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死地天国~神の地へ挑むワケあり少女ともっとワケありな男の物語~  作者: 御味九図男
ヘヴン・第一試練 祝福の園
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24.旅路


~ヘヴン第一試練 祝福の園~



「グウィンドさん、さっき刺されてましたけど大丈夫なんですか?」


『…問題ない』



 二人はヘヴン第一試練 祝福の園を歩く。天国門から入ってきた所を待ち伏せされている…なんてことは無く、天国門の先には普段通りの美しい光景が広がっていた。そして今は第二試練 鈍色の地を目指して歩いている。



「あ、そういえば賜物ってどんな所を探せば見つかるんですか?」



 エルは実感したやはり自分は無力なのだと。折角グウィンドと協力して上を目指しているというのに守られてばかりでは…情けないので自身でも戦うために賜物を見つけたかった。



『…ランダムだ。道端に落ちている事もあれば…木の中に埋まっている事もある』


「えぇ…なんかありがたみ無いですね。はぁ…賜物を拾って私も戦えるようにしなきゃなぁ」



 ため息をつくエル。そんなエルにグウィンドは軽く注意する。



『…戦闘しようなんて考えるな…お前は自分の身を守る事だけを考えておけ』


「でも…それだとグウィンドさんばっかり大変な思いを…おおっ!?」



 グウィンドは隣を歩くエルを左手で掴むと背負っている大きな背嚢の上に座らせた。グウィンドは背中に大きな背嚢と更に巨大な銃を背負っている為意外とエルくらいの女児ならば足を延ばして座れてしまうくらいのスペースがある。



『…お前に心配される程俺は脆くない』


「は、はい…」



 エルは大きな背嚢の上でちょこんと背嚢を抱きかかえて辺りを見渡す。動く影はあるが、あのサイズだと多分テルケダマだろう…ちょっとしたトラウマを思い出して青ざめるが、気を取り直して遠くを見つめる。テルノキがぼちぼち生えている程度であまり変わり映えのない景色、なんだか眠くなってしまう程だ。



「………すぅ………っ!おおおお…!?」


『…落ちるなよ』



 一瞬居眠りしてしまい大きな背嚢から落ちそうになるが、ギリギリの所で耐えた。グウィンドは残光巡礼隊及び、残光巡礼隊の息が掛かった信者に発見されぬように本来推奨されているルートを外して進んでいる為他の巡礼者とも会わない。…それがエルの眠気を加速させているのだが…仕方ない。



「すみましぇん…眠たくて…」


『………これをつけて寝ていろ』



 エルはグウィンドからロープを渡される。ロープの先を見てみるとグウィンドの背負っている大きな背嚢に繋がっていた。エルは理解してそのロープを自分の身体に巻き付けた。



「ごめんなさい、グウィンドさんにだけ歩かせてしまって…」


『……』



 エルはグウィンドの言葉に甘えて少し居眠りする事にした。心地よい風、心地よい日差し…エルが眠りに落ちるまでそう時間はかからなかった。



□□□□□□□□□□□□□□□□□□



「ねぇ…あなた…名前は…?」



 下半身の無い女の人が私に話しかけている。



「そう…いい…なまえ…ね」



 女の人は私の頬に触れる…冷たい手。



「お願い…が、あるの…」



 女の人は私の手を握る。



「…連れてきて…欲しい…人がいるの…勿論、お礼はする…わ」



 女の人は耳についている青い飾りを外して、私の耳に着けた。



「わたし…は、もう…駄目みたい…だから先…払い…ね」



 女の人は私を見る、それから目を閉じてほほ笑んだ。



「似合…ってる…わ……はぁ…ごほっごほ…よく、聞いてね…」



 女の人は瞼を開き、私の目を見る。



「その人の…名前は…」



□□□□□□□□□□□□□□□□□□



『…なんだ』


「…うむぅ…グウィンドさん?…何かありましたか…」



 ぐぐもった声が聞こえて目を覚ますエル。辺りが静かだからグウィンドのぼそぼそ喋る声でも起きる事が出来た。



『…』


「すみません…寝言でも言ってましたか…?」


『………気にするな』


「?はい…」



 エルは大きな欠伸をして辺りを見渡す。景色は相変わらず薄い金色の雲に、光が零れる大岩、輝く実を成す木々…そして空は穏やかな光に包まれていた。結局のところ全く同じ景色だ。



「ふぁあぁあぁあぁ……わたしどれくらい寝てました?」


『…8時間だ』


「なるほど……えええええええ!?ごめんなさい疲れてますよね!?今すぐ自分で歩きます!!!」



 エルは転げ落ちるようにグウィンドの背嚢から降りる。流石に申し訳なさ過ぎて泣きそうになるエル。そして飛び降りた瞬間に大変な事に気が付く、グウィンドの身長は2m以上ある。そしてさらに大きな背嚢で高さが増している…そんな所から飛び降りれば…。



「ぐえっ!」


『…何をしている』



 勢いよく地面に衝突…しなかった。地面にぶつかる直前に先ほど括り付けたロープがエルの身体を吊った。危機一髪である。…落ちても捻挫する程度だが。



「た、助かったぁ…!ロープ…あって良かったぁ…!」


『…そうか』


どしん どしん ぶらん ぶらん


 エルはぶら下がったままだがグウィンドは止まる様子が無い。そう、グウィンドは気が付いていないのだ!エルは括り付けたロープにより地面すれすれの所でぶらんぶらんしている。



「さっきから何度もごめんなさい…助けて下さい…」


『……落ちていたのか』



 エルはグウィンドにロープを解いてもらいやっと解放された。そして自分に楽をした罰だと戒めた。



「ありがとうございます…はぁやっぱり一人だけ楽した天罰なんでしょうか…」


『…天罰では無い…ただの事故だ、次から注意すれば…再発はしない』


「気を付けます…」



 怒られたのか、慰められたのか不明だがどちらにせよ純粋なエルは次そうならない様にしようと心に誓っていた。



『…腹は減っていないか』


「あっ…そういえば……空いてます」


『…休憩だ』



 グウィンドは一際大きなテルノキの下に背嚢をどすんと置いた。するとその大きなテルノキの幹を右手で掴み…



『……』


バリバリバリバリ!


「えっ!?えっ!?何してるんですか!?」



 ひと掴み分、引きちぎった。


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