わたしの卒業式
いよいよ迎えた、卒業式。この日々から卒業したい、ずっとそう思っていた。もう二度とこの学校にも来ない、本当におしまい。
でも、わたしの心の中では《本当にこのままでいいの?このまま卒業しちゃっていいの?》ずっとこんな声が聞こえてくる。わたしには、わかっていた。あみに会わないと本当の卒業式じゃない。嫌われていても、ちゃんと自分の言葉で伝えないとここから卒業できないということを。
卒業式が終わり、もうじき学校が終わる。あみに会わなきゃ。わたしは、あみを探した。
『あみ!』
『あみ、待って!ちょっとだけお願い!』
あみが苦笑いで振り向いた。
『え、なに?どうした?』
『あみ…あのときはごめん。許してもらえなくても、最後にちゃんと謝りたかった。本当にごめん。あみは大切な友達だったのに、わたしが裏切った』
『ゆま。もう大丈夫だよ。なんか私もごめん。あのことがまわりにバレてから、みんながゆまのこと無視しようってなって私も一緒になって無視してた。あんな男子よりゆまのほうが本当に大切だったのに、本当にごめん』
『あみ、ありがとう』
わたしの目から一粒の嬉し涙が溢れた。わたしは本当の卒業式を迎えることができた。
いろいろなことがあった高校生活。楽しかったことも、つらかったことも今となっては良い思い出。卒業してからもあみとは時々連絡をとっていて、その中でひろの話を聞いた。
あの悪い噂を流したのは、ひろのことを好きだった隣のクラスの女子だったらしく。ひろがわたしを好きだと聞いた彼女は、《ゆまは遊んでる女子》だと吹き込んだらしい。ひろは動揺してしまい、わたしを避けるようになったが、後日冷静になり自分の好きな相手を信じられなかったことが許せなくなりゆまと会うことをやめた、と言っていたのだ。
『誤解がとけたなら、それでいいかな。わたしは本当に好きだったけどね!』
『まだまだこれからいい出会いがあるって』
あみが励ましてくれた。わたしたちは、これで本当に高校生活を卒業できた。