『最低』と呼ばれる、男。
四作品目でございます。
今回は、『最低な男』を全力で書いてみました。
自分で書いておいて何ですが、反吐が出そうです。
はじめに謝っておきます。
すいませんでした。
俺の性格は最悪。だそうだ。
それもいい。
俺に近づく奴(特に女)は、全部塵になってしまえばいい。
そんなことを考えているからだろうか。
俺に必要なのは、『彼女』
そう、『彼女』だけで十分だ。
「誰からのメールですか、先輩?」
「うわっ!!」
誰もいない部室だと思って油断してた。
いきなり声掛けられて座っていたパイプ椅子から転げ落ちる。涙目で後ろをキッと見やれば、何かと話し掛けてくる一年後輩の女がいた。……名前? んなもん知らねぇよ。
「にやけた顔、その慌てぶり……彼女からですね! ……先輩、彼女いたんだ」
(……まぁ、お前には関係ねぇけどな。)
驚きと、どこか嫉妬が含まれたそれを「あぁ」と頷いて軽く受け流し、俺は身体を起こし、乱れた制服を整える。
「……悪かったな、俺に彼女いて。お前それより人のメール覗くな、変態」
「へ、変態!?」
「人のメール見るやつは変態だぞ」
(……人のことに突っかかってくんのもな。)
「……だって気になるじゃないですか。先輩は自分のこと話さないし。先輩がそんな顔してたから気になって……」
「……」
(……そんな顔ってどんな顔だよ)
シュンとなった女が少し可哀想になってきた……訳では勿論ないが、騒ぎになるのはめんどくさい。『言い過ぎた訳でもないし、俺悪くねぇけど』そんなことを思ったその時、俺が危惧していた出来事が起こった。
「やった! 先輩のケータイげっと!!」
「なっ……!! おい! 返せ!」
パッと顔を上げた女にケータイを盗られた。
(――っ! これだから女は!!)
殺してやりたくなる。俺に構うな。
狭い部室の中を女が走ったせいで埃やごみが巻き上がり、盛大にむせる。目や鼻に入りそうになるなるのを必死に防いでいる俺に向かって、女はどこか勝ち誇ったように言った。
「やですー。先輩の彼女見るまで返しません。……待ち受けに無いとなると、フォルダはって、あ……!」
「返せ!!!」
バッと音が聞こえる程強く女の手からケータイを取り返す。……中身、見られたか?
「……いったぁ。いきなり何するんですか!」
俺は思いきり眉根を寄せ、低い声で言う。
「……それはこっちの台詞だ。大体てめぇに俺の彼女話す義理もねぇし。……これ以上調子乗んな。」
女はその初めて見るであろう俺の不機嫌さを目の当たりにしてビビったのか手が震えている。が、いつものように軽い口調で言った。
「……確かにやり過ぎましたけど、あのクールで女嫌いで、告白一回も受けたことない先輩に彼女いるって聞いたから、どんな人かと思えば……待ち受けとフォルダの中身が芸能人の人にとやかく言われたくないです。」
嘲笑を含んだ声で言い返され、怒りを通り越して呆れた。やっぱり見てやがったか……。確かに俺の中は彼女一色だ。但し、コイツが言った意味とは断じて違うが。
「じゃあ、そんな俺の前に二度と現れんなよ」
(大体、てめーなんかにこれっぽっちも興味ねぇんだよ。調子乗んな、クズが)
この女が俺に近づくほかの女共を影でこっそりいびっていて、俺に寄ってくる煩い奴らを減らしていたから俺はそれを利用した、だけだ。何の思い入れもない。
(あ……これから寄ってくる蝿(女)共どうしよう)
本気でそんなことを考えつつ、軽く背伸びをし喚く女を後にする。勿論ケータイは持った。
読んでいただき、ありがとうございました。
プロフィールは、また次回にございます。
彼は最低ではあるんですが、愛される方はきっと最高だと思います。
えぇ。きっと。多分…。
こんな感じですが、次回もまた宜しくお願いします。
※作品は変わります。