初陣
初陣である。新国王はトルント軍を如何にして退けるのか。見ものである。にしても、トルントは動きが軽率ではないだろうか?
トルント王国がアイヴ王国に侵攻した。国王が突然死した事を気に、トルント王国はアイヴ軍が機能しないと考え侵攻してきたのだった。
ーーーーーーーー
「閣下、よろしいですか?僭越ながら申し上げさせていただきますが、これは話し合いで解決できる事柄ではありません。戦事が話し合い等で解決できるなら元から起こってはいませんから。」
老臣アデミールはラントがどう考えていたかわかっていたとでも言うように、食い気味に言う。
「反撃あるのみ…。」
「兵を纏めましょう。今は指揮する者が把握しきれておりません。軍は統率が取れなければ烏合の衆でありますから、兵を王都に召集するのです。」
「…わかりました。どの程度かかりますか?」
「最大で7日」
幾度も戦を経験するアデミールの言葉は信用に足りる。が、戦等、少なくとも父が行っていた、事程度しか知らぬラントからすればそれは長く感じた。
ーーーーーーーー
侵攻され、7日が経った。トルント王国はヴィット山周辺に陣を敷き、ヴィット城を包囲、補給線を断ち、兵糧攻めを図った。7日経って集まった兵の総数は11000。ラントは王都に1000の兵を残し、ヴィットへ進軍した。
ーーーーーーーー
ラントはヴィットの地形を見て驚いた。小山、という山。ヴィット城といえばラントは認知があるだけで見た事もなかったがその場所は山の中腹。ある隙は急な崖が、その他に一つあるのは障害物の無い平野。ラントはまず、敵の数を確認に偵察させた。翌日、偵察隊が報告に帰った。
「申し上げます!敵の数はおおよそ26000!長槍部隊を筆頭にヴィット城を包囲し、平野には我等を遥かに超える騎馬兵が並んでおります!」
「26000…!」
「なんと…」
アイヴ軍を遥かに超える軍であった。ラントはここで、とある策を思いつく。それは城を破壊する事であった。2000と8000で別れた部隊は、8000は平野を2000は城へ向かった。別れた8000の目標はトルント軍の本隊で、ラントはトルントがこの余りにも緩い動きに油断をしていると予想し、賭けた。2000は軽装で山を登り、火薬を持ってヴィット城に移動した。ヴィット城には2300の兵が居り、奮戦していた。ヴィット城はその立地から攻め難く少なくとも大軍が一気に攻められる様な城ではなかった。しかし、それは城に蓄えがあればである。今度の戦では混乱の影響で蓄え等なかった。10倍の戦力に対する等7日であっという間に消耗して当然だった。が、未だ、遅くはない。ラントはそう考えた。ヴィット城の損害の軽度、そして、敵将が油断している事。賭けならざるとして、なんというのか。辺りも次第に暗くなり移動を開始する。
「では、前進」
アイヴ軍は大きく迂回し、密かにに前進を開始した。平野の周りは木が生い茂り、雑草も高く隠密行動には向いた土地だった。足音や周りの動物に気を配り、進んでいく。ヴィット平野。ここは周りを丘に囲まれた地形。通常ならば、より警戒しなくてはならない土地である。鉄砲隊が先陣を切り、前を進む。月は既に中心を過ぎた。誰も動かない。ガチャガチャと銃を構える。よく狙って、…ドン!銃声が次々に鳴る。
「かかれーーっ!」
槍兵が突撃し、騎馬兵500が突撃する。
「ほぼ運任せであったが、やった!」
ラントは賭けに勝ったのだ。アイヴ軍はトルント軍の本陣の夜襲に成功した。
「トルントの大将を捕らえよ!」
本作戦の目的はトルント軍の大将を捕らえ、大将を人質に撤退させることであった。アイヴ軍は本陣の4000余の兵を退けトルント軍の大将を捕らえた。
「捕らえたり!貴軍等が大将を捕らえた!トルント軍よ退け!去ればこの者を返す!」
日が昇る。それと同時にヴィット城の石垣が崩れる。崩れた石はヴィット城を墜とさんとしていた兵士を潰していった。大将を失い、指揮系統が乱れたトルントはヴィット城でも後退し、同日にトルント軍はアイヴ領を完全に退いた。
「賭けをされましたな王」
アデミールが安心したか呆れか、そんな事を言った。
「…根拠もありました。この地形は父によく、敵が不利になる地形と仰っていた。わかりやすい地形だと思います。にも関わらず、敵はここに来た。しかも無警戒な陣形。つまりは敵は油断しているに違いない、と思った次第です。ただ、ヴィット城の者達の考えは完全な賭けです」
と、ラントは持論を述べる。
「それに、大将は先陣を切るものでもありません。…ですが、勝ったと云う事は実績に、皆への示しに繋がりましょう」
アデミールは叱りつつもラントを褒めた。ラントは緊張が解け、静かにその言葉を受け止めた。
ーーーーーーーー
ラントは王都に戻り、全兵士への現状報告を終わらせ、先代レイジの問題に方をつけた。ラントは新たな幹部を募った。新体制への移行である。現重臣の平均年齢は高く、早急に幹部の更新が必要であった。
どうも、2話目、です。前話は読んでくれました?なら嬉しい限り。難しいですね、自身の語彙の無さを恨みます。素朴な疑問ですけどね?今回書いたトルント軍みたいな事する軍はいるのでしょうか?私だったら行きませんね、一体何日で攻略する気だったのか…。書いてる自分はトルント軍は10日程度で堕とすつもりだったと考えて書いてます。では、次回も読んで頂けたら幸いです。




