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誰もいない屋上
五月八日。雨。
放課後。
あのビルの屋上へ向かう。
あの人は今日もいるだろうか。
あの約束を守ってくれるだろうか。
こんな口約束、反故にされてしまって当然なのではないか。
只の建前だったのではないか。
不安を胸に、駆け足で階段を登り、ドアを開ける。
――誰もいない。
やっぱり、こんなの只の建前だったんだ。
とても悲しい気持ちになった。
やっぱり、本気ではなかった。。。
そもそも、雨の日、というだけで、何時とは言ってなかったじゃないか。
――ハッと気付く。
でも――
―最初の晩餐、遠くの空に沈む夕日―
あの時、あの人は――
――ドアを開ける音が鳴る。
「あなたはあの時の」
振り向くとあの人がいた。
「本当に、来てくれたんだね」
思わず泣きそうになる。
誰かに裏切られなかったこと。只それだけで、涙を流すには、十分過ぎる理由だった。
「アハハ、、また泣いてる。。。」