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蛹の殻  作者: アラdeathM
33/112

31「日本売りのケース」

~世界で一番最初に朝を迎える、高齢化の先頭ランナー~


もしも日本売りが発生したらどうなるでしょうか。


日本売りとは、

国債と株と円の3つが同時に売られる事態のことです。


通常はありえません。

株が落ちれば債券が上がる、

円安になれば株が上がる、

というように、逆相関的であることが多く、


世界3位の経済大国、

世界一の債権国でもあるからです。


無敵艦隊もあっけなく撃破され?

絶対に逆転することはないといわれた革命、

ソ連邦は突如崩壊しましたが、


もしもその3つが同時に暴落するようなことがあれば、

「日本自体が売られる」

つまり日本売りということになります。



そのようなことがあれば、日本だけにとどまらず、

世界中の危機になるでしょう。


ただし、震源地の日本以外は、

案外すぐに収まる可能性はあるのかもしれませんが、


これは地続きの問題であると思われるので、

日本を切り捨てても遮断することはできないでしょう。


米ドル暴落や、

中国の体制崩壊、

中東その他どこかで核戦争が起こった場合と同様に、


日本売りの場合でも、

やはり世界戦争級の嵐が吹き荒れることになるものと思われます。



具体的には、


国債暴落は金利上昇を意味しますし、

株暴落は不況、

為替暴落は社会不安となりうるでしょうが、


「シュレディンガーの猫」の箱が、

強制的に開かれることに等しいと言えるでしょう。


箱をあけるまで、猫が生きているか死んでるかは確定せず、

両方の状態が同時に、確率的に重なり合って存在している、

ということでしょうが、


そしてそれが、観測により初めてどちらかに確定するように、


既に、ただ名義が定まっていない(観測されていない)だけで、

誰かが負担しなければならないことはとっくに(確率的に)確定

している負債が、ついに清算されることになるのです。


例えば氏名順の負担で、あ~な行までの苗字の人

(富裕層に限らず、私のように蓄えのない者も含む)

が破産したとします。

(もちろん皆が少しずつ均等負担でも良く、

 それがインフレ税というものであり、

 その可能性が最も高いと考えています。)


しかし、それだけのことです。それで終了です。

何か特別なことがあると言うよりは、

元々破綻していた部分について、

単に名義合わせをするだけのことです。


しかし、問題は社会不安ということでしょう。

破産したり失業したりした人たちの恨みや不安が、

重く社会に漂うことになります。


脆弱化した社会は、

あらゆる革命への抵抗力を失うでしょう。


終戦直後数年間くらいのレベルのインフレになり、

ベネズエラのような人道危機的な状況も、

資源小国である以上、

程度の差こそあれ、ありえなくはないものと思われます。



さて、本当にそのようなことが起こるかどうか、


つまり、


「世界が(また)正気を失うかどうか」


につきましては、



戦争があるかどうか(災害の場合も)と、


インフレがあるかどうか、


にかかっていると言えるでしょう。



災害は予測不能ですので除外しますと、



戦争は、

中東イスラエルとイランでも、

南アジア(パキスタンとインド)でも、

ベネズエラ(アメリカとロシア)でも、

トルコや欧州(NATOとロシア)でも、

台湾(アメリカと中国)でも、

北朝鮮アメリカと・・・でも、


核戦争(核保有国同士の戦争)があるかどうか、

と言い換えることができます。


(イランはまだ核を保有していないとは思いますが、

同じくらいのインパクトにはなるでしょうし、

もしもイスラエルが使用すれば、

必ず報復しようとするでしょうから、

準保有国と言えるかもしれません。)



冷戦時代のように、一発でも撃てば、

相互に全弾発射して世界が滅びる、

くらいの覚悟が必要だった時と違い、


一度でも上記のどこかで局地的に使用されれば、

もう二度と、核の蟻地獄からは脱出できません。


(汚染の規模と影響度合いが)原発とは違うのだから、

核兵器なら数年も経てば復興しているかもしれないし、

全弾打ち合うようなことでもない限り、核の冬なんて

なさそうだし、

(そもそも全弾発射したところで、

本当に核の冬なんてあるのか分からないのだし。)


我々エスタブリッシュメント層には、

シェルターと備蓄があるので、

核戦争で自滅する心配もないのだから、


やってみるか、と考えるシーンがあるかもしれません。



それらの戦争が先にあったり、

中国の体制崩壊(一党独裁の破綻)が

先にあったりすれば分かりませんが、


インフレが先にあった場合には、

一番先に万歳することになるのは日本だと思われます。


インフレになれば、言わば弱さ競争のような形になり、

リーマンどころか、山一や長銀など、

多数の金融機関が破綻した平成の金融危機時から、

世界に先駆け、もう20年以上も金融緩和を続けている、

アベノミクス後はさらにそれを倍加し、

もはや余地がほぼ残っていない、

あらゆる意味でギリギリまで来ている日本が、

最初にギブアップせざるを得ないからです。



しかし今回は、

本当に景気循環は克服されているのかもしれません。

もう危機的な不況(リーマンのような収縮)

