Halloween Night.
短編急いで書きました!手抜き満載です!!すみません!!!!!
ハロウィンの日には死者が帰ってくるとかなんとか。私にとっては一年の中でよくわからないイベントの一つである。
カボチャのオバケ、ジャック・オ・ランタン、猫耳美少女、よくある白いオバケ、吸血鬼、魔女、などなど、仮装を楽しむ人は年々増えているようだ。好きなキャラクターの仮装をする人もいるらしい。そんなよくわからないイベントは、今年もやってきた。
「トリックオアトリート」
そんな言葉が所々から聞こえる。
仮装をした人が、道に溢れていた。そんな中、私は制服で帰宅路を歩く。ぐっとマフラーをあげ、寒さに耐える。
家に帰れば頼んでもいないお菓子の詰め合わせが渡されることはわかっている。親がイベントを大切にするのはとてもいいことだ。
だから待っている親を想像し、早く用事を終らせて帰ろうとしていたら知っている後ろ姿を見付けた。
それは、私と同じで仮装をしていない帰宅途中の同い年の幼なじみだった。
「あ、今帰り?」
「おぉ、なんだ悠か。俺は今帰りだけど……え、お前こんな時間まで学校に?」
「違うよ。ちょっと寄り道してただけ。そっちは?」
「同じ」
幼なじみの名前は遥。女みたいな名前だが、それを初対面のときに言ったらかなり気にしていたからその後は言わないようにした。私も似たようなものだから、というのもある。
「あ、そうだ、悠」
思い出したように遥は私の名前を呼んだ。
「今日ハロウィンって知ってたか?」
「……もちろん。遥は知らなかったの?」
「えぇ、お前知ってたのかよ」
もし、知らなかったとして、帰宅途中にコスプレ集団があちこちにいたら嫌でも気づくと思うんだ。と呆れつつため息をつく。
「で、ハロウィンがどうかした?」
「いや別に。ただハロウィンって不思議なイベントだなー、とおもってだな……」
「あー、うん。もともとは古代ケルト人のお祭りらしいし、収穫祭だった、とか、悪霊を追い出すためとかで仮装するし、死者の魂は帰ってくるし……」
もう本当に、意味わかんないよねー、と言うと遥が驚いていたのに今さら気づいた。
「悠って、前から思ってたけど無駄に変な知識あるよな……」
「無駄ってなんだよおい」
「あーいや、うん。ごめん。でもハロウィンってそーいうイベントだったんだな。今までただのイタズラ祭りだと思ってた」
なんて二人で話しながら歩いていると、大きな道ではなくなり細い道に入った。私たちの住んでいる街は少し大きくそれなりに発展しているため細い道と言っても人がニ人くらい並んで歩ける人通りの少ない道だ。
発展していると言ってもしている所としていない所が極端だ。私と遥が住んでいるところはどちらかといったらしていなくて、古い廃墟もあった。
「ここまで来ると落ち着くなー」
「だね。あ、子猫……しかも黒猫だ」
どうやら目の前に出てきた黒い子猫は人懐っこいようで私と遥に近寄ってきた。動物が好きな遥はその子猫を撫でる。すると子猫はゴロゴロと嬉しそうに喉を鳴らす。
「可愛いね」
「なー……癒される」
ふにゃとした遥の表情を見るとなんだか私も癒されてきたような気がした。
突然黒猫が遥の手を離れにゃあと鳴くと近くにあった少し大きめな廃墟に入っていってしまった。そのままほおっておいても良かったのだがどうやらその子猫は遥の付けていた切れかけのミサンガをくわえて持って言ってしまったらしい。
「ミサンガ切れたんだし、願いかなうし、帰ろーよ」
「ダメだ。だってあれは、大切なっ!!悠は先に帰っていいから!」
そう一言いうと遥は走って行ってしまった。遥をおいて先に帰れるわけがないのに。
仕方なく私も遥を追って廃墟に入る。暗くてちょっと不気味だ。
「遥ー?どこにいるの……」
さっきからローファーで割れたガラスを踏んでしまっている。
その音が聞こえる度にビクッと反応してしまう。
「待ってましたよ!」
うしろから聞こえた無邪気な女の子の声に振り返ると猫耳のメイドがいた。
「こ、コスプレ……」
「失礼ですね!これは本物なのですけれど!!」
「本物?そんなわけないって……だって、ここは現実……」
「もういいじゃないですかそんなの!現実だろうが幻想だろうが今は今なんです!さぁお客様、ご案内いたしますー!」
