最弱の傭兵。
クゥトゥルフルフルフ
ルルルルルル
王「我が娘、クラージュ・カレッジよ
この神から授かりし”退魔の剣”を受け取り、
魔の国の王、魔王を倒すのだ。」
ク「その命しかと承りました。
王よ。」
パチパチパチパチ
部屋に敷き詰められたように居る貴族達が、
拍手をした。
やがて拍手は止まり。
とっとっとっ
とクラージュが貴族達の間の道を通り、
抜け、扉を抜けて行く……
その扉の横には、
クラージュが子供の頃から、
連れ添っている傭兵が壁に背中を預けていた。
ク「明日には私は戦場へ送られます。
あなたは来ない方が良いでしょう…
私よりも…その…弱いですから……」
城の廊下を歩きながら話す。
最弱「お嬢だけ戦場に行って、
俺だけ留守番なんてな、
そんなだせぇこと出来るわけないだろ?
もしかして分かって言ってんな~?」
ク「……私だって留守番したいですよ!
ですが、勇者になってしまった……
そしてこの立場…国民達は私が守らなければいけない…
そしてあなたはあの地獄で生き残れるほど強くない…
私はあなたに生きてほしいんです…」
弱「いや、俺を甘く見過ぎだぜ?
お嬢。
俺なら魔王なんてちょちょいのちょいだぜ?
それよりも俺はお嬢の傭兵だ、
命を張ってでも守るぜ?俺は。」
ク「……私はもう疲れましたので…
休みます。
それでは…」
クラージュは離れ、
自身の部屋に歩いて行った。
クラージュが自身の部屋に着く。
ク「この部屋も今日で最後か…
子供の頃からの自室……
ちょっと名残惜しいな……」
クラージュは眠りに就く。
そしてクラージュは懐かしい、
”過去”の
夢を観た。
それは16年前……
クラージュが6歳の頃だった。
王「クラージュは……
適当な奴を当てとけばいいだろう。」
執事「はい、
ならこの方などいかがでしょう?
安いですし、実力は……そこそこだそうです。」
王「ふむ…ならこいつで良いだろう、
正直あいつにはあまり金を使いたくないからな。」
クラージュは、
ドアの裏で聞き耳を立てていた。
クラージュは泣きはしなかった。
彼女は強い子だった。
そして翌日、
王が適当に選んだ、
”傭兵”が訪れた。
名前は無く、
出身地も分からない。
ただ値段が安いという理由で、
雇われた、”最弱”と噂される傭兵。
城の庭園で話す。
弱「初めまして、
傭兵ギルド所属の名の無い傭兵です。
雇ってくださりありがとうございます。」
王「あぁ、そうか、
今回お前を雇ったのはこの、
クラージュを護衛、世話をしてもらうためだ、
金額は通常通り、日給2万円だ。
よろしく頼んだ。」
そう言うと王は護衛と執事と一緒に、
その場から去った。
残るはクラージュと最弱の傭兵のみ。
そこからは、
遊んだ。
傭兵は知識が豊富だった。
クラージュの知らない遊びを沢山し、
夜まで夢中になって遊んでいた。
そして傭兵とクラージュは、
最高の出会いをし、
振り分けられた自室に戻り寝た。
そして、
現実が目覚めた。
ク「ぅ…ううぅ…
なんで涙が…
あぁ、懐かしかったなぁ……
最後ぐらい遊んで……
いや、もう行かなければ…」
クラージュは支度を済ませ、
城の兵が集まる広場に行き、
馬車に乗った。
すると目の前に…
弱『ま、まだバレてないよな?…』
傭兵が居た。
ク「お、おま何で……
なんであなたが……」
弱「王様に許可を貰って来たッ」
傭兵は決めポーズを決めながら言った。
辺りの兵が少し端による。
引かれたようだ。
ク「は、はぁ……
もう引き返せませんよ?
この馬車は止めさせることができない。
私が乗っているから…
私が遅れたら戦場は劣勢になる。」
弱「最初から止めさせる気なんてないぞ?
むしろこのままスピード上げてほしいぐらいだ。」
兵A「ぉ、お前!最弱の分際で、
俺らの寿命を縮めるようなこと言うんじゃねぇ!」
弱「わ、悪かった。
謝る…」
兵A「……」
そこからは会話が無かった。
いや、したいが出来なかった。
やがて、魔族領と人間領の中間の陣地。
紅の森、付近に着く。
そこは広々とした野原だった。
が、今は見る影もなく、
草は燃え、空は灰に包まれ、
兵達が剣で叩き合い、
地面は紅く紅く染まっていた。
兵が転がり、
まさしく地獄であった。
馬車が止まり、
兵達が出、
クラージュの下に集まる。
ク「今!この戦場で人間は劣勢に追い込まれている!
