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前編 執事が私のパンツをくんかくんかしていた

 前編 執事が私のパンツをくんかくんかしていた

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「私、あなたのことが……」


 唇に人差し指がそっと添えられた。

 少し困ったような、それでいてとっても優しい笑顔。

 心臓の鼓動が、このままはち切れちゃうんじゃないかってぐらい速くなって、聞こえちゃうんじゃないかってぐらい大きくなって、


「お嬢様、私はただの執事です。お嬢様にはいずれもっと素晴らしいお相手が現れるでしょう。だから、そのお気持ちには答えられません」


 ーーそう、ですか。


 それでも、私はあなたのことが……


『好き』


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 私は今、扉の前で立ち往生していた。

 昨日は早まったかもしれない。

 答えなんて予想ついていたのに、少し焦ってしまった。


 はぁー、どうしよう……


 どんな顔して接すれば、、

 まともに顔合わせられないわよ。

 今日は丸一日上の空だった。

 学園の授業なんて何も耳に入ってこなかった。


 いけない!


 何焦ってるのよ、カンナ。

 私は公爵なのよ、誇り高きモンティーニュの名を背負っているのよ。

 貴族の中では一番、王族の次に偉いんだから。

 執事の顔色なんてうかがってどうするのよ。

 堂々としていればいいの。

 学園と同じよ。


 女は度胸、


 えい!


「ただいまかえりました……わ?」


 くんくん


「え?」


 くんかくんか


「……」


 ????


「お帰りなさいませ、お嬢様」


 家に帰ると、私の部屋に執事がいた。

 いや、それ自体は何の問題もない。

 個人的に、昨日告白して振られたばかりだから少し会うのか気まずいなみたいな感情はあるが、私の部屋にいたからといって何かいうのは違うだろう。

 彼は執事だ。

 主人の部屋での仕事などいくらでもあるだろう。

 主人のいないうちに掃除とかしてくれるのはありがたい限りだし、出来る執事だと誉めて然るべき行動だとおもう。


「ちょっと待って、え? 何してるの??」


「はい?」


 執事がベットの上にいた。

 それもまぁ、ギリ問題ないといってもいい。

 年頃の女の子のベットの上にいるのはちょっと思うところがあるが、まぁ仕事だしね。

 いくらでもメイドがいるのだからメイドにまかせろとかおもわないでもないし、彼に寝具を整えられるのはちょっと恥ずかしいけれど。

 まぁ、何か言うほどのことでもない。


「いや、ハイじゃなくって」


 ただ……私のパンツを嗅いでいるのはどういう了見だろうか?

 事案どころの騒ぎじゃないでしょ。

 雇い主のパンツを嗅ぐとか、それ以前に少女のパンツの匂いを嗅ぐとか……

 

 お縄案件まっしぐらでは?


 しかも、なんかやたら落ち着いてるのもムカつく。

 なんでそんな済ましてるの?

 なんでそんな顔してられるの?

 「何かありましたか?」みたいな顔しやがって。


 悪びれる様子一つないのは、一体どういう了見だ?


「なんで、その……私のパンツを」


「これも全ては執事のお仕事なのです。お嬢様が体調を崩されていることに気づかないなんてことあってはならない、だからこそこうして体調をチェックしていたのです」


「……だから私のパンツの匂いを嗅いでいたと?」


「はい」


「……」(イラ


 何が「はい」だ。

 それが理由になるとでも?


 え、、


 ならないよね?

 世の執事はご主人様の体調管理のためにとかいってパンツの匂い嗅いだりしないよね?

 これ、私がおかしいわけじゃないよね?

 こいつが頭おかしいだけだよね?

 

 まるで私がおかしいみたいな言い方しやがって、なんてやつだ!


 こいつは匂いで私の体調の良し悪しがわかるのか?

 なんだその特技は。

 どんな匂いだと体調が良くて、どんな匂いだと体調不良だというのだろうか。


 というか、その手に持ってるおパンツをさっさと離せ。

 いつまで私のパンツ握りしめてる気だ!

 流石に恥ずかしいんだぞ。


「いかがなさいました?」


「いや、ちょっと声も出ないっていうか」


「そんな、感動されるほどのことではございません。あくまで執事として当然のことをしたまで、お嬢様が気に留める必要など一切ないのです」


「……」(イライラ


 なんでこいつは、まるで自分がいいことをしていたみたいな反応が出来るんだ?

 なんでこいつは、あくまで当然のことをしたみたいな出来る男オーラを出してるんだ?

 なんでこいつは、私のパンツを握り締めながらこんなセリフが吐けるんだ?


 はぁ〜


 なぜ、私がパンツの匂いを嗅がれて感謝しなければならないのか。

 どんな特殊プレイだよ。

 私も性的なことに興味が出てくる年ではある。

 図書館でちょっとエッチな挿絵を見つけちゃったりして、顔真っ赤にして手で覆ってその隙間から見ちゃうぐらいの真っ盛りだ。


 だが……


 確かに年頃で耳年増になりつつあるけど、、

 そこまでのは知らない世界だって!

 レベルが高すぎるって!!


 年頃の少女に聞かせることすら憚られる事を、何故堂々と少女を目の前にして行動に移せるのか。

 それがわからない。

 明らかに悪影響だろこいつ。

 執事がご主人様に悪影響与えるとか、何考えてやがるんだこいつは。


「しかし、今日は普段と違った香りが致しますね。尿ともアセとも言えないような、、」


 ひぃ!!


 おま、何が香りだ!

 変な感想なんか、ソムリエみたいなこと言いやがって。


 っていうか、毎日やってたんか!?

 これ初犯じゃなかったんか。

 いや、なんとなくそうだろうなとは思っていたけど。

 私、毎日パンツの匂い嗅がれてたの?


 え? 嘘でしょ??


 ……違う匂い?


「お、おま!! それ朝洗濯に出した」


 き、昨日勇気出して告白して、そして振られて。

 夜になってベットに入って、それでもあの時のドキドキがおさまらなくて……

 本で読んだのをちょっと試して、、

 

 違う匂いって、もしかしなくても!?


「それはそうです。使用済みでなければ、そして直近のモノでなければ意味などありませんので」


「死ねぇーー!!」


 ベシッ!!


 はぁ、はぁ。


 結婚もしていない、ましてや彼氏でもない男にそんな匂いを嗅がれるなんて、、一生の不覚。

 私、もうお嫁に行けない。


「せ、責任とってよね」


「え?」


「せ、責任とって、私と結婚しなさいよ」


 はぁ、なんで私こんなやつ好きになっちゃたのかしら?


 我ながら本当にちょろい女ね。

 失恋を慰められてコロッといっちゃうなんて。

 でも、あんなことあって惚れない女の子なんているのかしら?

 それはそれで生物として欠陥があると言わざる得ないと思うの。

 生物として優秀な他者に魅力を感じるというのはとても自然な事だもの。


「お嬢様、私はただの執事です。お嬢様にはいずれもっと素晴らしいお


「」(イラ


 ボコッ!!


「本当に死んでまえ!!!!」


 いえ、やっぱりこんなのに惚れる私の方に欠陥があるのかしら?


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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