19話 お楽しみのはずが・・
俺は勇者になって、魔王を倒す物語を空想していたと虹子に説明した・・
「勇者って、子供みたいね・・」
「別にいいだろ!暇なんだから、それに結構、楽しいし・・」
「ふぅーん・・それでニタニタしてたの・・」
「まぁな・・」
納得したのか、虹子は大きく溜め息を1つ付いて
「私、本当に心配したんだから・・隼人が変になったと思って・・」
ホッとすると
「で、その物語に私は出て来るの?」
「出て来ない・・」
「何で?私も出たい!」
「いや・・急に言われても・・」
「何でよ!空想するだけでしょ、簡単じゃない!私も出して!毎日、見舞いに来てるのよ!」
「そう言われても・・魔王を倒す話だからな・・」
「私が美しい姫で、溢れる美貌で魔王を倒すってのはどう?」
「どうって言われても・・話がメチャメチャになる・・」
「じゃあ隼人がヤられた後、私が女神になって救うってのは?」
「う~ん・・ダメだな・・」
「何でよ!じゃあ空想なんて止めて!じゃないと、もう見舞いに来ない!」
「いや、それは・・」
「大体、妄想なんかでニヤけてる場合じゃないでしょ!ちゃんと現実を見てよ!」
俺は黙ってしまったが・・虹子は黙らない!
「どうするのよ!そんな身体になって!もっと、為になる事に時間を使って!現実逃避してる場合じゃないの!分かってる!」
これ以上、虹子を怒らせたくない俺は、空想するのを止める事にした・・
『これから、お楽しみだったのに・・』
(終わり)