ぐいぐいと背中を押され目の前にある大きな扉の中に入る。予想通り大きな部屋で大きな机がありたくさんの椅子があった。
その部屋には驚く要素しかなかった。
コスプレなんかじゃない。本物ばかりだった。
「いらっしゃいませ悠様。今夜はゆっくりしていってくださいね」
「……カボチャの、オバケ…………」
「私のことはジャックとお呼びください」
ふわふわと浮きながら私の所に来たのはジャック・オ・ランタンだった。とても落ち着く声色で私に話しかけてくる。
「今回あなたと遥君をお呼びしたのは私とあなた方が初対面ではないからなのですよ。また会えてとても嬉しいです。私があなた方と会うために彼女に協力していただきました」
そう言ってジャックさんが見たのはさっきの猫耳メイドの女の子だった。そしてあることに気が付く。
「……黒猫、さん!?」
「今更ですか!何で気づかなかったんですかー!?普通わかりますよね!」
「お客様に向かってなんて態度をとるんですか。自己紹介をしなさい」
「……はーい。私は黒猫のミアです!本物ですよー?」
にゃあ、といって彼女は猫のポーズをした。黒い尻尾と耳の動き方が本物だということをアピールしてくる。彼女に見とれていると連想から遥のことを思い出した。
「ミアちゃん、遥は!?」
「大丈夫ですよーちゃんといますから。違う部屋で魔女さんとお話してます。もう来ますよ」
ミアちゃんが視線を向けた方向にはある一つのドアがあった。そのドアを数秒見つめていると突然ドアが開いて真っ黒なカッコをしたジト目の魔女と遥が出てきた。
「遥!」
「あ、悠、遅かったな」
「遅かったな、じゃないでしょ!心配したんだから!!」
そんなことで私と遥の言い合いが始まるとクスクスと笑い声が聞こえた。
ジャックとミアちゃんと魔女が笑っていたのだ。
「懐かしいですね。覚えていないと思いますが、あなた方二人が小さかった頃、ここで私と出会い一夜だけのパーティーをしたのですよ」
言われてみればなんとなくここははじめてという感じはしない。
微かに匂う甘い香りも、懐かしいような気がする。
魔女が持っている杖をやる気なさそうに振ると大きな机の上にお菓子やカボチャの料理が出てきた。
「どうぞ席に座ってください!今夜もはじめましょう?一夜だけのパーティーを!」
ミアちゃんの合図とともに楽しいパーティーは始まった。白いオバケやどこから出てきたのかわからないコウモリ、あとから参加をしてきた吸血鬼一家など、参加者が増えるにつれてパーティーは楽しくなっていった。
でも、ハロウィンは一年に一度。終わりは来る。
「終わりの時間ですねぇ。さみしいものです……」
「また来年!ですね!!」
「一年なんて一瞬……だから、待ってる……」
口調までやる気がなさそうだが、魔女は静かに微笑んだ。
大きな廃墟から出るまでミアに送ってもらい、私たちは約束をした。また来年、一年に一度のパーティーに参加すると。
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目が覚めると、そこは電車だった。帰りの電車だ。
隣には眠っている遥がいる。
「遥……起きて。駅つくよ」
「ん……あ、れ……さっきまでパーティー……」
駅に着いてから遥と話をすると私たちは偶然にも同じ夢を見ていたようだ。でも、帰り道の廃墟はなかった。存在していなかったのだ。そんなものはなかったといわんばかりにそこには空き地がある。少し、寂しかった……。でもだとしたらどこからどこまでが夢だったのだろうか。とても不思議な体験だ。
なんだかもやもやとする気持ちをおさえながら私たちはまた歩き始める。私のブレザーのポケットが妙に膨らんでいた。
「あ、そうだ遥……」
膨らんだポケットに手を突っ込んであるものを出す。そしてその出したものを見せながら遥に意地悪に笑って見せた。
「何か言うことは?」
その私の出したものを見ると遥は苦笑をしてバックから何かを取り出す。そしてそれをみて私も驚いた後に笑ってしまった。そして二人で同時に言った。
「トリックオアトリート」
私たちが持っていたのはお互いのために用意したお菓子だった。
私たちが笑いあっていると空き地のほうからにゃあ、というあの娘の声が聞こえた気がした。