21 0.02%の壁
化石燃料文明が、ピークオイルと運命を共にすべき必然性はないとしても、
文明を象徴するエネルギーが、その途中で核にシフトしたのはやや不思議に感じる。
化石燃料は過去の日差し、
(無機起源説などでない限り)
クリーンエネルギーは現在の日差し、
(太陽と関係ないものもあるだろうが)
結局、太陽エネルギーの利用方法の違いに過ぎない。
クリーンエネルギーだろうが、人類規模になれば同じことだ。
数十年単位の先延ばし効果はあり得るかもしれないが。
核エネルギーだけは異質な感じだが、
もしかしたら未来の日差しを奪うのかもしれない。
人口増加曲線は、時間軸に対して垂直に近づき、時間の停止を連想させる。
この人口曲線を水平方向に落ち着かせる、
つまり時間進行を取り戻すためには、
数百億、数千億人規模へのスケールシフトが必要だろう。
しかし、それほどのスケールシフトは地球上では難しい。
是が非でも2つ目のパイが必要なのだ。
そして、パイとは太陽エネルギーに他ならず、
二つ目のパイは宇宙にしかない。
宇宙進出とは、神の見えざる手を宇宙に引っ張っていくことであり、
地球外で命の循環を成立・維持させることに他ならない。
命の循環から完全に切り離された食物工場だけでは、
きっと不都合な結果を招来してしまうだろうから。
(命の循環が、残念ながら他者の死が不可欠。)
太陽エネルギーは、命のフィルターを通らなければ利用不能ないし有毒であろう。
植物による太陽エネルギーの利用効率が、仮に0.02%前後だとして、
人工光合成で、これを0.04%に引き上げることができれば、
熱帯雨林をすべて人工光合成装置に置き換えてもお釣りがくるだろうか?
それは、もはやパイの拡大というより焼け焦げたパイにしか見えない。
宇宙から見れば、地球上に国境の壁なんて見当たらないが、
逆に、宇宙には壁(隔壁)しかない。
壁の中という恣意的な空間内で、食物連鎖を維持させることができるだろうか?
どこまでの壁であれば恣意的なのか。壁をどこまで広げれば神となるのか。