うつくしい世界
幼い頃から観てきた景色
きれいきれい
みんなうつくしい
国は国として
人は人として
それぞれに咲き誇り
気高く芽を出していた
友の語る夢は真っすぐで
瞳に映る羊雲にうっとり
確かにあった素晴らしい世界
私のみた世界
どうしてかな
あの頃の気持ちや景色が
潰れていく
やり損なった塗り絵のようで
ぐちゃぐちゃと
世界は取って付けたような色を重ねていく
汚い汚い
みんな醜い
国は神秘性を失い
人は心の居場所を失いつつある
オセロゲームの様に覆る常識
何だか無理やりで
納得しがたい心情
夢を語った友の行方は知れず
消えた羊雲を目蓋の裏で追う
私は大人に成ってしまった
確かに観ていた世界
私の美しい世界
偽りだった
結局は先の大人たちが隠して
汚し続けてきた世界
蓋を開ければこんなもの
だけれど癪だ
このまま終わっていくのは腹が立つ
世界はうつくしく
人は気高いのだ
信じる神は居ないけれど
そこだけは譲れない
国は国らしく
人は人らしく
うつくしく在ることができる
私は信じている
これからもずっと信じ続けていく
どれだけ世界に灰が掛かろうとも
払い除けてうつくしく語ってやろうじゃないか
じゃないと
嘘をつき続けている大人たちが報われない
私たちに夢を見させてくれた大人たちが報われないからな
『世界はうつくしい』
こんな当たり前のことを言えないで
人間なんてやってられるか
このくそったれ!