みにくいアヒルの子
中学の3年間は音楽部に所属していた。音楽が好きだったわけでもなんでもない。去年卒業した兄が入部していたというだけで、なんとなく入部してしまったが、全然興味も無く落ちこぼれ部員だった。
部活もつまらない、男子とはうまく話せない、かわいくない、ただただ時間だけが過ぎていった中学時代。いつもそう思っていた。
進学を決めたことも特にやりたいことはなく、友達が行く県立高校をなんとなく受験した。そして合格。感動もなく、こんなもんかって感じ。私立だろうが県立だろうが、行ければどこでもよかったのだ。
そして、4月から電車通学となった。
入学式を終え、学校が始まった。電車通学は、思っていたよりも時間に縛られた。田舎の電車は、1本乗り遅れると1時間待つことになる。こうして友達のみきと電車通学の毎日が始まった。
わたしの専攻した生活科は、女子だけのクラスが2クラスある。そして、入学して間もなくどこからとなく視線を感じるようになった。
廊下や教室にいてもなんとなく見られている気がしたが、全く気にしていなかった。
入学して1ヶ月もたたない頃、夜自宅にいると電話がなった。父が、わたしに電話だという。
『田中さんて人から電話だぞ』
『田中さん?だれだ…?』
電話に出ると、女子の声で
『あ、川田さん?わたしわたし、わかる?同じクラスの田中だけど』
《誰だ…?全くわからないけど…》