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2話 追放された少年

 レドルンドに頭を蹴られ、視界がぼやけながらも僕は家に向かっていた。

 頭を強打したせいで、フラフラと歩いていたので周りからは余計に怪しまれていたが、そんな事がどうでもいいくらい痛みの方が辛かった。


「とりあえずポーションを買いに行かないと……」


 帰り道にある薬局に寄り、なけなしのお金でポーションを買った。

 僕の巾着には、500ヴェリン入っていたが150ヴェリンのポーションを買ったので350ヴェリンしか残っていなかった。


「なんとかしてお金を稼がないと……」


 店を出た瞬間、痛みに耐えられなかった僕は焦りながらポーションの蓋を開け、一気に口の中へ流し込んだ。

 おそらく周りの人が見たら、薬物中毒者にしか見えなかっただろう。

 飲み終わった後に冷静になって考えてみると、やばい人にしか見えなかっただろうなと思った。


 その後は、これから生きていくためのお金に頭を悩ませられながら帰る羽目になった。

 普段だったら、山の中にある安い土地に一つ佇んでいる家に帰るのに、往復するだけで相当な体力と時間を奪われていた。

 だけど、今はそんな疲れや時間が気にならないほどお金に悩まされていた。

 半年ほど前、この家を買った時の僕は、住む場所が必要だったにも関わらず、まったくお金がなかったので立地を気にすることが出来るほど余裕がなかった。

 今となっては、こんな状況になった以上全く後悔はしていない。

 なんなら、半年前よりお金に困っているかもしれない。


 ――――――――――――

 

 この町でお金を稼ぐ方法はいくらでもある。お店を経営する人も居れば、投資でお金を増やす人、人を雇いダンジョンをクリアさせて報酬を得る人なんかもいる。

 なんなら、貴族とかいう人生勝ち組チート人間なんかは、何もしなくてもお金が入ってくるんだとか。

 でも今の僕に出来るような方法は、ダンジョンをクリアするか、私物を売るくらいしかなかった。

 だが今の家には、値段がつくほどの私物はなかった。

 どこを探しても、値段のつかなそうなガラクタばかりだった。そもそも私物を買えるほど、お金に余裕なんてなかった。


 パーティーに入っていた頃は、お金には全く困らなかったのかと言うと全くもってそうゆうわけでは無かった。

 もちろん最低限の生活が送れるほどのお金はあったが、自分の趣味とかに費やすお金なんて全く無かった。

 そもそも趣味なんて無かったのかも知れない。

 趣味に費やすお金も無ければ、時間もない。そんなもの趣味とは呼べないだろう。


 そんな事は良いとして、僕に出来るお金稼ぎはダンジョンをクリアすることしか無くなった。


「ひ、一人でダンジョンをクリアなんて……。どうすれば良いんだ……」


 パーティーに入っていた頃から、ダンジョンで戦闘の役に立っていたかと言うと、今考えるとむしろ足手まといになっていたかも知れない。

 魔物が出てきても、僕の剣は空気を切るばかりで一向に当たる気配はなかった。

 今考えて見ると、恐怖で目を瞑っていたかも知れない。

 僕が、危ない状況になるたび他のみんなの連携が崩れ、最終的にはターゲットされてしまった僕がみんなに守られる羽目になってしまっていた。


「こんな僕が、本当にダンジョンをクリアできるのだろうか」


 色々考え、最終的に答えが出た。


「考えてばかりいてもしょうがない。今日は傷を癒やして明日冒険者ギルドに足を運んでみよう」


 今の僕に出来る最大限のことがこれだった。

 色々考えているうちに、いつのまにか頭の痛みがほとんどなくなっていた。


 そして、一旦全てのことを忘れベッドに飛び込んだ。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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