2 ストーリーの骨子をいただきました
さて。
その後、ストーリーの骨子をいただきました。
そして自分の早とちりに、心の中で『てへぺろ』。←ヤメロ、おばちゃん。
そういう能天気?なお話ではなく、めっちゃシリアスなストーリーでした……。
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以下、砂臥様よりいただいたプロットを、かわかみがまとめる形で書き出してゆきます。
【プロット】
真夜中、武志の家へ友人から電話が掛かってくる。
友人の一人が自殺未遂をした、と。
高校の同級生である四人は、先日久し振りに集まって飲んだばかりだった。
(この時点で電話した友人、自殺未遂をした友人はわからない)
電話の友人、自殺未遂の友人は誰なのか不明なまま回想シーンへ。
久し振りに懐かしい仲間が集まったが、フリーターの渉だけ来ない。
どうやらまだ仕事が終わってないらしいので、先に始める3人。
高校卒業後から付き合い始めた武志と美鈴の話題になり、武志は皆に『結婚はまだか』とせっつかれる。
武志と美鈴の付き合いは長く、同棲も3年目になる。
結婚しない理由もないのだが……今の生活に不満があるわけでもない武志にとって、積極的に結婚に踏み切る理由もなかった。
(美鈴の気持ちはよくわからないが、不満はなさそうに見える)
そんな中、渉がやってくる。
彼はいつものように自虐ネタを交えながら職場の不満やら世間への不満をぶちまけるが、酒の席ということもありそれが元で三枝と口論になる。
武志と菱本がなだめ、武志は三枝、菱本が渉を連れて店を出る。
それぞれで、居酒屋の後にいつも行くカラオケボックスへ向かうことに。
渉は酔いがひどかったので、菱本が介抱をして少し酔いを醒まさせた後、カラオケボックスへ連れて行くことにする。
自分だけマトモな大人になれていないと感じていた渉は、菱本へ「死にたい」と口にする。
そんな彼に菱本は錠剤の入った小瓶を渡す。
「精神安定剤だ」と言って。
菱本曰く「飲みすぎては駄目だ」とのことだが、そこには含みがあった。
渉は酔ってはいたが、なんとなくそれを理解する。
おそらく「大量摂取すると死に至る危険のある薬」だと。
面会謝絶が幾日か続いた後、武志は三枝と病院へ見舞いに行った。
幸いな事に自殺は未遂……しかも発見が早かったので、後遺症も残らないという。ただ、3日程意識は戻らなかったようだ。そんな話を彼の母親から聞く。
軽い感じでにこやかに挨拶をしてきたベッド上の友人は、菱本和孝だ。
勿論彼は努力していたが、学生時代から人一倍恵まれていて要領もよかった。
見せないようにはしているが、プライドが高いことも知っている。
大人になっても上手くやっているかに見えた彼に、何をどう聞いていいかわからず……武志はいつものように当たり障りのない話をするしかできなかった。
そしてそれは、三枝も同じ様だ。
そんな中、やはり遅れて渉がやってくる。
渉は、菱本に渡された薬を瓶ごと投げて寄越す。
「馬鹿だな菱本、間違ってたぞ」と言って笑いながら。
日本語で書かれていない為、すぐにはわからなかったが、菱本が渉に渡した薬はただのビタミン剤だった。
渉は「やっぱり死ぬのは怖いから飲めなくて」調べたらしい。
「それがわかっただけでよかった」「死ぬよりは生きる方が多分マシ。逃げることもできるし、楽しいこともないでもない」
そう言う渉。
「どうせ俺がビビって飲まないと思ったんだろうが、間違えて渡しといて、お前が飲んでどうするんだ」
「ああ、全くその通りだ」
菱本も沈黙の後でそう言う。
だが、その場にいる全員がわかっていた。
菱本が「精神安定剤」の代わりに渉に「ビタミン剤」を渡した事を。
菱本は意図して死の危険のある薬を大量に摂取したことを。
帰りの夕暮れの中、皆と別れた武志は、自分のことや美鈴のことをボンヤリと考える。
それなりに上手くやっていると思っていた生活の中で、皆それぞれ苦しんでいた。自分だけが安穏としているらしい。
しかし武志は昔から、外界と自分との明確な距離……虚無感にも似たものを常に抱えていた。ただ、それは彼にとって自然なものに過ぎなかっただけで。
美鈴とはきっとこのまま、折をみて結婚をするだろう。焦ることなどない。
それもまた武志の中では変わらなかったが、ほんの少し、なにかよくわからない違和感があった。
美鈴の気持ちを確かめた事はないが、自分と同じだと思っていた。
それに少しだけ、彼は疑問を持つ。
帰宅し、美鈴と晩酌をしながら病院でのことなどを話す。
そんな中、美鈴が酷く残念そうな顔で「中学の頃とても憧れていた先輩を見た」と言う。
なんでも「懐かしさから挨拶くらいしようと、声を掛けようと思ったら名前が出てこなかった」らしい。
「あんなに好きだったのに忘れちゃうんだなーと思って悲しかった」
そう言う美鈴に武志は「結婚しようか」と言った。
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……重い。
重いお話ですね。
もちろん、世の中にはもっと深刻な状況で苦しんでいる人も沢山いるでしょう。
でも彼らの抱える苦しみが、だからと言って楽になる訳でもありません。
上手くいかないあれこれ、しがらみに縛られた息苦しさ、そういうものを抱えつつ生きてゆく。
社会人になって十年ばかり。
それなりに責任ある立場になった者はなった者なりに辛い思いをし、大人になり切れない者はなり切れない者なりに焦燥にかられる。
人生の選択肢がいつの間にか狭まり、若いんだけど若くない自分に、焦りや苛立ちを感じ始める。
だけど、それでもそれぞれが自分なりに、前を向いて生きようとし始める。
そういう話だな、と、私は受け取りました。




