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第0章 Future End

第六回スクウェア・エニックス小説大賞第一次選考突破作品です。

惜しくも第二次選考は通りませんでしたが・・・

まあ、後ほど読み返してみると誤字脱字誤植が多数見受けられたので、仕方がないとは思いますが。

むしろこんな作品でよくそこまでいけたものだと思います。

つまらない作品ですが、楽しんでいただけたら幸いです。

第0章 Future End

彼女はどこへ行ってしまったのだろうか。

辺りを見回しても、彼女の姿らしいものは見当たらない。

僕は少し歩いて、彼女の名を呼んでみる。しかし、それに応える声はない。

真に絶望する。辛苦の中で、幾度となく絶望を突きつけられても心が折れることなく今までやってくることができたのも、彼女がそばにいてくれるという安心感があったからだった。

……だが彼女は今、ここにはいない。それは、僕にとって唯一の希望であった光を奪われ、深淵なる闇の世界へと明かりもなしに放り出されたに等しかった。

途端に膝が折れる。乾いた地面には砂埃が舞い、僕はそのまま座り込む。

「なんで……どうして……彼女だけでも一緒だと信じていたのに……」

頬から流れた温かなものが、乾いた大地に小さな染みを作る。それは少しだけ跡を残して、すぐさま消えてしまった。

こんなところで泣いていても仕様がないことはわかっていた。だが、頬を伝うものを止める術を僕は知らなかった。

両手を大地へと投げ出し、僕は崩れるように倒れ伏す。手の平を中心に、真っ赤な軌跡が描かれ、先ほどのものとは打って変わって大きな染みを作り出す。

「痛……」

手の平は真っ赤に濡れていた。どうやら、落ちていたガラスの破片で手を切ってしまったようだった。だが、それがどうしたというのだろうか。僕は自身の体がどれだけ傷付こうと、もはやそんなことに興味はなかった。

ようやく血塗れのガラスの破片を見つけ出し、摘み上げてみる。乾いた光を受けて輝くそれは、鋭く尖っていて、肌に押し当てるだけでよく切れそうだった。

「どうせもう、一人じゃどうすることもできない。それに……僕は……」

しばらくの間、破片を指先で弄んでいたが、それももう飽きてしまった。

僕は首筋にそれを優しく押し当てる。体の内側では、力強く命の鼓動が鳴り響き、体中を生命のエネルギーが流れて巡っていた。

だが、いくら体が強く生きていても、もはや心が壊れてしまったのだ。壊れた心に体は必要ない。だから、そんな鼓動に意味はない。

僕はゆっくりと目を閉じる。偽りの思い出もたくさんあるかもしれない。だが、少なくとも、“あの”思い出だけは正真正銘の思い出であることは間違いない。

「楽しかったなぁ……あの頃は皆で馬鹿やって、ふざけあって、彼女ともたくさん笑い合って……」

駆け巡る思い出。一つ一つの映像が目の前で繰り広げられているように思い出され、そして流れるように消えていく。

そして、最後の記憶が流れていったとき、もう僕には未練がなかった。

目を閉じたまま、指先に神経を集中させ、そのままゆっくりとガラスの破片を沈ませていった。


これは何時の記憶?

少年は突如襲いくるチョークによって叩き起こされる。

夢のことなど記憶の彼方に吹き飛ばした少年はいつもの平和な日常がそこにあることに安堵する。

見知らぬ少女との出会い、友人との戯れ・・・。

残り少ない平和な毎日を享受できることに彼は喜びを覚える。

次回、第1章 Introductory Chapter




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