神の必然。
学校の登校時、俺はこの少女と出会った。
夢で見たあの少女の鏡のように、似ているその黒服を纏う少女。俺はどことなく不安を感じていた。何か災いが起こるのではないか、そんな匂いが漂っている。
「おい。オズ君、私はどちらの服が似合うかな?」
服をかざし、猫のように笑む彼女。
俺は適当に黒いネグリジェを指差した。
少女は「そうか」と納得し、選ばれた方の服を戻し、選ばれなかった服を籠の中に入れる。
…いや、じゃあなんで俺に聞いた?
「おい」
「なんだい?」
「お前、周りの奴からは見えないんだろ?だったらその籠とか服とか会計とか金とかどうすんだよ?」
俺が小声で人に聞こえないように言うと、少女はふと笑う。
「偶問だな、オズ君。私に触れたならば、その物までをも見えなくする。心配無用ということだよ」
「………お前は、人間か?」
不審に思わざるを得なかった。
見えない人間。
触れたものをも見えなくする人間。
そんな人間、いるわけがないのだから。
「ふふっ。滑稽なものだねぇ。そうだよ、私が人間だ」
「…ふぅん」
そうとは思えないけどね。
「私が人間だ」。随分はっきり言うものだから、否定なんて、出来やしない。
お前が人間なら、お前が見える俺はなんなんだ。
何が人間で何が人間じゃないのか、俺はさっぱりわからなかった。
夢で出てきた刃の少女。
現実で模倣された刃の少女。
――バイオリンの少女。
それはまるで神が仕組んだ歯車のように、
ぐるぐると、
ぐるぐると、
音をたてて廻り出す――――――。




