【スカートの中身当てゲーム】
あらすじの通り本編では明石颯舞の通学時の電車待ち30分間の暇つぶしを切り取ったものです。
読みながら、
懐かしくなるような。
バカバカしくてにやけてしまうような。
こんな友だちがほしいと思えるような。
そんな作品気持ちにさせてくれる作品が大好きで、
たまらなくなって自分でもかいてしまいました。
拙いと笑ってください。
馬鹿だと笑ってください。
駄作と笑ってください。
アホらしいと笑ってください。
それが何よりも嬉しいです。
「明石、次の電車まで何分だ?」
「正確なところはわからんが、さっき目の前で出発したから次は」
「30分後だね」
「………これだから田舎は嫌だよな」
「まあ、利用者が少ないから仕方ない気もするけどね」
「んじゃ、今日は何しようか‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
そうだ、スカートの中身当てゲームでもするか」
毎日の通学で発生する、電車を待つ30分間。
俺たちはこの無駄な30分を埋めるために毎日『何か』する。
時にはジュースを賭けてじゃんけんで勝負し、時にはただただしりとりを、時には真剣に語り合う。
部活動、体育祭、文化祭、修学旅行。高校生活において青春を謳歌する為のイベントは沢山あるだろう。
でも、帰宅部で高校とバイト先と家を行き来するだけの俺にとっては、この次の電車を待つ30分こそ、青春なのかも知れない−−−−−−−−。
「電車待ちの30分×暇つぶし=青春」
【スカートの中身当てゲーム】
市立西城高等学校は市の中心から8駅ほど離れた場所に位置している。
辺境の地故に国鉄は通っておらず、経営ギリギリと噂の私鉄が一本だけ通っている。
西城の生徒の殆どがこの電車で通学している。
なんせ、周りを見渡せば田んぼと新幹線の線路と巨大ニトリと医療センターしかない。
そんな、なんとも微妙な田舎だからこそ、そもそも近隣住民の数も少ない。徒歩や自転車での通学圏に住んでいる生徒なんて稀だ。
しかし、裏を返せばそれだけ広大な土地があるということで。
西城高校は県下でも5本の指に入るであろう敷地面積を誇る。大きな校舎に広いグランドは部活動に勤しむ学生たちにとっては有意味かもしれないが、一部生徒には有害ですらあるだろう。
そう。俺みたいな、帰宅部には肩身が狭い。
終業のチャイムがなると多くの生徒は各部活動ごとに固まって部室へと移動していく。
学校指定の鞄以外に部活動用具の入ったサブバックを担ぎ、仲間とともにだべりながら歩く姿は青春そのものだろう。
5月の今、新学年や新しいクラスになってまだまだ一ヶ月。クラスにおける自分の立ち位置、属するグループの選択、全員が様子見の浮ついた雰囲気が学校全体を包んでいる。
友だちも少なく、部活動に参加していない俺にとってこのフワフワした空気は居づらさを加速するだけだ。
そんなじれったさを吹き飛ばすような爽やかな春風が教室を通り抜ける。
帰る準備をしている俺の肩に、ぽんっと手が置かれる。
「おっす明石。今日はもう帰るのか?」
顔を上げるとそこには、三木 亮輔がいた。
2年2組のクラスメイトであり、中学からの悪友。
身長178cm体重70kg、筋肉質で小麦色の肌と笑うと見える真っ白な歯のコントラストが如何にも、な運動部っぽい爽やかさを醸し出しているが、こいつも帰宅部。
