに感謝をして、僕は眠くなるまでルナとともに魔法の練習をした……。
全ては、ユウやソウナさんを一刻も早く助け出すために……。
ルナは最初の記憶こそ失っていますが、それ以外の記憶は失っていないのでちゃんと思い出はあります。
誤字、脱字、修正点があれば指摘を。
感想や質問も待ってます。




