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屍の王〜腐人から始まる転生譚〜(仮)  作者: エイム
第1迷宮
21/54

ポチとゾンちゃん

申し訳ございません。

ゾンちゃん視点を加筆しました。

(ゾンビ共。こいつらを囲んで逃走を阻止しろ。

逃走を企てた際は殺せ。それまでは指示があるまで待機だ)


ゾンビ達は指示通り冒険者を囲み逃げ場を無くした。

冒険者は総攻撃を仕掛けてこない事を怪訝に思いながらも、リーダーの作戦通り各自の担当モンスターを睨み据え、突貫した。


(ポチ。ゾンちゃん。命を大事に、だ。

HPが尽きなきゃいくらでも回復できるからな。

じゃ、行くぞ!)


三体が三体とも目に戦意の火を灯しながら冒険者を迎え撃つ体制に入り、各々の戦闘が始まった。




――――――――――――――――――――――――




ワフッ(主は我に期待してくれている。我に新たなる力を与えてくださった偉大なる主!

先程は失態を見せてしまったが、次こそは我の輝く姿を主の瞳に焼き付ける!)


ポチは主人の命令通り、先程苦汁を味わされた冒険者を迎え撃つ。


自らの戦闘経験の中で主人に次ぐ強敵であろう事が予想される。

おそらく、自分の方が俊敏が高いであろうが、経験は向こうの方が上だろう。そして、自分は打たれ弱い事を自覚している。それならば、高い俊敏を活かして攻撃の直撃を避けながら戦うしかあるまい。


冒険者はジグザグに走行し、攻撃の出だしを察知されぬように向かってくる。

その冒険者目掛け真っ直ぐに突貫し、右前足を振りかぶり爪による攻撃を仕掛ける。と、見せ掛け右に飛んだ。

しかし、冒険者にフェイントを見破られ、着地地点に短剣が飛んできた。


飛んでくる短剣を空中で身を捩りながら何とか躱し直撃は免れるが、背に擦りダメージを負ってしまいながら着地した。

そして、冒険者が居た場所に目を向けると、そこには既に姿は無く、死角から胴体に蹴りを入れられ吹き飛び、そのままゾンビ達の囲みに突っ込んだ。

ゾンビホブゴブリンが受け止めてくれたが、それでもダメージは大きい。

そのまま優しく地に降ろされ冒険者を睨み据える。冒険者は未だ余裕のある様子で、トーントーンとステップを踏むように跳んでこちらを伺っていた。


クゥーン(くっ! 油断した! いや、我は奴の攻撃を見抜けなかった。決して油断などではないか)


ワフッ(だが! 我は奴を踏み台にし、更なる高みに登る!)


覚悟を新たに冒険者に立ち向かうのだった。




――――――――――――――――――――――――




(ご主人様から筋肉ダルマの相手を任せられたわ。

筋肉ダルマの相手はポチの方が適任だと思うのだけれど… ご主人様は抜けているところがあるから仕方ないわね。

生前の記憶は殆ど無いけれど、ご主人様から貰ったこの力で打ち負かしてあげるわ)


冒険者は先程の攻撃のダメージが抜けておらず、未だにふらふらしている。

だが、その状態でも雄叫びを上げながら突貫してきた。


その際に、スキルの影響なのか体表が赤くなり、体から蒸気を噴き出しながら鬼の形相で肉薄してきて、拳を大きく振りかぶり振り下ろしてきた。


ポチとの訓練により俊敏の高い相手との戦闘は慣れているので、スローモーションの様に感じながら拳を避け、カウンターで胴体に拳を叩き込む。しかし、冒険者はビクともせず、冒険者が振り下ろした拳が地面に着弾し、地面が爆ぜた。


地面の破片が周囲に飛び、いくつかに被弾してしまう。

その一つ一つの威力がご主人様の素手の一撃に値する威力があり吹き飛んだ。地に足を擦らせながら減速させ、壁に背を付けたところで勢いが止まる。

冒険者に目を向けると、地面に埋まった腕を引き抜いているところであった。


(な!? なんて力なの!? さっきまでとは比にならない力じゃないの!?

スキルの力だとしてもあり得ない力の向上だわ… 何かそれに代わる欠陥があるはず…

そこに付け込まないと勝てないかもしれない)


どうにかして冒険者を打倒しようと思考を重ねながら、対峙するのであった。

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