帰ってからは専ら趣味のオタク活動に励んでいるそうだ。ここまで外見と中身の乖離が激しいのも珍しい。
「ああ、学校にはもう用事はねえよ」
「ほんじゃあ、ま、帰りますか。次の電車が7分後にきちまう」
「おう、急ぐか」
亮輔と俺は同じ帰宅部であり、同じ駅のユーザーでもある為、お互いに用事がない限りは毎日一緒に帰る流れが1年の時分から自然と出来上がっていた。
校門を出て直進500mくらい先に西城の最寄り駅「半八木」はある。
おそらく利用客の99%が西城の生徒であろう。登校時間と下校時間には生徒でいっぱいになる光景が日々繰り返されている。
飲料とアイスクリームの自動販売機がある以外は、長い年月を経て自転車から金属の塊になった廃棄物が放置された自転車置場といつ見ても開店していないタバコ屋しかない。
もちろん駅員さんも常駐していない。
そんなどこにでもある田舎の駅が俺が毎日利用する「半八木」駅だ。
高校生男子が普通にあるけば、5分もあれば着くはずだが、事はそう単純ではない。
ここは田舎だ。一応登りと下りの2本路線はあるが、改札は下り側にしかない。
俺や亮輔は登校時は下り線、下校時は上り線を使う。
つまり、登校時は下車後スムーズに改札へと行けるのだが、下校時は改札をくぐってから反対側のホームへと地下を通らなければならない。
この地下道が短い割に階段が多いのだ。油断していると登りきった辺りで電車を見送ることになってしまう。
7分は本当に微妙なラインだ。走れば余裕だが、歩いてもギリギリ間に合う。ここからは一秒も無駄にはできない。
「あ、明石くんと三木くんも今帰るところ?」
下駄箱で上履きから履き替えていると神戸 夏樹に声をかけられた。
「お、夏樹も今帰りか?夏樹は今日も可愛いな」
「ちょ、三木くん、それ止めてって言ってるじゃん…普通に恥ずかしいから…」
「恥ずかしがれるお前が俺にはわからん」
神戸は1年の時のクラスメイトで、今でも仲良くしている。
亮輔とは対象的に、身長はそのまで高くないのにすらっとしていて透き通るような白い肌と細い四肢が特徴だ。
昨年行われた校内美少女ランキングにおいて学年5位にランクインした、大変徳の高い『男』だ。
入学して早々に亮輔が自主的に始めた美少女ランキング作成が、男子の中で爆発的に広まり、学年内男子全員の投票による一大プロジェクトになったのだ。
まあ、言わば顔だけだと誰が可愛いかという失礼なランキングなわけだが、もともとの内気な性格も相まってクラスでひっそりとしていた夏樹は外見だけで女子だと思われた挙げ句、見た目の可愛さにより見事入選したわけだ。
サラサラのショートヘア、大きな黒目と長いまつげ、白いつやつや肌に薄ピンクの唇。
小柄で童顔が故に高校生の今ですら女の子に間違えられるほどだが、しっかりとついているべきものも付いてる。ここまで外見と性別がそぐわないのも珍しい。
「おっと、無駄口叩いている暇はねえ。急ぐぞ、明石、夏樹」
「うんっ」
亮輔の掛け声と同時に小走りぎみで駅へ向かう。
駅までの道は見晴らしのいい一本道で、小さく区切られた畑と数軒民家しかない。
田畑をくぐり抜けた心地よい風が俺らを後押ししてくれる。これなら間に合いそうだな。
……ん?
