90 パワースレイブ
「落ち着いてください雪菜先輩!!」
そう言ってエリナちゃんがそう言ってあたしの動きを止める。あたしは冷静を欠いていたことに気づき攻撃の手を止めた。
「ごめん冷静さを欠いてた」
「一つずつやって行きましょう」
「まずは」
あたしの声とエリナの声が重なる。
「「あれを消し飛ばす」」
そう言ってあたしとエリナちゃんは巨大ロボットを睨み付ける。炎が強くなるあたしの決意に肯定するように。
「留美ちゃんあたしたちが隙を作るからその内にパイルバンカーを、久留巳ちゃんはあたしたちと一緒に隙を作る手伝いを」
「わかりました」
「了解しましたわ」
久留巳は一気に全部の駒を召喚する。みんなもう戦闘態勢だ。
「まずはあたしから!!」
私はロボットに向かって駆け出す。ロボットも腕を振り回すが
「そんなトロイ動きで」
あたしは顔めがけて炎をぶつける。これで視界が悪くなるはずだ。その間に久留巳はルークとポーンを動かしてロボットの足に引っ付いて動きを阻害する。
「今よ、留美ちゃん」
あたしはそう言って合図を出した。
「パイルバンカー!!」
留美ちゃんの拳は操縦席のあたりを貫く。
「倒した!?」
あたしは思わず叫んだ。そこでエリナも叫んだ。
「留美ちゃんそいつから離れて!!」
「え?」
ロボットの肩の部分が浮き上がり砲身が出て留美ちゃんに向けられる。そしてチャージ音
「発射です~」
そんな間の抜けた声とともに砲身から光が留美ちゃんに当たる。
「留美ちゃん!?」
「あたいが直接乗ってるですよ~それぐらいで倒されるとは思わないでくださいよ。それにこれの名前はパワースレイブっす」
あたしはそんな言葉を聞き流して留美ちゃんを見る。両腕でガードをしたのだろう腕は黒焦げで無残な姿だった。
「エリナちゃん回復!!」
「やってます」
腕がどんどん元どうりになるのと比例して留美ちゃんは意識を取り戻す。
「あれ、死ななかったんすか?」
「この~」
あたしは大剣に炎を纏わせ攻撃するが
「無駄ですよ~表面の装甲は耐火性能が高いので」
そう言ってあたしの攻撃が終わったところで足のふくらはぎのところが開く。
「それじゃ、吹き飛んでください」
あたしたちに向かってミサイルが飛んでくる。
「ルーク!!」
久留巳ちゃんはルークを盾にして、ミサイルを防いだ。ルークは装甲が厚い駒だったが、木端微塵になった。あたしたちが当たったら肉片しか残らないだろう。
「すいません、もう大丈夫です」
そう言って留美ちゃんは立ち上がった。
「思ったより、装甲が厚くて手が届きませんでした」
「当たり前じゃないですか~コクピットの装甲を厚くしとかないと雑魚ロボットのように死んじゃうじゃないですか」
留美ちゃんの言葉を聞いていたのだろう、そう答えが返ってくる。
「何か手はないんですの?」
「一つ思いついたけど」
「なんですの?」
「装甲を火と水で脆くしていく方法だけど、対策がしてあるかもしれえない。しかもこれだと重要な回復担当を危険にさらすかもしれない」
あたしたちにとってそれは賭けだった。




