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6.線


六本線シクスライン?なにそれ?」


「エルのタリスマンを見てみて、線が一本だけ光ってるの分かるかな?」



 エルはついさっき渡されたばかりのタリスマンを確認する。タリスマンの中心には一本だけ薄く光る線が浮き出ている事が分かる。そしてその薄く光る線を指さすエルレン。



「信仰石っていう素材から作られているんだけど、この線はヘヴンを上るごとに増えていくんだ」



 信仰石はヘヴンの因子に触れる事で光を放つようになる石だ。密度の高い信仰石は薄いヘヴン因子に触れる事で光るが、その逆に密度の低い信仰石ではより濃度の高いヘヴン因子に触れなければ光る事は無い。そのためタリスマンに使用されている信仰石は密度の低い信仰石からより密度の高い信仰石へと8段階に分けられており、ヘヴンを上れば上るほど線が増えていくという仕組みになっている。


 また何故線が最大で八本なのかというと現状、第八試練から帰ってきたものは誰もおらず第八試練の情報が何も無く、そもそも本当に存在するのかすら不明だからだ。



「というと第六試練までたどり着けた人っていう事?」


「その通り!六本線シクスラインの生徒は巡礼の為に訓練を受ける必要が無いんだ」



 ヘヴンを巡礼する為の訓練は厳しい環境下で生き残るためにはとても重要であり、またこの訓練を受けたものと受けていない者では生存確率が大きく違う。しかし訓練と言ってもその指導をするのは大抵、五本線フィフスラインの信者である。勿論第五試練までたどり着くだけでも相当の実力の持ち主である事は間違いないのだが、それよりも高位の信者から訓練を受けれるのならそれに越したことは無い、というのが一般論だ。



「すごい…!それならヘヴンにも上れるんだ!」


「うんまぁ、一般的な訓練を受けても上れるんだけどね…でもやっぱり理解のある六本線シクスラインが教師になってくれれば話は一番早いと思う」



 少しづつ自身のやるべき事が明瞭になっていきやる気に満ち溢れているエルは鼻息を荒くして興奮気味に立ち上がりエルレンに詰め寄る。



六本線シクスラインに教師やってもらうためにはどうすればいい!?」


「うおっ、落ち着いて落ち着いて…まず、さっきは軽く言っちゃったけどこれは意外と難しい」



 エルレンにより椅子に押し戻されたエルは不満そうな顔をした。それを見たエルレンもまた難しそうな顔をする。



六本線シクスラインの人達ってすっごい…なんていうかなぁ…あー、うん…個性的?なんだよね」


「こせいてき…」



 クリアストリに住む信者達の大半は第三試練 後悔の海で足止めを食らう事が多い。信者人口の殆どは三本線サードライン以下だ。


 凡人でも訓練を受け適切な行動を心がければ後悔の海までは上ることが出来る。そして後悔の海を越え第四試練 捨てられた街にたどり着く信者は賜物を回収することで生計を立てているような熟練集団だ。さらにその上、捨てられた街をも越えて第五試練 失楽園に行ける信者はヘブンに人生を捧げているようなプロだ。


 それらを全て乗り越え第六試練 理想郷に行ける者は強力な賜物を所持していたり、何かしらの天性を得ていたり、"天才"だったり…つまりは才能のある信者だけである。



「まずまともな人は居ないよ。でも六本線シクスラインが生徒を持つことは実例としてあるし絶対無理では無いはず」


「そ、そっか…ちょっとふあんだな…でも100人に一人でも話を聞いてくれる人が居れば…」



 エルの言葉を聞いたエルレンは申し訳なさそうな表情をする。



六本線シクスラインは現状7人しか居ない…んだよねぇ」


「すっくな!?」



 エルは驚愕のあまりまたしても勢いよく立ち上がりエルレンを驚かせる。エルのあまりの勢いに若干のけぞるエルレン。



「うぉっ…ま、まぁ仕方ないんだよ。第五試練 失楽園は本当に危険だから…」


「な、ななぶんのいちぃ…!い、いけるか…?」



 六本線シクスラインに生徒にしてもらうために必死に自己紹介を考えるエルだったが記憶が曖昧なせいでなかなかに苦戦していた。



「取り合えずダメもとで行ってみるかい?僕も付きそうからさ」


「う、うん…そうしよう。エルレンありがとう…」



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