「なあ、亮輔。この状況で言うのもなんだが、一ついいか?」
「ああ。どうした」
「お前、上履きで帰るのか?」
「あ?…‥‥‥‥‥あああああああああああ!もっとはよいえやあああああああ」
亮輔の叫びはだだっぴろい空に吸い込まれていくだけだった。
・・・・・・・・・。
とまあ、こんな珍事件のせいで俺と夏樹は乗れていたはずの電車を目の前で見送り、亮輔が履き替えて戻ってくるのを待っていた。
駅のホームは長細い長方形のような形をしており、碌なものの貼られてない掲示板と余白の多い大きな時刻表と申し訳程度のベンチがあるだけだ。
屋根もホーム全体を覆っているわけではなく、大半は日光と雨に無防備にさらされ、大切な白線もところどころ剥げてしまっている。
先頭車両2つ目のドアの前がいつからか俺たちの定位置になっている。もちろん屋根なんてなく、夏は暑いし雨の時は濡れてしまうのだが、毎日ここで電車を待っている。
「まったく無駄な労力を使ってしまった」
「あ、三木くんおかえり」
「明石、次の電車まで何分だ?」
「正確なところはわからんが、さっき目の前で出発したから次は」
「30分後だね」
大きな時刻表には丁寧に30分刻みの時間が記されている。
「………これだから田舎は嫌だよな」
「まあ、利用者が少ないから仕方ない気もするけどね」
この時間帯の利用者なんて清水高校(西城よりの更に街から離れた沿線沿いにある学校)の生徒しか見たことねえ。
まあ、そんな事はどうでもよくて。今はこの電車待ちの30分をどう過ごすかだ。
今日のように乗り遅れた時の俺たちの暇つぶしはいつも亮輔の何気ない発言から始まる。
「んじゃ、今日は何しようか。‥‥‥‥そうだ、スカートの中身当てゲームでもするか」
「え?」
「は?」
「いやあ、だから、この暇な30分でスカートの中身当てゲームをだな」
「さもそんなゲームが一般に流布させてるかのように話をすすめるな」
いつもの事だが、こいつの脳みそは本当にぶっ飛んでる。
この前は「何日間オナ禁すれば夢精ができるのか」を真剣に語っていたし、その前は「ジャンケンで負けたやつが真剣にお母さんとのデートプランを考える」とか言い出しやがったし、そんなんばっかと思えば「人生でお金以上に大切なものはいくつあるか」みたいな道徳めいた話題の時もある。統一性のかけらもない。
「そ、そうだよ。僕、そんなの聞いたことないよ?」
「そうだろうな、何を隠そう昨日俺が思いついたゲームだ。どうだ?新作だぜ??」
「いや、そんな、お前らラッキーだな的な顔されても」
「では、このゲームができた経緯から話そうではないか」
「聞いてねえなこいつ」
「あはは、いつもの事だけどね」
こうなるともう亮輔に何を言っても止まらない。しばらくは独壇場だ。
「俺は昨晩も親の部屋が暗くなるのを確認してから、ズボンとパンツを丁寧におろし、それまで遊んでいたゲームのランクをレーティングCのギャルゲーからレーティングZのエロゲーへと進化させたわけだ」
「こいつレーティングって言いたいだけだろ」
「というかパンツ脱ぐ前にディスク交換すればいいのに…」
「最近は毎夜、急にできた義理の妹5人を下から順に攻略し、貫通式を執り行っているのだが、事件は3人目の妹、優花のスカートを初めて脱がした時に起きたんだ」
「なんで下から順になんだよ」
「いや、その前に現実かのような口ぶりにツッコミをいれようよ」
流石は夏樹だ。亮輔の大ボケにずれたツッコミを入れている俺をもツッコんでやがる。知り合った時は苦笑いするのが精一杯だったのにな。
「優花は姉妹の中でも一際物静かで、俺のことをお兄ちゃんと素直に呼ぶいい子なんだよ。だが、ガードが固くてな、やっと昨日ベットインまでこぎつけたんだ。俺も大いに期待したさ、息子なんてもう鞘から飛び出てジャジャジャジャーンだ。優花はどんなあられもない姿を見せてくれるのかってな」
「ここ台詞だけ切り取ったら完全に犯罪だな」
「しかし!優花のスカートを脱がしたその時だった。パンツが。優花のパンツが黒のTバックだったんだよおおおおおおお」
だからなんだ。
「これには俺の息子も武装解除しちまってな。昨日はショックのあまりセーブして寝ちまったさ」
「えっと、どうしてそれじゃダメだったの?」
「よくぞ聞いてくれた夏樹よ。では、君に質問しよう」
「うん」
「夏樹の愛してやまない豊岡先生が白のスタンダードショーツだったらどう思う」
「…‥‥そんな…‥‥そんなの…‥‥‥‥‥‥許されるわけないじゃないか!!!!!」
おっと、忘れてたが、夏樹も重度の変態だったな。
「豊岡先生は、黒のローライズでバックレースになってる下着を着用してるに決まってるでしょ!?それ以外のショーツなんて考えられないよ!!!!」
ちなにみ豊岡先生は32歳の世界史の教師で、校内では一番の美人教師だ。
男子生徒からの人気ももちろん高いのだが、既婚者であり教師である豊岡先生は高嶺の花どころかショーケースの中のブーケのような、そんな憧憬の対象である。
しかし、あろうことか、そんな雲の上の存在を本気で落としにかかっている生徒がいる。
夏樹だ。
夏樹は年上好きだ。それも自分よりも一回り以上上でないと興奮しないらしい。
そこに美人と教師、さらには人妻ものっかている先生は夏樹にとってホップ・ステップ・ジャンプどころの騒ぎでなく、ステップの後にトリプルアクセル決めれるくらいの凄さだそう。
真央ちゃんかお前は。
まごうことなき変態どもめ。
ていうかお前ら女性者の下着への知識はんぱなくない?
