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第60話:影のネットワーク

 始まりは、

 偶然だった。


 久遠の端末に届く

 非公式回線は、

 日に日に増えた。


 位置情報。

 侵食兆候。

 「まだ小さい」という

 一文。


 共通しているのは、

 公式が動かない段階

 という点だった。


「……速すぎる」


 久遠は、

 地図を広げる。


 侵食発生点の

 前兆。


 管理課の

 検知より、

 平均して

 六時間早い。


「誰が

 流してる」


 答えは、

 すぐに出た。


 現場。


 地下駐車場。


 集まったのは、

 八人。


 前回より、

 増えている。


「管理課の

 センサー設計、

 俺が関わってました」


 中年の男が、

 苦笑する。


「今は

 左遷です」


「医療ログの

 副次反応を

 見てます」


「侵食前、

 必ず

 生体リズムが

 乱れる」


 元研究者。


 元官僚。


 元冒険者。


 元、がつく人間たち。


「つまり――」


 久遠は、

 まとめる。


「公式より

 早く、

 気づける」


 全員が、

 頷く。


「で、

 久遠さん」


 若い冒険者が、

 言う。


「俺たち、

 どういう

 集まりなんですか」


 久遠は、

 一瞬

 考えた。


「……決めてない」


 沈黙。


 だが、

 誰も

 離れない。


「名前が

 必要なら」


 久遠は、

 続ける。


「影でいい」


 戦闘。


 侵食は、

 小型。


 だが――

 油断できない。


 影のネットワークは、

 役割を

 自然に分担する。


 探知。

 固定。

 殲滅。


 声は、

 少ない。


 被害も、

 最小。


 久遠は、

 剣の代わりに

 工具を振るう。


 刻印のない

 装備。


 誰の死も、

 背負っていない。


 それが――

 少しだけ、

 楽だった。


 戦闘終了。


「……これ、

 続けたら

 バレますよね」


「いずれ」


 久遠は、

 即答する。


「でも」


 夜風が、

 冷たい。


「今、

 救えた」


 誰かが、

 小さく

 笑った。


 その瞬間、

 久遠の端末が

 震える。


 公式回線。


 久遠は、

 目を細める。


『久遠朔』


 統括官の声。


『非公式活動を

 確認しました』


 来た。


『警告です』


「……何人

 救いました?」


 沈黙。


『これは

 命令違反です』


「――承知しています」


 久遠は、

 端末を閉じる。


 周囲を見る。


 影たちは、

 黙って

 立っている。


「解散だ」


 誰も、

 反論しない。


 それでも――

 翌日。


 端末は、

 また震えた。


 影は、

 もう

 止まらない。


 管理されない

 救助。


 記録されない

 戦闘。


 だが――

 確かに、

 世界は

 少しだけ

 保たれている。

次は

第61話「公式との境界線」。

影が“危険視”され始める回です。

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