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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

誓いを剣にのせて

作者: 川北 勤

「なぜ、なぜぇ!!!!こんなことをしたのですかダンちょぉぉぉ!!!!!」

白銀の長い髪を気にもせず可憐な顔を苦々しくひん曲げ女騎士が叫び突貫する。

衝突。重なる魔力が黒色の稲光となりあたりにほとばしる。

女は、そのまま鍔迫り合いに移行。無精ひげの男に問いかける。

「なぜわが祖国を、最前線で祖国を守っていたあなたがなぜぇ!!!!ここで立っているんだぁ!!!」

男は返さない。代わり言わんばかりに、女騎士の感情が先走り少し出すぎていた足を利用し、剣を滑らせ、反転。そのまま一切のよどみなく回転蹴りを敢行。女の騎士の背骨を強襲。

「ごはぁ!」

轟音。多大な砂塵を巻き込み繰り出される一撃は耳をつんざく爆音とともに衝撃をもたらす。リールの体は馬車の車輪のように回転しながら吹っ飛ばされる。

「かはぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」

リーズは、空気が肺につまる。背中がずきずきと痛む。

「感情に任せて、突っ込む癖は変わってねぇなぁ。リーズ。」

いやたらっしく。唇を吊り上げる。剣を支えに立ち上げるリーズにはその顔は、過去を幻視させるもの。

訓練場。戦場。宿舎。野営場。

どこでも見た顔だ。あのころから何も変わっていない。

リーズは唇から血が垂れる。

「ふっー!ふっー!」

目がちばしらせ、剣を構える。

最悪の反逆者。

アフデイル公国元騎士団団長カラエル アデブジャン。

現在、アフデイル公国の首都を幾万のモンスターで囲み侵攻している張本人に剣を構える。

リールの理性が震える。本物ではないと断じたくなる。

だが、踏み込む足は内側に、剣は剣先を外側に向けて、ピンと伸びた背筋が何度もあこがれて何度も打ち負かされたあの構えが否定する。

「唱えろよ、リール。いや、アフデイル公国騎士団長リール。目の前の男はなめてかかってかなうやつか?」

「うるさぁい!分かっている!」

少女は、限界だった。同年代の娘のように泣き崩れて、誰かに縋りつきたい気分だった。

だが、それは立場が許さない。

周りには、血潮まき散らし懸命に剣をふるい魔物の脅威から公国は守ろうとする部下がいる。


リールの無様は彼らの死と恐怖を否定する最悪の行為。

ゆえにリールは剣を執らなければならない。歌を紡がなくてはならない。

『聖刻を刻む星の女神の代行者にして制定者たる我が女神に代し悪を誅する。』

『深遠を纏う夜の女神の代行者にして制定者たる我が女神に代し正義を為す。』


『開錠』《ディア》

『開錠』《ディア》


白黒が噴出する。対極に満ちる明暗。明はリール。暗はカラエル。

両者がつむぐは祝詞。神の奇跡を一時的にこの世に顕現させる選ばれしものが修練を重ねてようやく開花する神の代行者となる力を完成させる儀式。


もたらすは、千の機龍をもしのぐ圧倒的な力。


迸る閃光と黒い稲妻。

現れるは代行者。

純白のドレスをまとい光の花弁が散る。

純黒の鎧が世界を侵食する。


「何の罪もない人たちを傷つけるんですか団長!あなたが一番守ってきたものじゃないんですか?」

「何の罪もないか…。お前らしいぜ全く。ああ、本当に馬鹿だなお前は」


直後、白光の軌跡が奔る。闇と光がぶつかる。

バゴおぉぉぉぉぉんんん。

遅れて来る破砕音。リールが踏み込んだ地面はもはや消失している。砂塵が霧のようにあたりに散る。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


