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蛹の殻  作者: アラdeathM
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カナリアの巣

日本の少子高齢化は、


なぜフライング気味だったのだろうか。



日本だけが特殊で、何か政策を間違えてしまったというような、


「やり方」の問題なのだろうか?



それとも、他国も遅かれ早かれ


(つまりどのようなやり方をしても)


いつか必ず追いつくものなのだろうか?



カナリアは一番最初に死ぬ運命にあるのか、


それとも(籠さえなければ)一番最初に逃げ出せるのか。



もし仮に、土星軌道辺りに天国があったとして、


(重力等既知の「場」以外の何かが空間に作用しているとか?


あるいは重力等が作用する以前に元々何もかも歪んでいたとか?


あるいは重力も丁度よく打ち消しあって全てが相殺された奇跡の


スポットとか?とにかくこの世とは違う場所、天国があったとして)



そこでは不老不死どころか若返ることすら可能であり、


(天国とは、選択肢R⇒バックギアがある場所だろう。)


酸素を吸えば活性酸素も発生するみたいな反作用的?な弊害も何もなく、



何が言いたいかというと、要するに天国のように都合の良い場所があり、


安全にそこまでたどり着けるとして、老人がこぞってそこへ旅立つなら、


現在の問題は少なからず解決するのだろうか?



それはないように思える。


これは人間の数(人口)の問題ではなく、悲劇の量の問題だからだ。



繫栄を借方とすれば、人口増加は借方そのものなので、


それよりはむしろ、貸方にある悲劇という債務の方が問題になるように思う。



大戦時も、人口は何割というレベルで減少した訳ではない(世界全体では)


だろうが、そうであれば、むしろ今の日本の人口減少の方が異常事態なの


かもしれない。



求められているのは悲劇という債務の支払いなのであって、


スリム化して健康体になってくれなどとは誰も言っていない。



逆に、債務の支払いさえ済めば、


今とあまり変わらぬ人口構成比率のままでも、


問題はあっさり解決する可能性すらあるように思う。


もちろん、次の債務弁済期限が来るまでの猶予だが。



もっとも、悲劇を支払いつつ、


現在の人口構成比率が維持されることは稀だろう。



仮に数十年後に8,000万人くらいまで人口が減少することを、


ソフトランディングと言うとしても、


それは恐ろしいほどの悲劇の総量を意味しており、


それが第二次大戦の何倍に相当するのか分からないが、


それほどの悲劇に果たして耐え切れるだろうか?



痺れを切らして、


またしてもハードランディングに向かうのだろうか?



繫栄に所有権はなく、いずれ返却しなければならない。


生物史上、繫栄がリースであることは明白だ。



仮に老人が消えても、


リスタート時の発射台が高すぎることなどにより、


すぐに後を追うはめになるだけであって、


時間稼ぎにもならないだろう。


疑心暗鬼(今度は自分か?)という新たな重荷に変わるだけだ。



核についても同様で、廃絶されれば解決するのではなく、


直ちに世界戦争が起こるだろう。



もはやキャップが外れれば良いという話ではないのだ。



パイに合わせるのではなく(均衡)、


新たなパイ(宇宙)を獲得する以外に道はない。



ギヤアップしたさらなる人口爆発にも、


核戦争にも耐えうる(核戦争でも全滅はしない)


程の新たなパイが・・・。



身分制や奴隷制や民族主義などの不公平は、


悲劇を作りやすく、


その意味では文明の財布であったと言える。



しかし理想は悲劇を生まないので、その次もまた存在しえない。


今や財布は空となり、支払い不能なのだ。



この世界は理想を許さない、とまでは言わないまでも、


残念ながら、この世界は理想に適していないのかもしれない。



人間の理想など、誰にも理解されない趣味、


交換価値のないおもちゃに等しいのだろうか。



今日の世界の状況は、


(何かに)滅ぼされるよりも早く、自ら滅んでしまおう、


としているかのようにも見える。



どうせ行き止まりが不可避(宇宙進出不可能)ならば、


やられる前に、自ら締めくくりたいということだろうか。



悲劇という債務の支払いには、


有史以来、戦争という支払手段が用いられてきたが、


今はビットコインならぬビットウォーを模索しているだけであって、


それでも結局、やはり人を殺す戦争以外にはなかった、


という結論に至る可能性は高いのかもしれない。



戦争の悲劇というくじ引きを回避する方法は、


その前に別の当たりを引いてしまうか、


何とかして後にずらそうとするか、


というタイミング的なものでしかない。



せいぜい、自分の知らないところで、


あるいは自分の死んだ後で、と願うしかないのだ。





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