99 親友との語らい
俺は行く当てもなく歩いていた。町は何かと騒がしいが、そんなことも気にならなかった。
「あれ、結城じゃん。どうしたんだこんな所に?」
俺を呼び止める声がしたので振り返るとそこには
「まいいか、なんかあったのか?」
そこには俺の様子を見て聞いてくる雄二がいたのだ。
「まあここでいいか、で何があったんだ?」
俺は逃げることも出来ず、雄二と公園のベンチに座っている。
「逃げてきた」
「はぁ?」
「逃げてきたんだよ」
「何から?」
俺はあったことのすべてを話した。
「俺には戦う力が無いから」
俺はそう言って項垂れた。
「……だからなんだ?」
「え?」
雄二は俺に軽蔑の目を向ける。
「だから、同情してほしいのか?だから逃げたことに肯定してほしいのか?」
「それは……」
俺が言いよどむと雄二は俺の胸ぐらを掴むと
「いいか、お前は根本的に考え方が間違っている。お前の力不足で誰かが傷ついたら、その力不足を努力で補えよ。それでも足らなかったらさらなる努力で補えよ」
「だからそれでも」
俺の胸ぐらを掴みながら雄二は体を揺する。
「ああそれでもダメだろうな」
「ならどうすれば良いんだよ!!」
俺が怒鳴ると
「どうしようもないんだよ。お前が自分で全部守れるとか思ってるんだったらそれは傲慢だ」
雄二の言葉に俺の動きは止まる。
「別にお前の師匠は戦うことを逃げ出したことを責めてるんじゃない。お前が諦めたことを責めてるだよ自分自身に。いいかお前は死んだエリさんや妹をだしに自分自身に諦めて頑張ることをやめちまったことが問題なんだよ!!」
俺はそこで気づく、戦う力を全部失ったわけでわない。そして例え戦う力が無くても出来ることは有ったはずだ。それなのに俺は……
「俺は行くぞ」
そう言ってベンチから立ち上がって公園の外に向かって歩き出した。
「雄二!!」
「なんだ?」
「ありがとう!!」
「…ああ」
俺は立ち直って周りを気にすることができるようになって誰かが俺を見ていることに気づいた。
「グラド、デノム」
俺が呼ぶと公園の茂みの中からグラドとデノムが出てきた。
「どうしてここに?」
俺の質問に
「祥子さんが俺たちが結城に必要になるから、結城のところに行って結城が呼び方出てくるようにと」
全く祥子さんには敵わないな。
「なあ、こんなダメダメな俺だけど力を貸してくれないか?」
「そんなことは決まってるぞ、相棒なんだ貸してやるさ」
「そうだ、我が主そんなつまらないこと聞くな」
グラドとデノムの返事をうれしく思いながら。デノムを握る。
「グラド竜化して、雪菜たちの所へ」
「分かった」
俺は立ち上がる。