「そうだろう。そうだろう。な?夏樹にもパンツシンクロ率の大切さがわかるだろ?」
「パンツシンクロ率‥‥‥今ならわかるよ三木くんの気持ちが」
「二人で熱くなっているところすまんが、ストップだ。意味がわからん。いや、亮輔が絶望したのも、パンツシンクロ率もなんとなくわかる。が、パンツ当てゲームが意味わからん」
そもそもの本題はそこだったはずだ。
「まあ、そう生き急ぐでない少年よ。これから説明する。パンツ当てではなく、スカートの中身当ての理由についてもな」
なぜ上から目線だこいつは。
「白い涙を流す息子をティッシュで優しく拭った後、真っ暗の部屋で俺は思ったんだ」
どのタイミングで発射したんだよ。武装解除じゃなくて白旗投降してんじゃねえか。
「同級生の女子はどんなパンツを履いているんだろうってな」
「アウトおおおおおおおおおおおおおおおお」
「そ、それは流石にやばいよ三木くん…」
普通に気持ち悪い。いつもの事だが。
「そこでだ、今日は女子のスカートの中身がどうなっているかを今日は真剣に当てたいと思う」
「嫌なんだが」
「例えばだな、向かいのホームにいる、あの女子生徒のスカートの中はどうなっていると思う」
聞けや。
「うーん、そうだね。見た感じ、しっかりと校則を守っていそうだし、ハイキニなんじゃないかな」
ヤバいと言いながら参加するんだな夏樹よ。
「ふむ、では明石はどう思う」
強制参加かよ。
…まあ、夏樹の言う通り黒髪のセミロング、制服の着崩しはなくシンプルなフレームのメガネにおそらくノーメイク。割と校則の緩い西城では珍しいタイプだ。
「お前らのような専門的な用語はわからんが、よく漫画で見るような感じのやつじゃね?」
「ふ、ふふ、ふははははは。これだから若輩共は。まだまだだな、想像力が足らん」
大げさに首をぶんぶんと振りながら、本当に残念そうに言いやがる。
「お前らは基本的なところを忘れている。女子生徒の99%はスカートの下に体操着などのパンツを隠すための細工をしているものだ」
「いや、隠すためだけじゃないだろうけどね」
「あのような模範的な生徒は確実に体操ズボンを着用しているだろうよ」
「でもよ、そんなこと言い出したらゲームにならんだろう。全員なんか履いてるだろ」
そういえば突風でスカートが捲れてパンツが見えるなんてシチュエーションには出会ったことも聞いたこともない。現実には夢もロマンもないのだ。
「だからこそ、だからこそなんだ!あいつなら直にスカートを履いているだろう!!!という女生徒で考えるんだ!!!!!」
めっちゃきもい。しかもうるせえ。
「で、でもそんな子いるかな…」
「そうだよな、そんなアホの子」
「姫路 美佳 (ひめじ みか)」
「……いたな…」
姫路美佳は俺と亮輔の現クラスメイトであり、超弩級のド天然だ。しかもアニメや漫画で出てくる可愛いやつじゃない。普通に心配になる。
ド天然伝説その1、国語の授業で「山月記」に出てくる虎になった李徴にどのような印象を持つかという問に「白くて大きい」と何故か白虎の印象を答えた。
ド天然伝説その2、電車の切符を改札のICカードの読み取り台に押し付け「え、なんで開かないのかな?いじわるしてる?」と改札とお話していた。
ド天然伝説その3、校内模試の時「記入例のように名前や出席番号を書くように」という先生の指示に従い「山田 花子」と名前の欄に書いて提出した。
などなど、なにもなく日常を生きているのが疑問に思えてくるようなエピソードが後をたたない。
「そう、姫路ならばガードを忘れて登校してしまうなんてことがあり得るのではないか」
「妙な説得力があるねそれ」
