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屍の王〜腐人から始まる転生譚〜(仮)  作者: エイム
第1迷宮
9/54

グリンッと

本日二話目です。お気を付けてください。

(さっき噛み付いた時に発動した“同種化”は成功してたみたいだな。この狼達は明らかに格上な気がするんだが… これも“傲慢”の特攻のおかげなのか?

まぁ、検証は後にして、ゾンビ狼が掻き乱してくれてる内に回復だな)


1番近くにある死骸に手を付け喰らい始める。

周囲の狼達は戸惑い、旋回を中断してしまっていた。そこにゾンビ狼が突貫し、一体の首筋に噛み付く。その周りにいた狼達は驚愕したように飛び退いていた。

噛み付かれた狼は堪らず、噛み付かれたまま暴れていたが、最終的に痙攣を起こし活動を停止させていた。


(あのゾンビ狼、“同種化”を使ったっぽいな。これはいけるかもしれない。 鼠算式にゾンビが増えれば、ボス狼を突破する道も拓けるかもな)


そのボス狼はいち早く状況を理解したのか、こちらを憎悪の炎を灯した目で睨み据えてきていた。


(これは、単騎でも俺の所に突貫してきそうだな。

残HPは、20/20か。 随分増えたな。 それだけボス狼の攻撃でHPが減ったってことだろう…

周りの邪魔が入らない内にどうにか倒すしかないが…)


攻略方法を思考してると、周囲の狼の鳴き声が聞こえてきた。そちらに目を向けると、ゾンビ狼が新たな一体噛み付いていた。そして、その後ろでは最初の噛み付きで倒れた狼が起き上がり始めていた。

ボス狼以外は随分な動揺なのか、未だに立ち竦むのみでいたのだ。

だが、ボス狼の大音量の吠え声で意識を取り戻し、ゾンビ狼に攻撃を加え始めていた。


(今の噛み付かれたやつは痙攣を起こしてるから“同種化”成功したのか? だとしたら、ゾンビ狼三体と狼三体の対決って感じかな。

こっちはこっちでボス狼をどうにかしないっっっと!)


先程のような俊足で突貫し、噛み付きを放ってきたので、軌道を読み何とか避ける。 ここまでの攻防で成長したステータスの恩恵であった。

だが、ボス狼は地に足が着いた瞬間にはこちらに急旋回し突貫してくる。


何とか致命傷は避けられているものの、一歩間違えれば身体が千切れ飛ぶような一撃一撃に精神が擦り減っていく。

そして、数回目のやりとりの後、口を大きく開けた噛み付きによる攻撃を避けようとした際、左肩から先が千切れ飛んだ。


(くそ! 口はフェイントで爪の攻撃だったか! HPは12/20。あと2回くらったら終わりって計算か? “食再生”何てする暇も無いし… ハードモードすぎんだろ!)


左腕が無くなった事により、重心がずれ、身体の操作が効かない。

それでも数回避けることができたが、そんな幸運が続くわけもなく、右脚の付け根から先が千切れ飛び、青年と戦っていた狼の側まで弾き飛ばされ、地に伏せた。


どうにか、ロングソードを起点に左膝で起き上がり、ボス狼を見ると、こちらに突貫してくる所だった。


(あ、やっべ、これは終わった)


と、諦めかけたその時、ボス狼の右側から5つの影が突貫し、ボス狼を弾き飛ばした。

それは、勝ち抜いてきた五体のゾンビ狼達であった。


(あ、まだ、生きてた。 幸運Sのおかげか? 何でもいいけど良かったーーー 残HPは2/20…!?

あっぶな!!! とりあえず“食再生”だ! ちょうど良く肉があるしな!)


さっそく狼の胴体を喰らっていく。喰らい、喰らい、喰らいつくす。喰らっているとにょきにょきと失った腕と脚が生えてきた。 便利な身体である。


そうしてボス狼の方に目を向けると、ゾンビ狼は四体に減り、そのどれもが傷を負っているようだ。

その内に一体は左前脚が無くなっているが、そこはゾンビ、それでもボス狼に立ち向かっていた。

ボス狼は全身に噛み傷や爪による裂傷を負っている。


だが、そんな身体でも更に二体のゾンビ狼を葬った。

これでゾンビ狼の残りは二体である。


(早く参戦してボス狼の息の根を止めなくちゃいけないな。 残HPは25/25だ。 何とか勝って俺が生き残る!)


狼に突き刺さり放置されていたロングソードを左手に持ち、二刀流になりボス狼の方に走る。

そして、そのまま肉迫し、右手のロングソードを振り下ろし、左手のロングソードを横薙ぎにし、傷を与えた。


ボス狼は憎らしげにこちらを睨み据え、小さく吠えながら応戦してくる。だが、先程までの俊敏さはもう無い。


(このまま押し切る!!!!)


振り上げてきた右前脚の爪による攻撃を転がりながら躱し、避け様に左前脚を斬りつける。

切断には至らなかったが、更に動きを鈍らせることはできただろう。

転がった勢いのまま立ち上がり体制を立て直し、再び肉薄する。


左右から二体のゾンビ狼が突貫してボス狼の首筋と胴体に噛み付いていた。

その内の胴体に噛み付いていた脚が一本失われたゾンビ狼は、ボス狼が大きく身体を捩り向けられた巨大な口により首を噛み千切られ、ボス狼の胴体に噛み付いたまま自分の胴体と切り離されてしまった。


だが、未だにもう一体のゾンビ狼により動きが阻害されている。

ボス狼がもう一体の方に攻撃を加えようとしたその隙に、二本のロングソードを両目に突き刺した。

それでも、断末魔の叫びのようなものを上げながら左右に暴れ回り、ロングソードを突き刺したまま宙に浮かばされた。


(な!? これでもまだ死なないのか!?)


驚愕しながら、突き刺したままの二本のロングソードをグリンッと捻る。そこで、ようやくボス狼は地に倒れ伏し絶命した。

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