104炎対爆発
あたしは結城たちを先に行かせて有川と対峙した。
「くっそ、先に行かせちまった」
そう言って悪態をつく有川だが、全く隙がないのだ。
「仕方ない、さっさと追うか」
そう言うと拳の炎が一気に燃え上がる。そしてバンッと有川の足元が爆発し、あたしに向かって飛んできた。
「速い」
あたしは有川の燃える拳を受け流そうと大剣を盾にする。その時有川の拳の炎が小さくなる。そして拳が大剣に触れた途端爆発した。
「ぐっ」
あたしは無理に受け止めず、体を浮かして吹っ飛ばされた。少し手首を痛めたが問題ない。
「どうだ爆炎拳は?」
そう言ってまた、拳を構える。
「どうってこと無かったわよ!!」
その言葉と同時に大剣の炎を飛ばす。
「よっと」
由真はそれをジャンプをしてかわす、そこにあたしは近づき攻撃しようとした。空中ならかわせない、あたしはそう思って大剣を振るったが、
「ほい」
有川の足から爆発が起きて、その反作用で空中であたしの攻撃をかわした。さらにもう一回爆発を起こして、あたしに蹴りを放った。あたしは咄嗟に大剣でカードしたが
「グッ」
あたしは爆発を受ける。この爆発が恐ろしいのは炎より衝撃と音だ。一時的に耳が聴こえなくなり、腕も痺れる。あたしは耳を押さえて後ろに飛ぶ。
「やっぱり防ぐか」
そう言って頭を掻く。
「さっさと負けを認めて、帰ってほしいんだけどな」
「どうして?」
あたしは唇とかすかに聞こえてくる音で何を言ってるのか分かった。
「いや、だって殺したら気まずいから。ここは理想の楽園を目指してるからだからここで同胞に血を流してほしくない」
本心で言ってるようだった。
「ごめんなさい、こちらも引けないので」
あたしはそう言って大剣の炎を大きくし、剣を有川に振るったがやすやすとかわされて懐に入れた。まずい、あたしは咄嗟に大剣と一緒に体を回し拳を避けたが炎があたしを燃やす。あたしは転がりながら火を消して立ち上がった。
「良い判断」
そう言って相手は拳を構える。そして距離を詰めてジャブをあたしに放つ。あたしは大剣を盾にしのぐが、威力は軽くない当たる度に爆発が起こり腕が下がりそうになる。
「もっと行くぞ」
そう言ってさらにジャブが激しくなる。
「っん」
あたしは必死に防ぎ、あたしは賭けに出た。自爆覚悟で拳を防ぐのをやめ、大剣の炎が一気に燃え上がらせ攻撃した。
「なっ!?」
相手はそれに驚いて手が一瞬止まる。決める!!あたしはそう思って大剣を振る。その思いを受け取った炎がさらに大きくなる。止まっていた拳が動く。
そして爆発。
「ハアハア」
あたしは全身ズタボロで立っていた。周りはあたしと有川を囲むように燃えている。あたしがこれで済んだのは炎を使う魔法少女だからだろう耐性はある程度ある。だが爆発には耐性は無かった片腕は折れていた。
「あははは、まさか捨て身で来るなんてね。嫌いじゃないよ」
そう言って笑う有川。有川は全身すすまみれで黒かったが対したダメージを受けてるようには見えなかった。
「とりあえずこれで終わり」
そう言って有川足の裏を爆発させて最後の一撃を放った。あたしは大剣を構えただけだった。立っていたのは
あたしだった。
「なんで?」
有川は鳩尾にあたしの剣が刺さっていた。自分から突っ込んだのだ。
「幻術よ」
あたしは幻術と言うには余りにも稚拙だけど幻術を使ったのだ。あたしは夏休み熱による蜃気楼の幻術が使えないかやってみたのだが結果は芳しくなかった。位置を少しずらす位しかできなかった。しかもよく見ればすぐにばれてしまうような幻術だ。最初に有川が結城たちにパンチが当たらなかったのはあたしが咄嗟に結城たちの位置を少しずらしたからだ。今の有川なら疲労もそれなりに溜まってるので幻術が効くと思ったのだ。
あたしは少し自分の位置をずらして、有川が突っ込んでくる場所に刀を置いただけだ。利き手が折れていたら出来なかっただろこれは幸運だった。有川はずれた所にいるあたし目掛けて突っ込んでいき勝手に刀に刺さりに行った。それだけのことだ。
「灯影…これが技名」
当初もうちょっとすごい技になるつもりだったが思ったより出来が悪い技になってしまい名前負けになってしまった。有川は倒れ、あたしは座り込んだ。
「しんどー」
あたしの声だけが響く。
感想など待ってます




