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第44話:判断を与えない日

 その日は、

 最初から決めていた。


 今日は、

 指示を出さない。


 中層第十一区画。


 編成は、

 いつも通り。


 久遠は、

 後方に立つ。


 剣は、

 鞘に収めたまま。


 モンスターが、

 姿を現す。


 距離、

 十分。


 動ける。


 だが――

 誰も動かない。


 視線が、

 集まる。


「……まだだ」


 久遠は、

 それだけ言った。


 前列が、

 ざわつく。


「え、

 じゃあ……」


「誰が、

 合図を?」


 沈黙。


 モンスターが、

 一歩踏み込む。


「前に出ろ!」


 誰かが叫ぶ。


 だが、

 統率がない。


 動きが、

 ばらける。


 久遠は、

 歯を食いしばった。


 ここだ。


 これが、

 現場の実力だ。


 衝突。


 被弾。


 叫び。


 久遠は、

 それでも動かない。


 自分が出れば、

 すべてが

 元に戻る。


 だが、

 それは

 壊れたままに

 することでもある。


 結果。


 一人、

 死亡。


 即死。


 久遠は、

 動かなかった。


 撤退。


 誰も、

 口を開かない。


 医療室。


 亡くなったのは、

 若い冒険者だった。


「……なんで」


 仲間が、

 呟く。


 久遠は、

 その場に立っていた。


「俺が、

 判断を出さなかったからだ」


 誰も、

 否定しない。


 否定できない。


 報告書。


 判断非介入:1

 死亡:1


 管理課は、

 激怒した。


「何を、

 考えている!」


「分かっていて、

 放置したのか!」


 久遠は、

 頷いた。


「はい」


「現場が、

 自分で決める力を

 失っているか

 確認しました」


 沈黙。


「結果が、

 これだ」


「はい」


 久遠は、

 頭を下げた。


「責任は、

 俺にあります」


 夜。


 久遠は、

 一人で

 境界に立つ。


 誰も、

 いない。


「……やっぱり、

 人は死ぬな」


 どんな選択をしても。


 剣に、

 触れる。


 鞘から、

 少しだけ抜く。


 使わないと、

 死ぬ。


 使っても、

 死ぬ。


 なら――


 久遠は、

 決めた。


 次は、

 剣も判断も

 同時に使う。


 逃げない。


 だが、

 背負いすぎない。


 その境界を、

 自分で作る。


 夜風が、

 剣を鳴らした。

第44話は、

「教育のための不介入」が

許されない現実を描きました。


久遠は、

正しさを証明するために、

一人を死なせました。


これは、

明確な罪です。


次は――


久遠が再び前に出る条件


“判断と戦闘の両立”という矛盾


現場からの拒絶と要請


へ進みます。

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