5 脳内ミーティング 武志のゆかいな?仲間たち
思考の踊り場での、監督さんの悩みはともかく(笑)。
キャラたちは皆、元気でやる気マンマン。
私も彼らの芝居が見たい。
進めましょう。
でも『1』の居酒屋シーンへ進む前に、武志の友人三人衆と少し話したいことがあります。
召喚!『天城 渉』『三枝 寛之』『菱本 和孝』
渉 「どーも。天城 渉。元底辺ユー○ューバーで、今はハケン」
サエ 「こんにちは。三枝 寛之。中学の国語科の教諭です」
菱本 「はじめまして。菱本 和孝。国家公務員です」
私 「いらっしゃい。ようこそ。芝居に入る前に、ちょっといいかな?」
渉 「ナニ?」
私 「あなた方三人、まあ浜ちゃんもだけど、てんでんばらばらな性格だよねえ。ここまで性格が違ってて、どうやって仲良くなったの?」
渉 「別に。なんとなくツルむようになってただけ」
サエ 「最初は出席番号が近いタケと菱本がなんとなく仲良くなって……」
菱本 「俺とサエは出身校が一緒だったから、お互いなんとなく話すことが多くなって。サエは中二くらいから『国語だけなら今すぐでも、超一流高へ行ける偏差値』って呼ばれてた有名人だったんだ。一回、模試で1ケタ代の順位を出したことがあってね。コイツがその三枝かってリスペクトの気持ちもあった」
サエ 「お前、ヤのこと覚えてんなァ。ありゃまぐれだよ、ま・ぐ・れ。『国語だけなら……』ってのも大概バカにしてるぞ、他は大したことないって言外に言ってるようなもんだし」
渉 「まぐれだろうが何だろうが、模試で1ケタ代の順位出したのは事実じゃん。皆さんそーゆー輝かしいナンチャラをお持ちでしょ?うらやましいねえ」
菱本 「お前だって入学時、水泳部がしきりに勧誘に来てたじゃないか。中学の時、結構なタイムを叩き出したんだろ?」
渉 「それこそまぐれだよ、ビギナーズラック。元々水泳部の部長とツレで、そのツテで名前だけの部員だったの。まあ泳ぐんはキライじゃないし、人数合せで記録会に出てくれって頼まれた時は、ソコソコ練習したよ。で、もう一回出せって言われても絶対出せない記録を、ナゼカ本番で叩き出しちまってねえ。なんだろ、あの時はナンか憑いてたのかもよ、イルカの霊とか。その後、勘違いした連中にまとわりつかれてサ、参ったよ」
私 「本気で水泳やろうと思わなかったの?」
渉 「まさか。監督が監督権限で、どっかからイルカの霊を用意して憑けてくれる?そしたら考える」
私 「用意するのはかまわないけど、活躍の機会はないよ」
渉 「うえっ。そんならいらねえ」
サエ 「……ってな感じにチャラチャラチャラチャラしてるコイツが、俺は目障りでね。一年の一学期が始まって、一ヶ月くらい経った頃かな、口げんかしかけてね。理由?忘れた。その時たまたま日直だったのがタケ……つまり浜でね。『ちょっとちょっと。お前らなにじゃれてんの?戸締りできねえんだけど?』とか言われて。放課後だったからな。じゃれてねーよとか言ってるうちに、気が付いた時には丸め込まれてた」
菱本 「あいつはそういう場を取りなすのが上手いんだよな。多分、天性のものだろうね。人との距離の取り方が上手いっていう感じかな」
サエ 「ああ。だから反面、優柔不断でもある」
渉 「うらやましくもある。正直イラつく時もあるけど(笑)。そのくせ、あいつ自身の根本はどんな時でも揺らがない雰囲気があるってのか。何と言うか……」
菱本 「空気。水。そんな感じかな」
サエ 「そうかもな」
私 「なんだかんだ言って皆さん、浜ちゃんをリスペクトしてる?」
サエ 「あいつは要ってのか、かすがいってのか。表立ってどうこうはないけど、多分あいつが俺らをゆるくつないでるんだと思う……」
菱本も渉もうなずく。
私 「なるほど。彼が聞いたら恥ずかしがって逃げそうだねえ(笑)。いやいや、ありがとう。それじゃ、芝居頑張ってちょーだい」
召喚終了。おつかれ!
……ってな感じだそうです。