純白の体現者の突貫。闇は、つばぜり合いの形で対応。

純白の視線と極黒が視線がまじりあう。

カラエルは、体制を低くし勢いをいなそうとする。

しかし、リールは剣を押し上げこれに対応

二人の年月がせめぎ合いぶつかり合う。


「二度も同じ手が通用すと思うなぁ!」


手首のスナップを効かせバックステップ。力を全力で出すことに集中していたカラエルは前につんのめる。低くした体制からそのまま突き上げ。


立ち昇る白光。鎧は盾を現出。そんなものではいなしきれず火山弾のように宙に舞うカラエル。


「ぶっっ!」


すかさず、天に飛び追撃。しかし振り上げた、剣は足で止められ裏拳。


流星が昼空に輝く。大地を振るわせる鳴音とともに塵煙が舞う。


「けほっ、けほっ」


砂がのどに絡みつき咳が止まらない。

そこに、這いよる暗黒。

砂塵に交じる暗黒が絶望を示す。


「やるなぁ、リール驚いたぜ。してやられた。」

「世事なんかいらない。オーラで盾を現出しながら上に飛び完全に衝撃をいなしたくせに。」


リールは、裂傷で痛む己の肌をにらむ。目の前に泰然自若にたたずむ男の切り傷一つない肌をねめつける。


これが彼我の実力差、これが格の違い。


歯ぎしりが止まらない。積み上げてきた自信なんてものが音をたてて崩落してゆく。ボロボロの体を鞭を打ち、立ち上がる。これが今まで幾度となく味わってきた敗北の味。


リールを包む光が裂傷を包み、癒していく。


剣を構える。踏み込む足は内側に、剣は剣先を外側に向けて、背筋をピンと伸ばす。


覚悟を決めろリール。あいつはもう団長じゃない。犯罪者だ。

紫紺の瞳が純白をまといぎらぎらと燃える。


「純だなぁお前は。」


一迅の風が吹き付ける。かがみ合わせの構え。ほほえみと殺意を交える。


もう心臓音すら聞こえない。


バガァァァァン!!


爆砕。瞬く間に距離が爆ぜる。

瞬閃交じる。濃密された時間の中で交わされる闇と光の円舞ワルツ

一合交じるだけでも爆音が周囲に響く。音だけで他の生物の生物の生存を否定する。


リールは考える。このままでは勝てない。純粋な剣術勝負では勝てない。都合2回の剣術勝負と今までの経験がそう断ずる。


リールの行動は早かった。剣を交じる中でオーラを現出し、二人を囲む。


進軍ルキア


一斉掃射。光弾が飛来する。

爆音。崩壊するはずだったその場所には黒い繭。

「あめぇよ」

咎めるかのように距離を詰め、突き上げるげんこつ。それを読んでいたかのように、こぶしをつかむリール。

「いやあなたの方が甘い。」

こぶしを捻り、地面にたたきつける。

地面が割れ、カラエルがゴムのように弾けて、浮き上がる。

しかし、たたきつけられる直前オーラで背中を守っていたのか意識を保つ。

カラエルは、宙に弾き飛ばされている最中に、黒い盾を生成。

次いで来る爆衝。備えていたためたたきつけがきたため体制を整えて着地。

上を見上げ、宙に浮かぶリールをとらえようとする。しかしいない。

まさか、あれは光弾。カラエルがそう考えた時にはもう遅かった

もう、リールが目の前にいる。

驚く間もなく斬りつけ。

黒の鎧がはがれ消失する。


「やるなぁ、リール。」

「ふざけるな!この戦いの最中あなたは何度私を殺せた!!」

回転蹴りを回転切りに、裏拳を腹ではなく首に。

そうするだけで殺せた。

偶々だなんててあり得ない。認めてなんかやらない。

目の前の男の表情はいまだ読めない。

ただ和やかで落ち着いている。肩口からどぱどぱと血液が流れているなんて思えないほどに。


「手なんか抜いちゃいねぇよ。ただ、無意識ってやつかもなぁ。もう、わかんねぇよ。俺もこんな事件起こしておいていまさら何ほざいてんだよって話だよな。わかるぜ。」


少女の顔は暗い。でも決めた。私は、ただの少女ではないアフデイル公国騎士団団長リール アーデイルだ。


カラエルの首元に剣を突き付ける。カラエルが見上げると、まだ幼い少女の姿があった。けれど、紫紺の瞳には敵意がのっている。


「カラエル アーデイル、なぜこんなことをした。止めろ。止めれるのならば死ね。」


声音は冷淡。倒れる反逆者に突き付ける裁定の剣。


「よくできた。それでこそ俺の弟子だ。」


感情が揺れる。決壊寸前の心は無理やり押しとどめる。


「無辜の民ってやつが信じれなくなった。知ってっか?リール。この国のやつ子供に石を投げるんだぜ。髪が白いってだけで。そんな奴ら救いたいと思うのか?俺は思えなかったそれだけだ。」


「魔物の止め方は?」


「ねえよ、うなもん。」


辺りに血が飛び散る。


遠くの方で都市が燃えていた。




いかがだったでしょうか。私は、長編のバトル小説を書こうとしているのですが、その考えている設定が自分の中でかなり気に入っているので失敗したくなく、今回はバトル小説の習作としてこの小説を書かせていただきました。習作であるためろくにプロットもなく、長い小説を中抜きしたものかのような内容になってしまい申し訳ありません。この作品で書かせていただいた設定はあれで全てです。これ以上何かがあるわけだはありません。長編のバトル小説を書く前にもう一作書く予定なのでよろしくお願いします。


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