67 派手な演出
狼牙はいきなり襲ってくるかと思ったがあたしたちを襲ってこなかった。
「湯野、君の任意でファングって爆発することはできる?」
結城の質問の意図が分からなかったがあたしは素直に返事をした。
「うん、出来るけど」
「そっか準備して」
あたしはファングを出した瞬間、結城が背中から剣を抜いて狼牙とファングの間に投げた。剣に何かが当たったようなカンと音がする。
「今のは?」
「狼牙の手の中に何かあるのか分からなかったけど、湯野がファングを出した瞬間手を動かしたから何かすると思って遮るように投げたんだけど」
結城はニヤニヤしながら
「まさかただの石ころだとわな」
これであたしのファングが破壊された理由が分かった。狼牙は指で弾いた石ころで破壊していたんだ。確か指弾って言ったかしら。
「まあいいや。特に関係ないけど」
そう言って両足の太ももから拳銃を取り出しフルオートで放ったが狼牙には当たらなかった。
「おいおい、俺には当たってないけど。どこに目ついての」
狼牙そう言って挑発してくるが結城は気にしたような様子がなかった。結城は拳銃をポケットに収めて手に紅の手を召喚して天井に向け
「湯野、ファングを向こうに」
それと同時に魔力玉を天井に放ち、瓦礫でここと狼牙との間を完全封鎖した。
「まだあそこに隙間が」
そういって結城は隙間が完全に埋まるように魔力玉を放つ。
「えっと結城?」
「実はね、あの弾丸何かに当たると細かいアルミが舞うようになってる弾丸なんだ。それじゃここから少し離れて爆発」
「っ爆発させるから早くここから離れましょう」
そう言って離れようとしたがあたしたちが少し離れたところで爆発音がする。
「湯野」
「待ってあたしまだ爆発するようなことなんて」
「じゃあ何で?」
結城が不思議そうに首を傾ける。
「たぶん中で狼牙がファングを破壊してそのせいで爆発したんだと」
「あ~そういう事」
結城は納得したように頷く。
「あの、湯野先輩なんでファングが爆発しただけであんな大爆発に?」
「粉塵爆発って知ってるエリナ?」
そうあれは粉塵爆発なのだ。結城が放った弾丸でアルミの細かい粉が舞い、そこにあたしのファングが壊されたことで火花がちり、粉塵爆発が起こったのだ。
「結城、何もこんなところで起こさなくても!!」
「いや、だって両親の仇を取りたいだろうと思って」
「それでもやり方が」
「派手なほうが良いと思ったんだけど」
「あたしたちの命も派手に散らせるき!!」
「ごめん」
「もう、生きてるからいいけど」
あたしたちは他の狗牙たちが出て行ったと思われる道を目指して地上にでた。
ちなみに狼牙は生きていた。まあ肺が焼かれて虫の息だったらしいが。狗牙の方は大半が抵抗して殺されたらしい。




