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希望と願いをこめて飛び出した宇宙船、しかし現実は

 問題を起こした恒星間宇宙船。

 それは人類の希望であるはずだった。



 人類繁殖の為の移民計画。

 他の天体への進出。

 そんな夢と希望を乗せた航海だった。



 地球以外への進出。

 ついに人類は宇宙の彼方に版図をひろげる。

 そこまで発展と進歩を遂げたという証。

 文字通り地球規模の大事業として、この旅は計画された。



 同時にそれは、地球に何かあった場合の保険でもある。

 最悪、人類が滅亡しないように。

 全滅の可能性を少しでも減らす為に。

 そんな目的もあり、新たな生存圏を確保しようとしていた。



 そのリーダーに選ばれたのが、川妻シュウである。

 それは彼の生まれた家と地位によって決まったものではある。

 だが、そこにあぐらをかかないシュウの努力、持って生まれた才能。

 それらもまた正しく評価されてのものだった。



 他の者も同様だ。

 才能や能力、そして人柄。

 新天地に向かうにあたり、それらが優れた者達が選ばれた。

 それは、ある意味選別という意味もある。



 地球人類は決して高尚な生き物ではない。

 騒動や騒乱を起こすものだ。

 しかし、それを外にまで持ち出す必要も無い。

 なので、新天地に向かう者達は、単に能力だけではなく人間性も含めて選別された。

 平等という理念からは外れるだろう。

 しかし、無駄な争いまで拡大するわけにはいかない。

 面倒なもめ事は地球だけに留める。

 そんな決意もこの計画にはあった。



 残酷な切り捨てという側面は否定できない。

 しかし、そこには騒乱への嫌悪感が確かにある。

 どうしても意見の違いは出て来てしまう。

 また、悪意によって引き起こされる問題もある。

 それらはここで終わりにしたいという悲願がそこにはあった。



 だが、そうして出発した宇宙船では争いが発生した。

 何が原因か分からないが、宇宙船では問題が発生した。

 その問題の対策のため。

 最悪は宇宙船から脱出するために、シュウ達は再生された。

 宇宙船そのものが駄目になっても、ほんのわずかでも人類が生き残るように。



 そんなシュウ達は、何者かに襲われている。

 目的は不明だ。

 しかし、それは地球に留めようとした争いが、外で解放された事を意味している。

 願いや希望はあえなく潰えた。

 その事にシュウはため息を漏らす。

「こんなはずじゃなかったんだけどな……」

 再生時に移植された情報。

 それを思い出すとやるせなくなる。

(なんでこうなるんだか)

 争いの種になるようなものを取り除いた。

 それでも争いが起こった。

 もう、それは人類の本性なのではないかとすら思えてくる。



 とはいえ、嘆いてもいられない。

 起こってる問題を解決しなければ、この宇宙船の目的が果たされない。

 人類はついに宇宙にまで飛び出していけるようになったのだ。

 その先に新たな拠点を作るために旅立つ事が出来るようになった。

 それをここで終わらせるわけにはいかない。

 地球での失敗を踏まえ、その失敗を繰り返させなと願った者達の為にも。



 しかし道のりは険しい。

 この区域はまだ大丈夫だ。

 人工知能が乗っ取られるまでは。

 しかし、隣の区域はどうなのか?

 そこは襲撃者達に制圧されてるだろう。

 そんな所に踏み込んで無事でいられるのか?

 保証は何一つない。

 だが、そこを通り抜けねば制御中枢に辿り着く事は出来ない。



「出来るだけ安全な道をたどりたいな」

 車中で他の者と作戦をたてていく。

 ほぼ確実に襲撃してきた者達に制圧されてる区域。

 無事にそこを通り抜けられるなどと誰も思ってない。

 何らかの妨害はあると誰もが考えていた。



 それらを避けて制御中枢へと向かう。

 それがかなわなくても、安全地帯を探す。

 可能なら、身を隠せる場所を作り出す。

 また、場合によっては船外への脱出も。

 ここが宇宙のどのあたりかは分からない。

 しかし、脱出用の宇宙船を探して、それに乗って逃げる事も考える。

 そうして飛び出したとしても、生きて別の星にたどり着けるか分からないが。

 だが、ここで朽ち果てるよりは、と考える。

 その為の手段を考えていく。



 短い時間で考えつく方法は少ない。

 その中で最も効果的と思える手段を採用していく。

 何はともあれ、制御中枢に向かう。

 そこで事の真相をつかむ。

 つかめなくても、宇宙船の制御を取り戻す。

 そうしなくては解決はのぞめない。

 シュウ達はそう考えていた。



 作戦を何とかまとめていく。

 この場にいる人間と、持ち出せた機材。

 それだけでやれるかどうかは分からない。

 だけど、今ここにあるのはこれだけだ。

 手の中にあるものでどうにかするしかない。

 途中、使えそうなものを回収するにしてもだ。



 話が終わり、全員が持ち場につく。

 シュウも自分の座席に戻る。

 そこで待っていたヒロミが笑顔で迎える。

「おかえり」

「ああ、ただいま」

 たったそれだけのやりとり。

 しかし、殺伐とした中では、それがありがたい。

 そんなヒロミの隣に座る。

 ヒロミが頭をシュウの肩にのせてくる。

 それを受け止めてシュウは、目を閉じた。

 少しでも休んでおくために。

 次に何か起こるまで。

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