「まあ、可能性としてはあるわな」
可能性があるとして…‥…‥。
癒やし系女子として学年内の人気も高い姫路はその雰囲気と容姿が大変にマッチしている。
淡い栗色のロング。大きくまんまるの瞳。薄いがツヤのある唇。控えめな胸部。小柄で可愛い体躯。
いつも手に付けている黄色いシュシュとキモいキャラクターのストラップのついた鞄がトレードマーク。
17歳にしては幼く見える姫路がどんなパンツを履いているか。
‥…‥‥って、何を真剣に考えているんだ俺は。気持ちわるっ。
「姫路はクマさんパンツだな。はい、決定」
もっとキモいやついたわ。
「まあ、でも、賛成で」
「僕はピンクと白のボーダーの毛糸パンツだと思うな」
だからなぜそこまで具体的なんだ夏樹よ。
「アリだな!!!!!」
「わかったから次にいこう。姫路はなんかこう話題にしているだけで犯罪になりそうだ」
「次は…小野 小春 (この こはる)なんてどうだ」
小野小春は西城においてスター的存在の女生徒だ。文武のどちらとも微妙なランクの西城で唯一の全国大会出場を果たしている陸上部の一員であり、こと短距離において県下で彼女に敵うものはいないほどだそうだ。
「運動部の小野さんこそ、体操スボンだろうよ」
「違うな明石。お前は本当に浅はかだ。その程度の脳みそしか持ち合わせていないお前が不憫でならない。一回死んでこい」
辛辣だなおい。
「小野さんはただの運動部ではない。陸上部であり、全国区短距離選手だ。常に早く走ることを目指している彼女はダボッとした体操着なんて論外なはず。しかし、走る際にスカートがめくれてしまうことも彼女なら日常茶飯事だろう。そうなった時の対策ももちろんしているだろう。そうさ、黒スパッツだ」
まじでキモいなこいつ。もう突き抜けて尊敬するレベルだ。
いや、しないけど。
まあでも、確かに。小野小春と黒スパッツの相性は抜群だな。世界一マッチと言っても過言ではない。
最後の最後までしっぽを掴ませなかったRPGのラスボスのCVが子安さんだったくらいのマッチの仕方だ。
真っ黒でツヤのあるショートボブ、整った眉ときりっとした目、引き締まった体と長い手足。後ろ姿の時のうなじと筋張った足首が美人でありながらにしてスポーツマンとしての彼女を表している。
そんな小野小春には、確かに黒スパッツはぴったりだ。
「ココちゃんは紐パンだよ?それに、露出癖あるからスパッツとか履いてないと思う」
…‥‥‥‥‥ぱりんっ。
心の中の何かが音を立てて割れた気がする。
そういえば小野小春と夏樹は幼馴染で仲良かったな。付き合ってるんではという噂が後をたたないくらいだ。本人曰くただの友だちらしいが。
ちなみに小野小春の小と小でココってあだ名らしい。夏樹以外呼んでるやつは知らないが。
「…‥‥‥‥‥」
亮輔もあまりの生々しい発言に珍しく絶句してるじゅないか。
生粋の変態とはいえ、初なヲタ童貞を隠しきれてないのは、らしいが。
「ま、まあ、同級生の衝撃の癖と何故そのパンツを履いているのを夏樹が知っているかはほおっておくとして」
「そ、そうだな…。じゃ、じゃあ三田 藍里 (みた あいり)なんてどうだろう」
「藍里ちゃんはまた違った意味で有り得るね」
「確かに下手したらまじで見えそうだもんな」
三田藍里を見たまんま表現するならギャルだ。
明るめの茶髪に派手めのメイク、学校指定でないカーディガンに膝上丈のスカート。
いくら校則が緩いからと言っても注意を受けそうなもんだが、たちの悪いことに三田藍里は成績優秀者なのだ。学年内では常に10位以上をキープしている。人は見かけによらないといういい例でもあるが。正直苦手だ。
