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巻き込まれて異世界召喚、その果てに  作者: ねむねむ
七章 たとえ我が名が天に焼かれようとも
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エピローグ

これにて七章〝たとえ我が名が天に焼かれようとも〟と第一部が終了となります。

次回からは第二部となります。

 劫火が全てを焼き尽くしていく。

 人も、建物も、魔導具も。等しく炎に巻かれて朽ちていく。

 滅びの光景――それを齎した獅子なる男は眼下に広がる終焉を見やって呟く。


「よくぞ抗った。……祖国を護らんとしたそなたたちの勇姿、余は生涯忘れぬぞ」


 そして天空に浮かぶ戦艦の下――地上では大歓声が上がっていた。

 勝利を祝う言葉や戦いが終わったことへの安堵で満ちる場――瓦礫の山の上では仮面を被った黒衣の男が首を掲げていた。

 兵士たちは軍律を忘れ狂喜乱舞し天秤の紋章旗を踏みつけては黄金の獅子の紋章旗を誇らしげに掲げている。

 そんな異様な光景を静かに見ている者がいた。外套に身を包み僅かに見える顔も仮面で覆った奇妙な人物だ。


「獅子が勝利を飾った。弱者を喰らって天地に覇を唱えた」


 だが、とその人物は首を振る。


「勝利の美酒に酔う彼らは知らない。いつだって敗北者は逆襲の牙を研いでいるのだということを」


 そして踵を返して歴史に刻まれるであろう光景に背を向けて言った。


「敗北を知らぬ獅子にそれを教えるのは――……」


 言葉尻は喧噪にかき消されて何者の耳にも入ることはなかった。



――神聖歴千二百年八月二十二日。

 この日、エルミナ王国はアインス大帝国に併呑されエルミナ属州へと名前を変えることになった。

 四人いた大将軍の内二人は戦争によって討ち取られ、国王を含めた王族の大半が死に、多くの高官もまた処刑された。

 自らに従う北方軍三十万と大帝国の魔導艦隊という圧倒的な武力を背景に、王都を無血開城したエルミナ王国第二王子、ルイ・ガッラ・ド・エルミナはその功績により属州長官に任命されエルミナ属州を運営していくこととなる。

 一方、忽然と姿を消したセリア第二王女を始めとするエルミナ王国の主要人物や主力軍はその後の帝国の大捜索により一部を発見、撃滅されるも大半を見つけることが出来なかった。

 しかしアインス大帝国皇帝、レオンハルトは監視として一定数の兵力をエルミナ属州に置き本国へと帰還。

 翌年、遂に南大陸を出て他種族が住まう他の大陸への侵攻を開始するのだった。

第一部、完。

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