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お兄ちゃんが赤ちゃん…!? 【2000文字】

作者: 有梨束
掲載日:2026/01/25

「な、なんでソラ兄が赤ちゃんになってるの!?」


日曜日の昼下がり、たっぷり寝て起きたら3兄弟の長男、ソラ兄が赤ちゃんの姿になっていた!

姿というのはコスプレじゃなくて、まじで本物の小さい赤ちゃん…!

ど、どういうこと!?

「さっき、ソラ兄と商店街でくじを引いてきたんだ」

一番下の弟のウミが、泣きそうな声で言った。

「それで、おれはラムネをもらって、ソラ兄は飴をもらったの」

ああ、そういえば朝から行くんだって昨日言ってたっけ…。

「帰ってきてその飴をソラ兄が食べたの。そしたら赤ちゃんになっちゃって…。リク兄どうしよう!」

「なんだよ、その怪しい飴…」

「ソラ兄が戻らなかったらどうしよう!」

「この子、ほんとにソラ兄だよな…?」

「そうだよ!ポンッて煙が出て、この姿になってたんだよ!」

残された飴の袋には、『コドモがコドモにな〜る飴』と書いてあった。

「きゃあい!」

そこで、赤ちゃんのソラ兄が高い声を上げた。

小さな手で、ウミのほっぺたを触る。

「ソラ兄〜〜…!」

ウミはひしっとソラ兄に抱きつく。

「きゃははっ」

「笑ってる…」

「何言ってるかわからないよ〜、ソラ兄ぃ」

ウミが頬ずりすると、ソラ兄も真似するようにスリスリした。

「ソラ兄を戻す方法を探すしかないよなあ…」

「どうやって?」

「商店街のくじ引きのところに行って訊いてくるよ」

「えっ!置いてかないでよ!おれも行く!」

「ソラ兄を抱えては行けないだろ!」

そのとき、ソラ兄がオレの方に腕を伸ばした。

といっても短くて、ただ手を挙げただけかもしれない。

わかんないから、とりあえず伸ばされた手を握ってみた。

すると、ソラ兄はウミをすり抜けてオレの腕の中に入ってきた。

「え、え、なに!?」

「あーい!」

オレの首元をつかんでよじ登ろうとしてくる。

「まって、服伸びるから」

ソラ兄のいたずらを封じ込めるように抱き抱えると、きゃっきゃと楽しそうに笑った。

「抱っこしてほしかった、とか?」

「きゃあい」

「えええ…ほんとに赤ちゃんじゃん…」

「おれも抱っこしてみたい!」

「ウミにはまだ無理だよ」

「えええ、ソラ兄だっておれにも抱っこされたいよね!?」

ウミが勢いよく近づくと、ソラ兄はふいっとそっぽを向いてオレに顔をうずめた。

うーん、ちょっとかわいいかも。

「ほらイヤだって」

「そんなあ!」

「それにしてもソラ兄が喋らないと怒られなくていいな」

「あっ、それおれも思った!」

いつも小言が多いソラ兄が、きゃーいしか言えないのは、なんか平和な気がしてきた。

かわいいし。

「部屋散らかすなって言われないもんね」

「オレもちゃんと起きろって言われなかったし」

「宿題やれも言われないよ」

ニッコニコのソラ兄を見て、オレとウミは顔を見合わせた。

「このままでもいいんじゃないか…?」

「おれ、弟か妹がほしかったんだ!」

悪くない気がする。

自分が一番上の兄というのも、ちょっとうれしいし。

「あっ、あー」

今度はオレからすり抜けそうになって、慌てて抱き直した。

「だあー!」

「なになに、おれに抱っこされたい!?」

「ちがうだろ、なんか欲しがってないか?」

「お腹空いたの?…それともウ、ウンチとか!?」

「まじ!?」

ソラ兄は空中で手をパタパタさせて、何か言いたそうに見えた。

ほんとにウミに抱っこされたいとか?

「ソラ兄、わかんないよぉ…」

「ふぇ、ええええん!!」

機嫌が変わったのか、ソラ兄はいきなり泣き出してしまった。

「うええええん!」

「イタイ、イタイッ、叩かないでっ」

「ぎゃあああっ」

オレの顔を容赦なく叩いて、バタバタする。

落ちちゃうって!

「ごめんっ、わかんない…!」

「やっぱり赤ちゃんのソラ兄じゃ、やだよぉ」

わああっと、ウミまで一緒に泣き出した。

もしソラ兄だったらうまいことあやせたのかな。

「ソラ兄戻ってぇ、おしゃべりしてよぉ」

「喋らないなんてソラ兄じゃないよ…」

「んぎゃあああ」

ウミの方をめがけて体をそらすソラ兄に、オレも泣きたかった。

いつもみたいに頭撫でてよ…、もう嫌がったりしないからさ。

「…どうにかしないと」

ソラ兄がウミの胸ポケットをバシバシ叩き始めた。

「ここにはラムネしか入ってないよ?」

「だあああ!」

「ソラ兄、赤ちゃんは食べられないよ」

揉めているうちに、ラムネがポケットから飛び出た。

ソラ兄は誰よりも先に掴むと、そのまま口に入っちゃった!

「ああっ」

「ペッして!」

次の瞬間、ポンッと煙が沸いて、ソラ兄は元の姿に戻っていた。

「ケホッ、はあ、大変な目に遭った…」

「「ソラ兄っ!」」

オレとウミは両サイドからソラ兄にしがみついた。

「うわっ!なに、2人とも!」

「こっちのソラ兄がいい!」

「おれも!」

「小言がうるさいんだっけ?」

「うそ!オレたちの兄ちゃんでいてっ!」

「なんだよ、調子いいなあ」

そう言いながら、ソラ兄は笑って、オレとウミの頭を撫でてくれた。


ちなみにラムネの袋に『コドモがコドモに戻〜るラムネ』とあって、なんだよこれ…とオレは脱力したのだった。




毎日投稿25日目。お読みくださりありがとうございました!

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