「藍里ちゃんはビキニタイプだろうね。色は」
「青だな」
無言でハイタッチする二人。なんかもう夏樹までノリノリだな。
「して、明石はどう思うんだ?」
「そ、そうだな、三田藍里だろ…」
三田藍里は俺と亮輔とは同じ中学でもある。
中学の時から少し大人びたところのあるやつだった。あの頃も薄く化粧をしていたのだが、それでも素材の良さがわかる程だった。
明るい茶色の髪の毛は頭頂部で束ねたロングポニテの時も毛先を外ハネさせたショートヘアの時もあり、そのどれもが似合っていたし。手のひらで覆えそうなくらいの小さな顔とはっきりとした目鼻にふっくらした頬が特徴的で、毎月誰かが告ってフラれたという噂が流れるくらいモテモテだった。
ビキニスタイルの規格はわからんが、水着のビキニみたいな下着ってことだろう、たぶん。
布の面積は小さそうだよな。うーん、でも意外と可愛い感じも似合いそうだな。こう薄いピンク色のふりふりとかついてそうな…
「え?私がどうかしたー?」
後ろで声がしたので、恐る恐る振り返るとそこには。三田藍里がいた。
うおおおおおおおお。ご本人登場だああああああ。
「え、いや、これは」
「よっ、三田。今お前の」
「ちょっ!亮輔、アホか!」
「今、藍里ちゃんがどんなパンツ履いてるか、明石くんが真剣に考えてたんだよ」
「おいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
その言い方俺だけが変態じゃねえか!絶対引き倒してるだろ…
「ふふっ、また変なことしてるんだね明石たち。あんまり大きな声でしちゃダメなやつじゃない?その話題は。妄想はひそひそやんなよ」
以外にも、母性を感じさせるような慈愛に満ちた笑顔だった。
「お、おう、そうだな悪かった」
「藍里ちゃんごめんね」
そうだった。三田藍里はこういうやつだった。
男子のバカさを見抜いていて、その上で笑ってくれるいいやつなんだ。
カンカンカンカンカン
踏切の警告音が聞こえてきたタイミングで三田藍里は、
じゃあっと言うとくるっと体を翻して元いたであろうグループに帰ろうとする。
言い訳すらできねえとか、地獄か。
「ああ、それと明石には言っときたいんだけど」
歩を止めた三田藍里にひょいひょいと手で招かれる。
「え、な、なんだ?」
大人しく従っておこう。ゆすられかねんネタを掴まれているわけだしな。
「あのね」
近づいた瞬間にすっと顔を耳に近づけられ、甘いいい匂いが鼻孔をくすぐる。
思わず心臓が跳ね上がりそうになる。
「私の今日の下着はーーーーーー
ガタンゴトンガタンゴトン、ガタン、ゴトン、、、プシューーーーーーー
ーーーーーーーだよ。じゃあねっ」
だから苦手なんだ。三田藍里。
「ほら、明石、乗り遅れるぞ」
「あ、ああ」
「明石くん耳真っ赤だね」
「んで、どうだったんだ」
「…‥お前らの読みは正解だ」
可愛すぎんだろ。
最後まで読んで頂けましたでしょうか?
有難うございました。
こんな感じで、30分間のしょうもない暇つぶしを今後もお届けします。
感想等頂けると本当に嬉しいです。
実はこの物語ノンフィクションな部分もありまして…(笑)
ほとんどフィクションなんですが、自分が学生時代に友だちと暇つぶしに色んな事をして遊んだのは事実なんです。
その当時のことを思い出しながら書いているので、ネタ的にはあと20個くらいあるのですが、
みなさんが学生時代にしたオリジナリティ溢れる遊びやゲームを教えて頂けると嬉しいです。
教えていただいた内容は、この作品内の「彼ら、彼女ら」にやらせてみたいなと思います。
どんなくだならいことでも大丈夫です。
お教え頂けると幸いです。