表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
屍の王〜腐人から始まる転生譚〜(仮)  作者: エイム
第1迷宮
18/54

今すっごいゾクゾクってした

ポチとゾンちゃんと共に実戦形式の特訓を始めた。

“食再生”のスキルもあり、食料にも事欠かないので、HPが尽きない限り問題はない。


まずはゾンちゃんには見学をしてもらい、ポチと訓練である。


(ポチ! 手加減なんかしなくていいからな!

ただ、お互いに頭への攻撃は無しにしよう!

さぁ、こい!)


ワフッと返事をし、突貫してくるポチ。

俊敏は遥かにポチの方が優っている様で、目で追うのがやっとである。

突貫してきた勢いのまま飛びかかってくると見せかけ、右横に飛び、ステップを踏む様に飛びかかって来る。

スウェーをするが避けきれずに爪による攻撃で右肩を抉られてしまう。


(ポチの俊敏はすごいな。

ゾンビ化以前の経験なのかフェイントも俺なんかじゃ読めないくらい高度だ…

特訓してればボス狼より強くなりそうだ)


今度はこっちの番だ!

と気合十分にポチに肉薄しロングソードを振り回しても全て躱される。

やはり、狼戦と同じように動きが止まった際か、空中で身動きが取れない際ではないと攻撃を当てられないようだ。


そこから一方的にポチの攻撃を受け、“食再生”の休憩を挟む。

その間に、ダメージが一切ないポチはゾンちゃんと連戦してもらうことにした。


開始の合図をすると、先程と同じようにポチが瞬時に突貫する。

ゾンちゃんに向かってジグザクに進行するが、ゾンちゃんの方は一切動きがない。

ポチが少し戸惑いながらも向かって右側に回り込み飛びかかる、と見せかけて右に飛んだ。先程のフェイント同じ要領かと思ったが違った。

ゾンちゃんが右腕を大きく上げ、拳を振り下ろしているところだったのだ。


(ゾンちゃんは反応が無かったと思ったが、俊敏の差を埋めるために近づいて来るのを待っていたのか?

でも、あの華奢な身体で武器も無しじゃポチにダメージを与えられ…)


ゾンちゃんの拳が着弾したと同時、とてつもない衝撃音が鳴り響き土煙が舞う。

あまりの衝撃に固まる二体。

土埃が止み着弾点を見ると、小規模のクレーターが出来ていた。


(ゾ…ゾンちゃん…半端ないな…

なんでゴブリンに捕まってたんだ…?

怒らせないようにしないと一撃で粉砕される…)


ゾンちゃんが本気で殴ってしまうと命の危険があるということで延々とランニングをさせることにした。

俊敏が上がれば筋力の暴力で一撃当てるだけで大抵の敵は粉砕できるからだ。


それからは、ポチと一緒に延々と実践形式の訓練を繰り返す。

こちらは近接戦だけではなく火魔法を取り入れながら訓練をし、着実に魔力のステータスを上げていく。

その過程で、傷ついた身体を癒そうと回復魔法を使ってみた時があった。


(回復魔法って言ったらゲーム作品ごとに魔法名が違うんだよな…

結局はイメージで良いはずだから、名前は何でも良いのか?

とりあえず)


回復魔法を発動させながら腹部の裂傷に向け、癒せ、と念じてみる。

すると、腹部が爛れ落ちた。


(待て待て! え、この世界って回復魔法でアンデッド系にダメージ与えられちゃう設定の世界!?

HPは…残り4!? 回復魔法を使う前は12はあったはず…

ボス狼並みの破壊力じゃないですか!?)


自分にも仲間にも回復魔法は使わないと決めたのだった。






訓練を始めてから数日が経った。


(ゾンちゃんの動きはかなり早くなってるな。

ひたすらランニングさせてた甲斐があったってやつだな)


ゾンちゃんには最初の数日はひたすらランニングをさせていた。

ゾンビは疲れも来ない、睡眠を取る必要もない、HPかMPを消費しなければ食事も必要ない、といった完璧な身体であったのだ。


だが、ゾンちゃんがいつまで走らせる気だ、という風な目線を送ってきた時に


(何を睨んでいる! 生意気な奴め! この大広間100周追加だ!)


と悪ふざけで言った場面があった。

その時は思いっきり腹部を殴られ、上半身と下半身が生き別れになり、腹部は爆発四散した。

何とか“食再生”で回復したが、もう怒らせるのは止めようと誓った。


そんな事件がありながら、ゾンちゃんのステータスを更に成長させるために実戦形式の訓練に参加させた。

胴体が破壊されたところで“食再生”での回復が可能であると判明したからだ。


ゾンちゃんを交え、一対一や三体でのバトルロワイヤル形式などの実戦形式の訓練をした。


訓練中に、ゾンビホブゴブリンが帰還した。

どうやらゴブリンの全集落を制圧したようだ。

そのゾンビホブゴブリンに新たな命令を下す。


(ここら周辺にいるモンスターを片っ端からゾンビ化してこい)


と。

命令を下してからまた数日後、ゾンビホブゴブリンが再び帰還した。

どうやら制圧が完了したようだ。


(更にモンスターが多く、強いモンスターが出るところは分かるか?

そうか、それならばお前が精鋭だと思う50体を連れて行ってこい。

残りのゾンビ共はお前らが帰還しなかった時のために大広間に待機だ)


ゾンビホブゴブリンは了解したとばかりに去って行った。


そんなこんながありつつ訓練をしていると、急に“気配感知”が反応を示した。


(今さっきまでは確かに反応が無かったはず…

隠密系のスキルか? ポチ、行け)


素早く駆け通路に出たポチの後を追う。

すると、誰かが転倒する音がしたと思ったら、キャウンというポチの鳴き声が聞こえた。

その鳴き声に焦り全速力で通路に出ると、全身が真っ赤な青年が居た。

そして、目が合い漏らされた。


(なんだ? いつだかゾンビにした青年と同じくらいの歳か? ゾンビ見ただけで漏らしてるし駆け出し冒険者って感じかな…? それにしても全身赤過ぎじゃね?

まぁ、俺の大事なポチに危害を加えた時点で死は確定だな)


赤い青年への対処を即座に決め、心臓部に貫手をお見舞いする。

そうすると、何の抵抗感もなく貫通し、赤い青年は生き絶えた。


(ポチ? 大丈夫か? 怪我はないか?

お前は俊敏値があり過ぎて俺たちの攻撃が当たらないせいで、耐久値が低いんだよな…

俺が脳を喰らったら他を食べて回復するんだぞ?)


ウォンっと尻尾をブンブン振りながら返事をするポチ。

ゾンちゃんはゆらゆらしている。


(よし。 駆け出しっぽいから大したスキルは持ってないだろうけど、隠密系のスキルを持ってる可能性は高いはずだ。 ありがたく頂くとするか)


赤い青年の頭蓋を開き、脳を喰らう。

そして、お馴染みの淡い光が身体を包んだ。

と、その時、全身に悪寒が走った。


(!?!?!?

なんだ!? 今すっごいゾクゾクってしたぞ!?

“気配感知”には何も引っかかってない…また隠密系のやつがいるのか?)


辺りを見回してみるが、近くに生物が居るように思えなかった。

しかし、大広間への通路から、ヒッという声が聞こえてきた。

特訓の成果で威力と精度が上がったファイヤーボールを瞬時に放つ。

ファイヤーボールは通路の奥に着弾し、爆発した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