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屍の王〜腐人から始まる転生譚〜(仮)  作者: エイム
第1迷宮
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さぁ行くよ!

(ポチ? それで獲物は見付かったのか?)


主人からの問いに、ウォン!と元気よく返事をするポチ。

先程向かっていった方へ身体を向け、尻尾を振りながら顔だけこちらに振り返っている。

どうやら付いて来いという意思表示のようなものみたいだ。


(よし!ポチ!獲物の場所に連れて行ってくれ!)


再びウォンと元気に返事をし、駆け始める。

ポチを追い掛け走り始めるが、どんどんとポチの姿が遠ざかり、終いには見えなくなってしまった。


(ポチーーー!早過ぎるよーーーー! 待ってくれーーーー!!!)


颯爽とポチが戻ってくる。

そして、ワフッと主人を呆れ顔で見ながら並走するように目的地に案内してくれるのであった。





走る事しばし、広間を抜け、意識が覚醒した時のような通路に出た。

その通路の枝分かれしている道を迷う事なく進むポチに着いて行くことしばし、ポチの足取りが鈍くなり足音が聞こえなくなる。

スキル“忍び足”を使用しているようだ。


(ポチ、ここら辺に獲物がいるのか? 俺も“忍び足”を使うから慎重に行こう)


今回は声を出さずに頷いて返事をするポチ。

二体でそろそろと移動し、曲がり角で止まりこちらに顔でジェスチャーを送るポチを目にし、この先に獲物が居ることを確信しながら曲がり角の奥を覗く。

そこには、人間の子供くらいの身長に、醜悪な顔をし、肌色が緑の生物が居た。

そこに居たのは、多くのロールプレイングゲームに登場するゴブリンであった。

ゴブリンは通路の中程にある新たな通路の入り口らしき場所に陣取っている。


(通路の入り口っぽい所に二体で槍を持っているのか。見張りって事なのかな? だとしたら通路の中にはもう何体かいるかもしれない。 まぁ、見張りの癖に地べたに座って眠そうにしてるけど…

ポチ? あいつらは俺でも倒せるような雑魚なのか?)


ポチは静かに頷き、臨戦体勢に移っている。今にもゴブリン達に飛びかかっていきそうだ。


(よし!ポチ、行くか!

まずはポチが手前の一体を頼む!

それで戸惑っている所に俺が突っ込んでぶっ倒す!

良い作戦だ!)


ただのビビリである。

しかし、ポチは何の不満も見せずに瞬時に突貫して行く。

そうして油断しきっているゴブリンの一体に瞬く間に噛み付き、首の骨をへし折り絶命させていた。

その主人は何が起きたのか分からず呆けるだけの役たたずであった。


もう一体のゴブリンも何が起きたのか分からず呆けていたが僅かな時間で覚醒し、ゲギャギャと耳障りな声で騒ぎ始めてしまった。


ポチは、いつになってもやって来ない主人を振り返り、どうしたの?という風に小首を傾げて待っている。

ゴブリンの声で覚醒した役立たずは、急いでもう一体のゴブリンに肉薄し、右手のロングソードを喉元に突き刺そうとしたが、すんでの所で躱されてしまった。


ゴブリンは未だにゲギャギャと騒ぎながら、槍を胸に突き刺してきた。

それを何とか右手のロングソードで弾き、左手のロングソードで袈裟斬りにし、ゴブリンの息の根を止めることが叶ったのだった。


(ポチ先生! 仕事が早すぎですよ! 優秀すぎですよ!

何が起こったのか分からなくて固まっちゃったじゃないですか!)


そのポチは、主人の言葉を受け首を傾げるばかりである。

生前の狼達の群れでは、これくらいの連携は当たり前のことであったのだ。


(まぁ、良いか… 俺の未熟さを恥じて、これから連携を強めていけば良いんだしな!)


そう新たに決心しポチを見ると、ゴブリンが見張っていた通路に顔を向け、グルルと威嚇音を出していた。

何事かと思い覗いてみると、そこは通路ではなく、先程まで居た広間よりは狭いものの、学校の体育館が4つほど入るのでは、というくらいの広間であった。


そこは、ゴブリンの集落らしき場所であったらしく、見張りのゴブリンの声により敵襲を感知したゴブリン達が臨戦体勢になり、こちらを伺っている所であった。


(数多くね? 軽く100体以上は居るぞ…

ポチさん…楽勝な獲物をって言ったのに、難易度高すぎませんかねー?)


そう思いながら再びポチを見ると、さぁ行くよ!という風にワフッと吠えているのみであった。

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