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9話 銅晶剣

 ここは、ラットダンジョン。俺は、武器屋から提示された条件を達成するため、銅の短剣の回収をしている最中だった。

 とは言っても、特別何か難しいことをするわけでもなくダンジョンに入ってはスキル「透視」で宝箱の前に移動するだけの単純作業である。


 9周目の銅の短剣を回収したその時、ステータス画面が目の前に表示されそこには見慣れない画面が表示されていた。


「ミッション達成?」


 何気にダンジョンの入り口以外でステータス画面が開かれたことは一度もなく、突然のことで少し驚いた。

 何やら冒険者にはミッションというものが存在するらしく、クリアすることによって特別な報酬や隠しダンジョンなどに挑戦する権利などを手に入れることができるらしい。

 もしかしたら、この前メラスタダンジョンで見つけた隠し扉も何か関係しているのかもしれない。


 新しい発見に対して、いつの間にか心がワクワクしている自分に驚いた。数日前の僕では全く想像もつかなかっただろう。


 ステータス画面を指で触れると、画面が切り替わりミッションの内容が表示される。


「ラットダンジョンクリア回数 10回達成」


 すると、目の前にミッション達成の報酬が生成され始めやがてステータス画面の表示が変わった。


「ミッションクリア報酬 スキルブロック光源」


 スキルブロック?聞いたことないな。

 武器屋の主人なら何か知っているかもしれない。あとで聞いてみるとするか。


 報酬を受け取った俺は、すぐに10本目の銅の短剣を獲得し武器屋へと戻った。


「よぉ、冒険者。まさかもう10本集めたのか?」


 思ったよりも帰ってくるのが早かったのか、店主は驚いた様子で俺に言ってきた。

 そんな店主の前に俺は無言で取ってきた銅の短剣を出した。


「お……おい。まじかよ!スゲーなお前!」


 主人は目をキラキラと輝かせながら、銅の短剣を一本ずつ査定していってくれた。


「特に問題はなさそうだな。よし!10万ヴェリンで買い取ってやろう。これで新しい武器を作ってやる」

「あ、あと一つ聞きたいことがあるんですけど……」


 俺は、ミッションのクリア報酬でもらったスキルブロックを店主に見せた。


「これなんですけど。ラットダンジョンを攻略したら報酬でもらえて」

「あー!これはスキルブロックだな。簡単に言うと誰でもスキルが使えるようになる道具だな」


 主人が言うに、これはスキルブロックの中にスキルを発動するためのスキルストーンというものが入っているらしく、この中に入っているスキルストーンによって使えるようになるスキルも変えることができるというものらしい。

 これをうまく活用すれば、自分の持っているスキルの苦手な部分が不可能な部分を補うことができるし、今後のダンジョン攻略には役に立つこと間違いなしだろう。

 また、主人のような鍛治のスキルや製錬のスキルを持っているものは、スキルブロックのストーンを変えることができるらしい。

 主人も、気軽に持ってこいと言ってくれたので活用できそうな機会があったらまた頼らせてもらうことにしよう。


「すまんな。説明が長くなっちまって。完成までに2日くらいかかるからまぁ気長に待っててくれ」


 そして俺は店を後にした。


 今日はもう疲れたから帰るとするか。しかし完成が待ち遠しいな。


 ――――――――――――――――――――――――――――――


 3日後


 俺は、新しい武器を受け取るため武器屋に向かっていた。


「よぉ。いらっしゃい!おぉ!きたか冒険者!」


 武器屋の扉を開けるといつもの主人が振り向いた。


「ほらこれ!新しい武器だ」


 主人から渡された武器を俺は両手で慎重に受け取り剣を抜いた。

 新しい剣は全てを切り裂けるような黒い光沢と鋭い刃先が光を反射し、丸一度見たら目に焼きついて忘れられないような見た目だった。


「銅の短剣を限界の99%まで洗練すると作ることができる銅結晶を使った剣だ。見た目もなかなかだが、強度もかなりのもんだ。まぁ使ってみたらわかるさ」


 主人が自慢げに説明をしている中、俺は剣を構えながら聞いていた。


「名前とかあるんですか?」

「名前?あんた武器に名前なんてつけるのか!変わったやつだな!じゃあ、銅晶剣とかどうだ?」


 俺は主人の顔を見て頷き、剣をしまった。

 早速ダンジョンで新しい剣を使ってみたくなり、すぐに店を出る準備をし始める。


「冒険者!ケガには気をつけろよ!」

「ありがとうございます」


 そして、次のダンジョンに向かうため俺は武器屋を後にした。


 店を出てすぐのことだった。

 なんだか後ろで異様に人の気配がする。誰かにつけられているのだろうか。


 俺は、咄嗟に大きな声て相手を挑発した。


「おい!そこにいるんだろ。出てこい!」


 すると、木の影から大きなマントに身を包みフードで顔を隠してる人間が静かに姿を現した。

 油断したその瞬間、目に見えないほどの速さでこっちへと向かってくる。


 気づけば俺は、仰向けに押し倒され首には刃が少しあたるほど刀を突きつけられていた。




 ヴィリー・ルート……お前を!殺す!!……



   ――――――――――――


 ヴィリー・ルート 15才 男

 レベル:5

 MP:15

 攻撃力:100 +70

 防御力:30

 素早さ:30

 スキル:透視

 装備:銅晶剣


 ――――――――――――

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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