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屍の王〜腐人から始まる転生譚〜(仮)  作者: エイム
第1迷宮
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生って言うより死なんだけどな

(これでホブゴブリンの特攻も手に入れたな。

この後の戦いはかなり楽になるはず。

ポチ! どんどん“同種化”して数を増やすぞ! ゴブリン達を全滅させよう!)


ウォンと返事をして恐慌状態のゴブリンに突貫していくポチ。

その間にホブゴブリンの頭蓋を開け、脳を喰らう。

身体から淡い発光を確認し満足した所で次の行動に移る。


(俺は“傲慢”を利用してホブゴブリンを“同種化”させに行くか。

ここまでの戦闘で分かったけど、“傲慢”が無くてもゴブリンは雑魚だ。 質より量って感じなのかもな。

ポチが獲物に選ぶわけだ)


思考しながら肉薄してきていたゴブリン数体を斬り伏せる。

そして手近に居たゴブリンに“同種化”を使用して味方を増やし、ホブゴブリンの方に進みながら近くのゴブリンを葬り喰らう。


(ゾンビゴブリンとゴブリンの数は同じくらいになっているか?

ゴブリン達の攻撃じゃゾンビゴブリンを絶命させるには足りないし“食再生”もある。

何よりも痛みも恐怖も感じないような奴らに恐慌状態のゴブリン達じゃ太刀打ちできないよな)


考察しながらホブゴブリンの近くまで来た。

ホブゴブリンの周辺のゴブリンは何とか統率されており、ゾンビゴブリンを近付けまいと必死に戦っている。


ホブゴブリンはゾンビゴブリン何体かに噛み付かれながらも、格上という事で“同種化”は弾きながら斬り伏せていっている。

だが、ゾンビゴブリンは腕が無くなろうが脚が無くなろうがHPが失われるその時まで襲いかかってくる。


(それを考えたらゾンビって恐ろしい種族だな。

基本的に動きは遅くて知能は無いけど、数が居たら相当な脅威なはずだ。

数っていうのはかなり重要なんじゃないのか?)


自分が目指すべき道を見つけられたような気がし、内心でこの先にワクワクしながらホブゴブリンに接敵した。

これも自分の道の一歩だな、とホブゴブリンのロングソードを弾き、隙のできた首筋に噛み付き“同種化”を使用した。





そこからは、ポチが逃げようとするゴブリン達を葬ったり。

ホブゴブリンが残り四体になった時ゴブリン達を見捨て、四体で隊列を組んで逃走を計ったのをポチが止めたり。

俺が死骸に躓いて大勢のゴブリンに襲いかかられそうになった時にポチが助けてくれたりした。


そして、生者は居なくなった。


(ゴブリン軍団が全滅したな。

残ったゾンビゴブリンは四十体くらいか?

かなりの手駒を手に入れられたな)


ゾンビゴブリン達。俺の前に整列しろ。

と命令をくだす。


(ゾンビホブゴブリンは四体か。

さて、こいつらには更にゾンビを増やしてもらおう。

そこのゾンビホブゴブリン。他にゴブリンの集落はあるのか? また、その集落の場所は分かるか?)


問いかけられたゾンビホブゴブリンは頷き答えを返した。


(では、分かる限りの集落を襲撃して“同種化”でゾンビを増やせ。その道中に遭遇したモンスターも殺さず、“同種化”して連れて行け。

集落の襲撃が終わったら片っ端から“同種化”で仲間を増やせ)


了解した。とばかりに頷いたゾンビホブゴブリンは、ゾンビゴブリンを率いて行進していった。


(ポチ! 今の俺って威厳たっぷりだったよな!?

なんか盟主みたいな、ボスみたいな感じだったよな!?)


そんな主人の問いに、尻尾を大きく左右に振りながら、ウォーーンと天高く雄叫びを上げるポチ。

過保護である。


(よし! ゴブリンの集落を探索して良いアイテムがあるか探すか!)


ゴブリンの集落は、何かのモンスターの毛皮を敷くだけの粗末な寝床が多かった。

その中でもモンスターの骨を組み立て、毛皮を被せた簡易なテントの様な物が11張あった。


(11? ホブゴブリンの数は10だったから、その数のテントがあるとしても、残りの一つは何のためにあるんだ?)


疑問に思い、テントを端から調べていく。

いくつかのテントを見ていくと、ポチが一つのテントに向け威嚇を始める。


(ポチ? ここに何かがいるのか?

生き残りのゴブリンでは無いと思うけど…慎重に調べに行くか)


今更ながら“忍び足”を使用し、恐る恐るテントを覗いた。

そこには、全裸で虚ろな目をした人間の女が5人ほど転がっていた。

どの人間も白濁とした液体にまみれ、壊れた人形の様になっている。


(そうか… ゴブリンってそういう生物だったな…

それの犠牲者達って事なのか…)


人間達に近付き改めて様子を見てみると、どうやら息があるのは一人だけであった。

その一人に近付き顔を覗いてみると、口をパクパクさせているだけである。

その頬に手を添える。


(ゴブリン達は全部倒した。

このまま終わりにしたいか? それとも新たな生を受けたいか?

悪いが、人間達の所に送り届けることはできないが)


と念じてみる。

しかし、何も反応はない。

まぁ、そうだよな、と思い立ち上がった時、人間の手が動き脚を掴まれた。

人間を見ると、首を左に傾けて首筋を露わにしていた。


(ふむ。 新たな生を受けるってことだよな?

正直、生って言うより死なんだけどな)


それを見て察し、首筋に噛み付いた。

そして、“同種化”を発動させた。

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