ただ!安心して欲しい!
今ここで!勇者であるこの私が共に戦う!
そして異界からの援軍もある!
兵の皆よ!私達はもう負けない!
行くぞぉぉぁぁぁーーッ!」
兵達「おぉぉぉぉぉおおぉぉぉおおーーーッ!」
兵達は戦場へ走って行く。
魔法兵も弓兵ももうおらず、
そこには歩兵しかいなかった。
ク「私達も行くぞ」
弱「おう!」
クラージュと傭兵も、
戦場へ走った。
クラージュと傭兵は、
二人一組で行動し、
お互いに背中を預けていた。
ドキィッン
魔族達の素手の殴りを、
クラージュが剣で跳ね返す。
シュワッ
そして隙のできた腹を切りつける。
シュゥワ
と、切り付けられた魔族は、
蒸発した。
ク「流石は”退魔”の剣、
切りつけさえすれば即死か。」
弱「それならもう適当にぶん回すだけで、
俺でも倒せそう…だ。」
傭兵はボロボロの剣で魔族の拳を耐えながら話す。
シュワッ
クラージュが傭兵が抑えてた魔物を切る。
シュゥワ
ク「でも…いくらやってもきりがない……
ここからどうしたら……」
弱「お嬢らしくないなぁ……
もっと気楽に行こうぜ?」
ク「負けそうになりながらそんなこと言わないでください!」
シュワッ
傭兵の横から殴られそうになっていたのを止め、
切りつけた。
弱「お嬢……あれ…あれは何なんだ?」
傭兵の声のトーンが変わる。
それは畏怖するようなトーンだった。
クラージュも見るとそこには、
魔族達がまるでゴミの様に、
殴り飛ばす者と軽く切るかのように、
広範囲を水らしきものでぐるりと、
魔族の体を切る者の何か、二人いた。
ク「あ、あれが異界からの援軍……?」
弱「援軍……前、能力者ってのを聞いたことがあるんだが……
もしかしてそれか?
ま、まぁ、戦いに集中しないとな……」
ブジャッ
ク「え?」
弱「は?」
クラージュの腕が、
消えていた。
戦況は以前劣勢。
ただ異界からの援軍によって少し良くなっている。
しかし、
勇者が来たところで何も変わらなかった。
勇者の後ろに居たのは、
5メートルはあるであろう巨体。
まるで豚のような顔、
手には巨大な鉈。
???「勇者は……お前…か?」
少しどもった声で尋ねる。
ク「そうだ……私が勇者だ!」
???「お、俺は魔族、四天王……
戦庫、ハラ―グ。」
ク「し、四天王?……」
ク『わ、私が四天王に勝てるのか?……
い、いや私にはこの退魔の剣がある。
一度切りつけれれば……ッ!』
ク「喰らえッ!」
シュワッ
その一撃は四天王、ハラ―グに当たる。
が、蒸発も何もしない。
ク「う、うそ、うそだ…」
シュウィッ
弱「お嬢!避けっ!」
傭兵が庇おうと、
そのハラ―グの凶刃に飛び込む。
ドボジュッ
傭兵は、
その凶刃に当たり、
何とかクラージュを斬撃から守った。
ただクラージュは傭兵と一緒に吹き飛ばさる。
弱「お、お嬢…だ、大丈…夫か?」
ク「私は大丈夫だッ!
そんなことよりもお前!
お前の体が!」
クラージュが見るその傭兵は、
鈍い鉈によって、
不完全に上半身と下半身が剣ごと割られていた。
弱「お嬢…勇者になったからと言って、
逃げちゃダメな訳じゃない……
お嬢は…自分の為に…生きな……」
傭兵の息が止まる。
ハ「家族…ごっこは……終わった……か?」
ク「……」
クラージュは、
黙る。
ク「死者を蘇らせれる魔法があるらしいじゃないですか……
自分の為に生きる?…
もうここまできたら無理に決まってるじゃないですかッ!
私は、クラージュはッ!あなたの為に戦いますッ!」
ハ「あ…ぁ…夫婦…じゃなくて……
親子…ごっこ…だったか……」
ク「ハァァァッ!」
クラージュが手を上にし、
片手で持ち上げている退魔の剣に、
魔力を集めていく。
幼き少女、クラージュ・カレッジ
「聖滅閃光ッ!」
突如として、
その場に小さく、
大きな閃光が走る!
その閃光は、
四天王ハラ―グに直撃し、
辺りの魔族達巻き込んで喰らっていく!