はないのかもしれません。


そうだとしても、

あるいは今回もまたいつも通り思い違いだったとしても、


それは別に問題ではありません。


今度の危機は、景気変動によるものではないからです。



資本主義による景気の波のずっと前から、

人類は常に波にさらされ続けてきました。


景気の波を克服すれば良いという話ではありません。


資本主義は、

これまで受動的に甘受するしかなかった波の仕事を、

単に代行することに過ぎませんでした。

(繫栄は代行手数料のようなもの)


しかし、その代行を辞めてしまえば、

もう言い訳ができなくなります。


「きちんと波を起こし、悲劇を繰り返しているので、

 安心して自分たちに任せてくれ」

とは、もう主張することができないのです。



「悲劇を代行することができないのなら、

 かつてのように、またヤマタノオロチを送りますね。」


そう言われてしまうだけのことなのです。


もちろん、

景気の波とは違う、

新たな波の形で代行が継続する、というように、

代行を進化させる可能性はありますが・・・。



定向進化という考え方?があります。

例えば鹿類の大きすぎる角など?

明らかに無駄に進化し過ぎてしまっているような部分があるのは、

一定方向の進化を止められない感じになってしまうから、

みたいな意味だと思います。


それは、この世界に対するアピールであると考えております。


我が種の可能性(一種のビンゴゲーム)は、

まだまだこんなものじゃありませんよ、

もっともっと先まで行けますよ、


そう言い張りたいのです。


神に見捨てられることを恐れ、

進化の有効性も効率性も無視しているのではないでしょうか。


恐竜は巨大化から、

人間は脳の発達から、

降りる訳にはいかなかったのです。



発展はなぜ加速度的、指数関数的なのでしょうか。


空間は慣性を指向し、時間はそれを嫌悪するのです。


等速直線運動と停止との違いは、

動いているか止まっているかだけで、

慣性状態にある、無変化状態であることは同じですが、


時間というイレイサーは、

無変化状態を捕食するアメーバのようなものだと考える

ことができます。


一定の傾きによる加速度程度では、

その一定であること自体が、無変化とみなされかねない弱さを

有しているため、時間に捕食、消されるリスクがあるのでしょう。


だからこそ、昨日よりももっと、指数関数的に、

本当は怖くても平気な顔で、更に爆発的に増加することだけが、

(時間に飽きられないための)唯一の道だったのです。


(それは理想へ向かう方法ではないが、

 絶望から逃れる唯一の方法だった。)



インフレがあるかどうかですが、


世界人口はまだ増えていますし、

資源の相対量は確実に減っていく訳ですけれども、


(主要な要因としては)

需要と供給という量の問題ではないように思います。


私はスタグフレーションが来ると思っているのですが、

それは前例が乏しく、実際どのようなことになるのか、

ほとんど分かっていないものと思います。


コスト・プッシュでもなく、デマンド・プルでもなく、


貨幣要因的な面はあるでしょうが、



限界作用(環境余力)的なプレミアムが生じたり、


量的には全然問題なかったとしても、

ある比率を超えると、

(その資源の)相対的な性質が変わるのだと思います。



例えば、


仮に石油の無機起源説が正しく、今なお増えていたとしても、


温暖化説が間違いであって、もっと燃やして構わないとしても、


地球上での、その資源との関係、

つまり(占有ないし使用)比率が一定ラインを超えると、

それまでとは(両者間の)意味合いが違うものに変質し、

これまでの理論では説明がつかないような形で、

物価が上がって行くように思います。



錬金術は、希少性、つまり、まさにこの「比率」に対する挑戦でしたが、

この平行世界は、それに挫折し、それを諦めた延長線上に存在する、

ということを忘れてはならないでしょう。



かつて、通貨に含まれる金の含有率を下げる、

というようなことがあったかと思いますが、


今まさに、世界中で信用という金の含有率を引き下げています。

世界同時というのは、これまでなかったことではないかと思います。


しかも、かなり限界近くまで信用の含有率を引き下げている

ように見えます。



生産性向上は、

決して節約するためのものではありませんでした。

本来は人口増加のためでしたが、

これからは、AI増加のためのものになるでしょう。


それでも、増加は増加なので、

AI金利とでも言うべき、

新たなインフレの発生も考えられます。



日銀が限界だろうが何だろうが、

金利が先に上がることはないように思いますので、


まず先に円が暴落するかどうか、

と言って良いでしょう。

(円暴落⇒金利上昇⇒国債暴落

ほぼ同時でしょうけど。)


そして円が暴落するとは、他の通貨が買われることなので、

しかしユーロは長期的にはなくなりそうな感じですし、

米ドルもまた、いつまでもその威光を維持できないとすれば、

どうなるかまったく読めませんけれども、


とにかく、一番弱っているところに亀裂は生じるのでしょう。



もはやインフレに勝てる国など

どこにも残っていないようにも見えますが、


その中でも、最もインフレに対して脆弱なのは、

おそらく日本円である、と私は考えております。



円高で企業が倒産し、

大不況、そして失業増大による社会不安よりは増し、

というだけの、とても切ない「良い」円安なのです。

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