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騙してキスして蕩かして  作者: 真杉圭
三章-天使選考
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七十八話-お茶会、終わり

 リーリエ・イノはやはり興味を引くらしい。

 彼女らは口々に下世話な質問をした。


「どんな肌着?」

「決まった相手はいるの?」

「気になっている人は」

「男遊びは?」


 などなど、それらの質問をトオルはどうにか躱し、質問コーナーを終わらせた。


「トオルって評判通りね。下馬評通り、ルシルとトオル、二人の勝負かしら」

「まだ始まったばかりだし、わかりませんよ」

「それもそうね。でも、私は無理。前、威張っていたし」


 リアーロの噂はそういうものが多かった。天授階級であることを利用した平民への甚振り。

 別人というほどではないが、今の彼女からはそういった類の厭らしさは感じない。


「ジャニスとセフォンは頑張り次第で次もあるものね」 


 学生生活は長い。毎年、ある催しなのだから次で勝てばいいのだ。今回で株を上げて、というのは建設的と言えるだろう。


「選ばれたら頑張りたいですね。神様に会える可能性なんてこれからないでしょうから」


 セフォンは恥じらう様に笑った。

 神官でもなければ手柄もない。会えるだけで凄い名誉。

 これがこのネメスの人々の認識だ。


「またまた。それだけじゃないでしょ。乙女なのだからねえ?」


 リアーロがニヤニヤと笑うと、セフォンもはにかんだ。


「そりゃあ、好きな人と、って思いはしますけど具体的には」

「へえ、そうなんだ。私はいるけどね」

「誰です?」

「流石に教えられないわ。ジャニスもそうでしょ?」

「ですね」

「二人とも相手がいるんだ」

「貴方だって、今選べと言われたらいるでしょう?」


 そう言われ、セフォンはトオルを見た。

 彼女の目がどういった種別のものなのか、流石に感じ取れる。


「私もまだですね」

「へえ、リーリエじゃないんだ」

「尊敬できる人ですけど、恋愛対象かどうかはまだ」

「賢い答えね」


 リアーロに茶化され、トオルは笑う。


「少し打ち解けられたことだし、今回はこの辺りでお開きにしましょう」


 リアーロに言われ、皆席を立った。


「楽しかったです」

「私も」


 ジャニスとセフォンが朗らかに言う。

 緊張していたセフォンから考えれば大きな変化だ。


「お茶、ありがとうございました」


 トオルも礼を言い、その場を離れた。

 トオルだけが寮生ではないので、一人で外へ向かう。

 その途中、片付けを手伝った方がいいかと考え、ジャニスの部屋に戻る。

 小さくノックをし、返事がなかったので扉を開く。


「あっ」


 声がまず出た。

 茶色の髪と黒の髪が重なるほど近くて、二人の唇は重なっていた。

 リアーロとジャニスの接吻である。


「失礼しました。ごゆっくり」


 トオルは静かに部屋を出た。

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