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15話 ご機嫌
俺が歩く周りには、剣士や魔法使いが自分を売り込みに群がって来る・・
「俺は、めちゃくちゃ強いから連れてってくれー!」
「一緒に魔王を倒しましょう!」
「私は力では誰にも負けん!」
「俺は足が速いぞ!」
「俺、めちゃ大食い!」
「私は貴方を守るためなら、命を捧げます!」
俺はピタリと歩みを止めた・・
「今、命を捧げるって言った?」
「はい!言いました!」
「君、名前は?」
「優菜と申します」
「よぉーし、優菜!一緒に魔王を倒しに行くか!」
「はい!お供いたします!」
新たな仲間が加わり、俺がご機嫌になっていると・・
「はぁ~っ!てめぇは、めでてぇ奴だな!」
「ん?」
声に振り返ると
「命を捧げるなんて、嘘に決まってるだろ!勇者ってのは、ほんとバカだな!」
派手な格好に杖を持った女が、呆れ顔を見せていた・・
「君、魔法使い?」
「だったら何だ!」
「君も魔王討伐に行きたいの?」
「当たり前だろ!私の魔法を魔王にブチ込む!」
「じゃあ、一緒に行こう!君も美人だし、俺に気があるみたいだから!」
「は?気があるなんて言ってねぇだろ!」
「顔に書いてある」
「書いてねぇよ!」