悪い噂
ひろが立ち止まって振り向いた。
『マジで!嬉しい。ありがと』
わたしはドキドキして、その後の言葉は入って来なかった。そしていつの間にか、あみたちと合流していた。
『どうだった?』
あみがこっそり聞いてきた。
『好きってことは伝えたよ』
『で?』
『で?って…』
わたしはただそれだけだと伝えた。
『付き合うとか、そーゆーのは?』
『まだ…ない…かな?』
『そかぁ、なに考えてるんだろ?』
あみが不思議そうに腕を組む。
『ま、今を楽しもうよ』
4人であみの部屋に入って行った。
いちを高校生の外泊は禁止されているため、気が向いたわたしは、自宅に帰って来た。夏休みぶりに両親に会った。随時連絡はしていたので、怒られることもなく平和に迎え入れてくれた。
翌朝、地元の駅でみきに会った。
『おはよ。最近見かけないと思ってたら…。もしかしてやっと帰ってきたの?』
『そそ。たまには実家に帰ってきたよ』
『そういえばゆまの変な噂流れてるよ。最近会わないから、言わなかったけど…』
『え?なに?』
『なんか。ヤリマンとか、誰でもOKみたいなこととか…』
『え、ははは。わたしまだ未経験よ』
『でしょう、私も知ってたから、否定したんだけど…』
『別にいいよ、噂なんて気にしない』
でも、噂はひろの耳にも入っていたのだーー。