閃光が縮む……
少ない電気で光るような電球のように、
小さく、小さくなっていく……
やがて動力が落ちていき、
消えた。
閃光は消え、
戦場は元の地獄のような光景に戻る。
辺りの魔族達は見る影もなく、
消滅し、
人間が残っていた。
ただ…
大きな影が残っていた。
それはそれは大きく、
巨大で…
5メートル程はありそうな…
豚のような顔をした……
四天王ハラ―グ。
消そうとした…
意識して放った相手には、
効いていなかった……
いや、ハラ―グは黒焦げになり、
その技は効いていた。
が、
ハ「そ…れで……お…わりか?
勇者……?」
ハラ―グはまだまだ、
動けそうな余裕の溢れるトーンで、
勇者に問いかける。
ク『あ…ぁ意識が……』
クラージュは意識を落としまいそうになる。
が、
何か、傭兵の倒れていた場所から音がする。
ネチャッグチャリッン
ゴリャチェツボペチャッ
それはスライムのようで、
粘性をもったような音であった。
次第に音は止み、
クラージュの目に、
傷の無い、傭兵が映りこむ。
弱「お嬢、俺、自分の事を思い出したよ。
俺は…ショ……」
クラージュの意識はそこで途絶えた。
ハ「な…んで…お前…生きてる?……」
弱「今思い出したが…
俺、人間じゃないでそういう生物だから。」
傭兵は真の姿を現す。
それは、
妙に肉肉しく…
生々しい、
主な色は黒で出来ており、
触手がうねり……
無数の目が浮いていた。
それは人や動物。
様々な目を”模倣”していた。
それはどんどん膨れ上がっていき……
4メートル程までに達した。
それはまさしく怪物のそれであった。
ハラ―グよりも、
不快感を感じる見た目……
辺りの兵達は、
畏怖し、恐怖し、
逃げる者もいれば諦め、
その場にうずくまる者もいた。
傭兵「おいおい…
仲間だぞ…そんなにビビんなって……」
兵A「ば…化け物が!
お、俺らはお前の事を貶したんだぞ!今まで!
ほ、報復し、しないのか!?」
傭「お嬢に出会ってなかったらしてたかもな、
もしかして、お嬢も貶してたのか?」
兵A「し、してなッ!」
傭「ようし、ならそれでいい。
さぁ、四天王ハラ―グよ、
戦おうではないか…」
ハ「お前の…ような…人間に…化ける様な…
雑魚…に…この…俺が…負けると…でも?…」
ハラ―グがその鉈を振り上げ、
傭兵に叩きつける。
傭兵は柔く、割ける。
ハ「ぬ…抜け…ないッ!?…」
傭兵の体が鉈に絡まりつく。
そしてゴギッと折れた。
ハ「ば…ばかな……ミ…ミスリルと…オリ…ハルコンの…
ご…合金だ…ぞ?」
傭「頂きまーす。」
傭兵は折れたその鉈を、
粘性のあるその体で飲み込んだ。
すると体が変わり始める。
ゴウチャボフジャッ
一部が鉈のようになった。
そしてその鉈で、
ハラ―グを切りつける。
ジュブジャァッッ
その刃はハラ―グが使っていたのとは、
格別に違く、細く鋭利だった。
一瞬にしてハラ―グは、
頭から股間まで、
真っ二つに切られた。
そして、
傭兵は元の傭兵の姿に戻った。
傭「分かってる、
俺は危険な存在だ、
処分なり封印なり好きにしてくれ。」
兵A「それよりも、お前、
そんなに強いならこのまま働け!
その姿だから言えるが、
お前はおそらくこの国の最高戦力だ。
お前が勇者様の代わりに働け!
話はそれからだ!」
傭「それもそうだな……
ただ、お嬢を治療してやって欲しい。」
兵A「お前が戦うならな」
傭「そのつもりだ。
それとお嬢には俺は死んだと言う事にしてくれ。」
兵A「約束しよう。」
すると、傭兵は、
雇い主から離れ…
独立し戦場へと旅立った。
そして魔王の封印が、
成功し、国は賑やった。
そして、
傭兵は功績を称え、
”最弱の傭兵”の像を作った。
その下にはかの者が仕えた、
クラージュ・カレッジの使っていた。
退魔の剣が置かれていた。
その剣は変幻自在で、
その下に長く、長く、
突き刺さっていた。
そのさらに下の空間に、
その傭兵が居るとも知らずに………
初めての短編ッ!
いやぁ、外伝…
虚影録の外伝作ろうと思ったけど、
これが最初になりましたねぇ、
まぁ、実はカクヨムの方で、
まだ始動はしてないですが、
失望したよ、吸血鬼。
と言う作品もあるんですがね…
まぁこれが初めての短編と言う事で!
色々と最初は不自由だったけど、
無事、3時間程度で書き終われました!
まぁ、ここまで読んでくださったのであれば、
本編…虚影録も読んで頂けると幸いです!
それではでは……
良い人生を!




